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ロシアの特別軍事作戦のペースが遅いが着実であることについての15の説明(要点)

以下は地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の 15 Explanations For The Slow But Steady Pace Of Russia’s Special Military Operation の要点。ウクライナでのロシアでの特別軍事作戦の展開について、考えられ得る15の説明を列挙した記事。


 1)ウクライナへの介入は、プーチンがそれを回避する為のあらゆる外交的オプションを使い果たした後、土壇場になって決定された可能性が高い。

 2)1)による政治的な準備不足は、ロシア軍の一部を混乱させた可能性が有る。単に訓練に参加していただけだと思っていた部隊も有るかも知れない。

 3)2)と同様、ウクライナ内のロシア人地域の地元住民の一部も予想外の展開に混乱している可能性が有る。当初地元民の多くの支援が無かったことの原因はこれかも知れない。

 4)キエフは反ロシア・イデオロギーで8年間ウクライナ市民を教化して来たが、その影響で自分を「ウクライナに住んでいるロシア人」ではなく「ウクライナ-ロシア人」と見做している地元民も居たかも知れない。当初ロシア軍に会いたがらない人々が居たのはこの所為かも知れない。

 5)キエフは人権など尊重しないファシスト独裁を監督しているので、彼等がロシア軍を解放者として歓迎した者を射殺するかもと地元民は恐れたのかも知れない。

 6)キエフは自国民の人権を全く尊重せずに、住宅地を軍事化した。モスクワは民間人と軍の死傷者を最小限に抑えたいと願っていた為、ロシア軍はペースを落とした。

 7)6)を補足すると、住宅地を爆撃してしまえば進軍のペースを早められるが、プーチン大統領はロシア人とウクライナ人を歴史的に結び付いた人々だと真剣に考えて民間人に犠牲が出ることを心配している為、(平気で無差別爆撃を行なって標的国を瓦礫の山に変えて来た米軍やNATOと違って)敵を系統的に住宅地から追い出す必要が有る。

 8)キエフが通常/非正規(conventional/unconventional)の軍事的資源を使い果たすにはそれなりに時間が掛かる為、「電撃戦」はそもそも選択肢には入っていなかった。

 9)ウクライナ紛争は米国主導の西側諸国がウクライナを捨て駒に利用した代理戦争だが、NATOは何年も前からこれを計画していた。キエフがイデオロギーと軍事の面で備えが出来ていたことや、特別軍事作戦開始前、そして開始から80日以上の間に行われた西側の援助の規模、範囲、速度を見てもそれは明らかだ。

 10)西側主流メディア(MSM)の報道とは反対に、「キエフの戦い」は「勇敢なウクライナ人の抵抗」によってロシア軍が戦線を縮小した訳ではなく、そもそも事前に計画された戦略的策略だった。これは軍産複合体、サプライチェーン、輸送ネットワークを分断する為に南部戦線を一掃した後、敵勢力を北部と東部戦線に分割する為に行われた。

 11)MSMはロシア軍が北部から撤退したことばかり取り上げているが、同時期にロシア軍は東部の敵を包囲する特別作戦の第二段階を開始している。南部の掃討については殆ど語られていないが、これは近代史上最も驚くべき軍事的成功のひとつだ。

 12)国連安保理が支持するミンスク合意によってキエフがドンバス紛争の政治的解決に成功していたら、ドンバスは自治区としてウクライナ内に留まった可能性が有るが、そうはならなかった為にロシア軍の特別軍事作戦が開始され、これはモスクワが所謂「ノヴォロシア・プロジェクト」を復活させる条件をウクライナ南部で整えることになった。

 13)ロシア軍が東部戦線を突破したいと思っているのは確かだろうが、現時点で最優先すべきなのは、ロシアの故郷と再統一する為の国民投票に先立って、ノヴォロシアの歴史的地域で南部の利益を整理統合することだ。これが成功すればモスクワにとって比類の無い政治的勝利を意味することになる。

 14)純粋に軍事的な手段では非ナチ化を完了出来ない。ロシアの特別作戦の非ナチ化目標は、軍事的に解放された地域での社会政治的改革を必要とし、戦域全体で実験し、完成させ、他の場所で実施する時間を必要とする。従って南部を実験場として利用することが重要なのであり、ヘルソン地域で起こっている全てのことを是非とも詳細にフォローせねばならない。

 15)ウクライナ全体に「電撃戦」を展開していたら、背後を敵に突かれ、非ナチ化目標の社会政治的次元を損なっていたかも知れない。最初に徹底して敵を排除することが必要だった。
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川流桃桜

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