プルートクラシー
【良記事】イアン・デイヴィス氏の記事。「新世界秩序(New World Order)」と云う言葉自体は陰謀論者の妄想でも何でもなく、世界中の権力者達が腐る程使って来ていて、現代史上の単なる事実。実際の使われ方を復習してみればどう云う含意が有るのかが解る。後は解釈の問題。

Who Are The New World Order – A Brief History
イアン・デイヴィス氏による、グローバル官民パートナーシップ(Global Public-Private Partnership/GPPP)についての簡単なお浚い。グローバル企業(中央銀行を含む)、慈善団体、シンクタンク、政府とその諸機関、NPO、学術団体や科学機関、労働組合、思想的指導者達等が渾然一体となって「利害関係者」ネットワークを形成している。これは国際ルールによって近代国家の法治システムを回避し、人民の合意抜きにグローバルガヴァナンスを実現する為の手法。この仕組みを理解しないと、SDGs詐欺やステークホルダー資本主義/グレート・リセットは理解出来ない。

What Is the Global Public-Private Partnership
What is the “Global Public-Private Partnership”?
米国人は独力でのし上がった(Self-Made)金持ちの話が大好きだが、現実のビリオネアは自力以外の様々な力を利用して富と権力を獲得している:
・家族の富や特権(特に白人男性)
・労働の搾取
・政府の援助
単に「努力すれば成功する」「チャンスは誰にでも開かれている」と云う話は現実離れした与太話に過ぎないので、神話に基付いて米国社会を美化するのは止めよう。
The Myth Of The "Self-Made" Billionaire
世界中何処でもそうだが、普通の一般庶民が望むのは、政治的なイデオロギーよりも先ず自分の生活が良くなることだ。この点から人々の目を逸らさせる様な選挙は民主主義の名に値しない。西洋とはガヴァナンス・システムが異なると云うだけの理由で中国を独裁国家呼ばわりしてみたところで、それで新自由主義諸国の人々の生活が改善する訳ではない。

