NATOのマドリッド・サミットに先立つメリリャでのアフリカ難民の虐殺―――これは偶然か?(要点)
以下はINTERNATIONALIST 360°の Massacre of African Refugees in Melilla Ahead of NATO’s Madrid Summit – Coincidence? の要点。

スペインは虐殺が行われた飛び領地であるメリリャと、同じく北アフリカの飛び領地であるセウタを、NATOの保護区にすることを求めている。NATOはアフリカからの不法移民が加盟諸国に対する国家安全保障に対する脅威だと宣言した。
殆どのアフリカ諸国はセウタとメリリャに対するスペインの主権を認めておらず、占領されていると見做している。だがモロッコの西サハラ占領をスペインが認めてからは、モロッコとスペインは和解しており、スペインの同盟国の様に振る舞っている。2022/06/24の虐殺では、モロッコの治安部隊は国境を超えてメリリャに入ってスペイン警察を支援した。
少なくとも37人の死亡がNGOによて確認されているが、モロッコ当局は23人が「スタンピード」で死亡したと主張した。国連人権高等弁務官に拠ると、これはモロッコからスペインの飛び領地を経由して欧州に渡ろうとした移民関連の事件の中では最大の死者数だ。モロッコ人権協会(ADMH)は死者の内21人が検死や身元確認なしに埋葬されたと主張している。
マドリードで2022/06/26に行われた抗議デモ(ダイ・イン)の様子。


InfoMigrants @InfoMigrants
スペインでは複数の都市で抗議デモが行われたが、ペドロ・サンチェス首相は「人身売買を行うマフィア」に責任が有ると主張した。だが倒れた負傷者に医療処置を施さずに死なせたり、手荒な扱いをされることになるのを知った上で難民をモロッコ警察に引き渡したり、亡命事務所を閉鎖したりしたのはマフィアではない。
これらの犠牲者の殆どは、スーダン、南スーダン、チャド、ニジェールでの戦争から逃げて来た人々。スペインはウクライナから124,000人の難民を受け入れているが、この扱いの差は差別としか言い様が無い。
メリリャ経由で欧州等に亡命しようとした2,000人の難民の内、実際に国境を越えたのは500人のみで、スペイン側に到着したのは133人のみ。スペイン警察によって送還された1,000人がモロッコに拘留されている。
サンチェス首相はメディアへの演説で難民による「暴力的攻撃」について4回言及し、「国家主権の擁護」と「領土保全」の為に虐殺に関与したスペインとモロッコの警察を称賛した。
モロッコはスペインや欧州に圧力を掛ける為に、今までは誰でも国境を越えさせていたが、今では方針を180度転換し、不法移民を抑制する為の信頼出来るパートナーであることをNATOにアピールしている様だ。これでイスラエルとの外交関係を「正常化」したモロッコは、EUの新しい同盟国としての特権的な地位を強化することが出来る。因みにスペインにモロッコによる西サハラ占領を承認するよう働き掛けたのは米帝だ。
スペインはNATO加盟国ではあるが、飛び領地であるメリリャとセウタはNATO憲章第6条で定められた地理的範囲を超えている為、これまで第5条(集団的自衛権)は適用されないものとされて来たが、今回の方針変更は、NATOのマドリード戦略概念2022にも合致する。NATOはロシアと中国のプレゼンスを念頭に、アフリカからの「脅威」についての対策を強化したがっている。但しストルテンベルク事務総長は第5条の発動は「政治的決定」となるであろうと強調しているので、メリリャとセウタを守備範囲に含める為に第6条の改定は行われないかも知れない。
「中東、北アフリカ、サヘル地域」からの「人身売買と不法移民」を理由として、NATOのアフリカでの軍事的覇権は更に強化されることになる。

スペインは虐殺が行われた飛び領地であるメリリャと、同じく北アフリカの飛び領地であるセウタを、NATOの保護区にすることを求めている。NATOはアフリカからの不法移民が加盟諸国に対する国家安全保障に対する脅威だと宣言した。
殆どのアフリカ諸国はセウタとメリリャに対するスペインの主権を認めておらず、占領されていると見做している。だがモロッコの西サハラ占領をスペインが認めてからは、モロッコとスペインは和解しており、スペインの同盟国の様に振る舞っている。2022/06/24の虐殺では、モロッコの治安部隊は国境を超えてメリリャに入ってスペイン警察を支援した。
少なくとも37人の死亡がNGOによて確認されているが、モロッコ当局は23人が「スタンピード」で死亡したと主張した。国連人権高等弁務官に拠ると、これはモロッコからスペインの飛び領地を経由して欧州に渡ろうとした移民関連の事件の中では最大の死者数だ。モロッコ人権協会(ADMH)は死者の内21人が検死や身元確認なしに埋葬されたと主張している。
マドリードで2022/06/26に行われた抗議デモ(ダイ・イン)の様子。


InfoMigrants @InfoMigrants
スペインでは複数の都市で抗議デモが行われたが、ペドロ・サンチェス首相は「人身売買を行うマフィア」に責任が有ると主張した。だが倒れた負傷者に医療処置を施さずに死なせたり、手荒な扱いをされることになるのを知った上で難民をモロッコ警察に引き渡したり、亡命事務所を閉鎖したりしたのはマフィアではない。
これらの犠牲者の殆どは、スーダン、南スーダン、チャド、ニジェールでの戦争から逃げて来た人々。スペインはウクライナから124,000人の難民を受け入れているが、この扱いの差は差別としか言い様が無い。
メリリャ経由で欧州等に亡命しようとした2,000人の難民の内、実際に国境を越えたのは500人のみで、スペイン側に到着したのは133人のみ。スペイン警察によって送還された1,000人がモロッコに拘留されている。
サンチェス首相はメディアへの演説で難民による「暴力的攻撃」について4回言及し、「国家主権の擁護」と「領土保全」の為に虐殺に関与したスペインとモロッコの警察を称賛した。
モロッコはスペインや欧州に圧力を掛ける為に、今までは誰でも国境を越えさせていたが、今では方針を180度転換し、不法移民を抑制する為の信頼出来るパートナーであることをNATOにアピールしている様だ。これでイスラエルとの外交関係を「正常化」したモロッコは、EUの新しい同盟国としての特権的な地位を強化することが出来る。因みにスペインにモロッコによる西サハラ占領を承認するよう働き掛けたのは米帝だ。
スペインはNATO加盟国ではあるが、飛び領地であるメリリャとセウタはNATO憲章第6条で定められた地理的範囲を超えている為、これまで第5条(集団的自衛権)は適用されないものとされて来たが、今回の方針変更は、NATOのマドリード戦略概念2022にも合致する。NATOはロシアと中国のプレゼンスを念頭に、アフリカからの「脅威」についての対策を強化したがっている。但しストルテンベルク事務総長は第5条の発動は「政治的決定」となるであろうと強調しているので、メリリャとセウタを守備範囲に含める為に第6条の改定は行われないかも知れない。
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