Out-of-touch politicians
1986/04/15にマイケル・パレンティ氏がコロラド大学で行なった講演、「米国の介入主義、第三世界、そしてソヴィエト連邦」。彼が批判しているのは冷戦末期で新自由主義台頭期のレーガン政権の、外交政策に於ける違法で非道な介入主義と、国内政策に於ける弱者切り捨てだが、同じ指摘は21世紀の現在には当て嵌まることだ。両者は同じコインの裏表であり、レーガンはアホではなく、彼の階級の利害の為に合理的に動いているが、それは大多数の一般庶民の利害とは完全に相反している。アメリカ帝国主義者達によって共産主義者と言われている人達は単に自分の生活を向上させたい(字が読める様になりたい、病院や学校が利用出来る様になりたい、産業を発展させて米国と友好関係を結んで自由で公平な貿易を行いたいetc)と思っている人達のことに過ぎず、彼等は愛(例えば「親米/反米」)などと云う移ろい易い基準によって物事を判断している訳ではなく、愛よりも強く持続的な自己利害に基付いて判断している。単なる抽象的なステレオタイプではなく具体的な歴史的現実に基付いて他者を理解することが出来れば、この「自己利害」と云うものが如何に強固なものかも理解出来る様になる(私の見るところ、この「具体的な他者の現実」を見たくない、薄っぺらで飲み込み易い他者像しか受け入れたくないと云う現代日本人の欲望は非常に強く、最早自滅的なレヴェルにまで達している。自らの生存を懸けて苦闘する他者の現実を理解する努力は、スイッチ一つで「不愉快な他者」から逃れられる便利な時代には歓迎されない。世界の広さに合わせて自分の視点を一次停止する位なら、自らの視野に合わせて世界を切り取る方が遙かにラクだ。洞察力に満ちた社会学者ニール・ポストマンの表現を借りるなら、現実の複雑さや他者の不快さに耐える位なら、「愉しみながら死んで行く」方がマシだと考える人が実に多い)。
Michael Parenti lecture (1986)
★トリクルダウン理論(「おこぼれ理論」と私は訳したい)がイカサマであることについての簡単な解説。
トリクルダウン経済学(要点)
テッド・ロール氏の論説。トランプを批判する者達が想定している次の3点は決定的に誤っている。
・他の大統領や政治家は、トランプよりも嘘をつく数が少ないか、ずっと少ない。
・ トランプが大統領になる前に、米国にもその政治体制にも、根本的な問題はなかった。
・ トランプを追い出せば、すべてがうまくいく。
「トランプは問題ではない。彼は症状なのである。」と云う指摘は正にその通りで、トランプ・ブームの温床となったプルートクラシーの構造の問題に比べれば、トランプ個人などどうでも良いとも言える。この点を踏まえないトランプ批判は基本的に全てスピン・コントロールだ。
Trump's Critics Are Even More Dangerous Than He Is
No. 1549 トランプ大統領の批判者はトランプ以上に危険
マレーシアの元首相マハティール・ビン・モハマド氏の2001年のインタビュー。共産主義ブロックが消滅して最早人々にいい顔をする必要が無くなった剝き出しの資本主義は、新しい帝国主義に結び付く可能性が有る。昔と違って今は直接軍事力を使って征服する必要は無く、対象国を不安定化させて「援助」で縛り付ければ、実質的にその国を植民地に出来る。野放しの自由市場に於て企業は人々の社会的ニーズに関心を持たず、独占に向かう。「自由市場と、消費者と一般の人々の利益を保護する為に不可欠な幾つかの規制との間でバランスを取らなければいけません。」(ワシントン・コンセンサスについては)ワシントンのコンセンサスではなく、世界のコンセンサスであるべきです。」「西側諸国が定義するグローバリゼーションは私達にとって良くないのではないか、と恐れています」。
US pushing war on China: Malaysia’s ex PM explains imperialism’s roots in capitalism
BBCの記事。2014年のプリンストン大学のマーティン・ギレンズ教授とノースウェスタン大学のベンジャミン・ペイジ 教授の多量解析を用いた分析研究に拠ると、米国は民主主義ではなく寡頭制だ。少数の裕福な人々が政策を動かす一方で、平均的なアメリカ人は殆ど力を持っていない。これは1981〜2002年の間に行われた公共政策の問題に関する1,779 の質問への回答を分析した結果で、経済的エリートの支持が低い(2割)政策変更が採用される確率は18%に過ぎないが、支持が高い(8割)場合は45%の確率で採用される。米国社会は多くの民主的ガヴァナンスの特徴を備えてはいるが、現実の政策決定に対しては強力な企業組織と少数の裕福なエリート層が独立した影響力を発揮している。
Study: US is an oligarchy, not a democracy
こちらが元論文。
Testing Theories of American Politics: Elites, Interest Groups, and Average Citizens
戦争や搾取の仕組みを生み出す帝国主義(帝国のやること)についての、マイケル・パレンティ氏の講演。帝国についてのバラ色のイメージと帝国の実態には相当な乖離が有るが、帝国は(特に恐怖を利用して)人々の心理を操る術に長けている。人々のすべきことは、懐疑心を持ってこれらの嘘を見抜き、皇帝を押し返すことだ。
Michael Parenti, The Darker Myths of Empire: Heart of Darkness Series
【必見】別の箇所でも紹介したが、「誰がこの世界を所有しているのか?」についての優れたドキュメンタリー。とにかく大きなカネの動きが解らなければ、この世界の仕組みは理解出来ない。この種の話が一般常識になる様にならないと、民主主義など夢のまた夢。殆どの人は騙された儘一生を終えることになる。
Monopoly - Follow The Money
イアン・デイヴィス氏の記事。人々は西洋式の代議制民主主義こそが唯一の民主主義的制度であると思い込まされているが、実際には寡頭制。民主主義の精神を再考し、グローバリストのオリガルヒ達が推進しようとしているテクノクラートの悪夢に抵抗せねばならない。
———デイヴィス氏は西洋以外の民主主義の可能性については触れていないので、ここで述べられている見解には限界も多いが、今はこうしたラディカルなことを問い直さねばならない時期なのだと思う。

https://in-this-together.com/long-live-democracy/
エングダール氏の記事。米帝の選挙制度は私物化されていて最早透明性は到底期待出来ない。この記事ではザッカーバーグ、Google、ロックフェラー等のカネの動きを解説している。
Zuckerberg, Rockefeller, Google and the Privatization of Election Integrity


Who Are The New World Order – A Brief History
イアン・デイヴィス氏による、グローバル官民パートナーシップ(Global Public-Private Partnership/GPPP)についての簡単なお浚い。グローバル企業(中央銀行を含む)、慈善団体、シンクタンク、政府とその諸機関、NPO、学術団体や科学機関、労働組合、思想的指導者達等が渾然一体となって「利害関係者」ネットワークを形成している。これは国際ルールによって近代国家の法治システムを回避し、人民の合意抜きにグローバルガヴァナンスを実現する為の手法。この仕組みを理解しないと、SDGs詐欺やステークホルダー資本主義/グレート・リセットは理解出来ない。

What Is the Global Public-Private Partnership
What is the “Global Public-Private Partnership”?
米国人は独力でのし上がった(Self-Made)金持ちの話が大好きだが、現実のビリオネアは自力以外の様々な力を利用して富と権力を獲得している:
・家族の富や特権(特に白人男性)
・労働の搾取
・政府の援助
単に「努力すれば成功する」「チャンスは誰にでも開かれている」と云う話は現実離れした与太話に過ぎないので、神話に基付いて米国社会を美化するのは止めよう。
The Myth Of The "Self-Made" Billionaire
世界中何処でもそうだが、普通の一般庶民が望むのは、政治的なイデオロギーよりも先ず自分の生活が良くなることだ。この点から人々の目を逸らさせる様な選挙は民主主義の名に値しない。西洋とはガヴァナンス・システムが異なると云うだけの理由で中国を独裁国家呼ばわりしてみたところで、それで新自由主義諸国の人々の生活が改善する訳ではない。

Out-of-touch politicians
1986/04/15にマイケル・パレンティ氏がコロラド大学で行なった講演、「米国の介入主義、第三世界、そしてソヴィエト連邦」。彼が批判しているのは冷戦末期で新自由主義台頭期のレーガン政権の、外交政策に於ける違法で非道な介入主義と、国内政策に於ける弱者切り捨てだが、同じ指摘は21世紀の現在には当て嵌まることだ。両者は同じコインの裏表であり、レーガンはアホではなく、彼の階級の利害の為に合理的に動いているが、それは大多数の一般庶民の利害とは完全に相反している。アメリカ帝国主義者達によって共産主義者と言われている人達は単に自分の生活を向上させたい(字が読める様になりたい、病院や学校が利用出来る様になりたい、産業を発展させて米国と友好関係を結んで自由で公平な貿易を行いたいetc)と思っている人達のことに過ぎず、彼等は愛(例えば「親米/反米」)などと云う移ろい易い基準によって物事を判断している訳ではなく、愛よりも強く持続的な自己利害に基付いて判断している。単なる抽象的なステレオタイプではなく具体的な歴史的現実に基付いて他者を理解することが出来れば、この「自己利害」と云うものが如何に強固なものかも理解出来る様になる(私の見るところ、この「具体的な他者の現実」を見たくない、薄っぺらで飲み込み易い他者像しか受け入れたくないと云う現代日本人の欲望は非常に強く、最早自滅的なレヴェルにまで達している。自らの生存を懸けて苦闘する他者の現実を理解する努力は、スイッチ一つで「不愉快な他者」から逃れられる便利な時代には歓迎されない。世界の広さに合わせて自分の視点を一次停止する位なら、自らの視野に合わせて世界を切り取る方が遙かにラクだ。洞察力に満ちた社会学者ニール・ポストマンの表現を借りるなら、現実の複雑さや他者の不快さに耐える位なら、「愉しみながら死んで行く」方がマシだと考える人が実に多い)。
Michael Parenti lecture (1986)
★トリクルダウン理論(「おこぼれ理論」と私は訳したい)がイカサマであることについての簡単な解説。
トリクルダウン経済学(要点)
テッド・ロール氏の論説。トランプを批判する者達が想定している次の3点は決定的に誤っている。
・他の大統領や政治家は、トランプよりも嘘をつく数が少ないか、ずっと少ない。
・ トランプが大統領になる前に、米国にもその政治体制にも、根本的な問題はなかった。
・ トランプを追い出せば、すべてがうまくいく。
「トランプは問題ではない。彼は症状なのである。」と云う指摘は正にその通りで、トランプ・ブームの温床となったプルートクラシーの構造の問題に比べれば、トランプ個人などどうでも良いとも言える。この点を踏まえないトランプ批判は基本的に全てスピン・コントロールだ。
Trump's Critics Are Even More Dangerous Than He Is
No. 1549 トランプ大統領の批判者はトランプ以上に危険
マレーシアの元首相マハティール・ビン・モハマド氏の2001年のインタビュー。共産主義ブロックが消滅して最早人々にいい顔をする必要が無くなった剝き出しの資本主義は、新しい帝国主義に結び付く可能性が有る。昔と違って今は直接軍事力を使って征服する必要は無く、対象国を不安定化させて「援助」で縛り付ければ、実質的にその国を植民地に出来る。野放しの自由市場に於て企業は人々の社会的ニーズに関心を持たず、独占に向かう。「自由市場と、消費者と一般の人々の利益を保護する為に不可欠な幾つかの規制との間でバランスを取らなければいけません。」(ワシントン・コンセンサスについては)ワシントンのコンセンサスではなく、世界のコンセンサスであるべきです。」「西側諸国が定義するグローバリゼーションは私達にとって良くないのではないか、と恐れています」。
US pushing war on China: Malaysia’s ex PM explains imperialism’s roots in capitalism
BBCの記事。2014年のプリンストン大学のマーティン・ギレンズ教授とノースウェスタン大学のベンジャミン・ペイジ 教授の多量解析を用いた分析研究に拠ると、米国は民主主義ではなく寡頭制だ。少数の裕福な人々が政策を動かす一方で、平均的なアメリカ人は殆ど力を持っていない。これは1981〜2002年の間に行われた公共政策の問題に関する1,779 の質問への回答を分析した結果で、経済的エリートの支持が低い(2割)政策変更が採用される確率は18%に過ぎないが、支持が高い(8割)場合は45%の確率で採用される。米国社会は多くの民主的ガヴァナンスの特徴を備えてはいるが、現実の政策決定に対しては強力な企業組織と少数の裕福なエリート層が独立した影響力を発揮している。
Study: US is an oligarchy, not a democracy
こちらが元論文。
Testing Theories of American Politics: Elites, Interest Groups, and Average Citizens
戦争や搾取の仕組みを生み出す帝国主義(帝国のやること)についての、マイケル・パレンティ氏の講演。帝国についてのバラ色のイメージと帝国の実態には相当な乖離が有るが、帝国は(特に恐怖を利用して)人々の心理を操る術に長けている。人々のすべきことは、懐疑心を持ってこれらの嘘を見抜き、皇帝を押し返すことだ。
Michael Parenti, The Darker Myths of Empire: Heart of Darkness Series
【必見】別の箇所でも紹介したが、「誰がこの世界を所有しているのか?」についての優れたドキュメンタリー。とにかく大きなカネの動きが解らなければ、この世界の仕組みは理解出来ない。この種の話が一般常識になる様にならないと、民主主義など夢のまた夢。殆どの人は騙された儘一生を終えることになる。
Monopoly - Follow The Money
イアン・デイヴィス氏の記事。人々は西洋式の代議制民主主義こそが唯一の民主主義的制度であると思い込まされているが、実際には寡頭制。民主主義の精神を再考し、グローバリストのオリガルヒ達が推進しようとしているテクノクラートの悪夢に抵抗せねばならない。
———デイヴィス氏は西洋以外の民主主義の可能性については触れていないので、ここで述べられている見解には限界も多いが、今はこうしたラディカルなことを問い直さねばならない時期なのだと思う。

https://in-this-together.com/long-live-democracy/
エングダール氏の記事。米帝の選挙制度は私物化されていて最早透明性は到底期待出来ない。この記事ではザッカーバーグ、Google、ロックフェラー等のカネの動きを解説している。
Zuckerberg, Rockefeller, Google and the Privatization of Election Integrity
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