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日本人は何時まで「日本は平和主義国」と云う偽善で自らを甘やかすのか?

Felix Abt著、A Land of Prison Camps, Starving Slaves and Nuclear Bombs? のレビュー。




 最近の世論調査に拠ると、度重なる朝鮮民主主義人民共和国(以下、DPRK)のミサイル実験や核実験を受けて、DPRKに軍事的脅威を感じる日本人が多数派を占めているそうだ。彼等にとってはそもそも何故北朝鮮が核開発を行なっているのか、日本にミサイルを打ち込むとしたらそれはどう云う条件の下でなのか等は、全く想像の及ばないことなのだろう。そして日本のマスコミの日々の下劣な扇動報道を鵜呑みにして「とにかく北朝鮮と云うのは狂った独裁者に支配された何をやらかすか解らない国だ」と認識しているのだろう。彼等にとってはこちら側(主に米日韓)こそDPRKの人々をこれまで何百万人も殺害して来た征服者であり、朝鮮戦争を終わらせない為にこれまで何度も嘘を吐いて裏切って朝鮮半島に平和が訪れるのを妨害し、今尚軍事的威嚇を続け、非人道的な制裁によって多くの人々の生活を破壊している加害者なのだと云う現実は、単に目に入っていないのだろう。彼等にとってはマスコミが切り取った、極端に偏った枠組みの中で見える光景こそが現実の国際情勢の全てなのだ。今や日本の自称平和主義者の殆どにとっては、反戦主義とは単に現実の戦争(ハイブリッド戦争)について何も考えないことと同義であり、理想だけでは解決出来ない現実と苦闘する被害者達の置かれている状況について想像を巡らせる必要など無いのであり、事実を指摘する者達の声は単に黙殺するか「陰謀論」「中国やロシアの工作員」などと嘲罵して傲慢で怠惰な思考停止状態を続けていれば、それで平和が守られていることになるのだろう。その所為で被害に遭うのは、よく知らない他国の誰かであって自分達ではなく、自分達が直接理解出来る形で被害に遭うことさえ無ければ、どんな形の戦争であろうと全く意に介さない―――それがこの腐った国の「普通の日本人」の現状だ。

 これはDPRKに限らず国際情勢全般について言えることであって、中国がウイグルのジェノサイドを行なっていると言われればあっさり信じて「ウイグルの人々を経済的に困窮させろ」と要求し、ロシアがウクライナを侵略していると言われれば何の疑問も持たずに「ナチを軍事支援して第三次世界大戦を始めろ」と叫び出す。救い様が無い。実際に苦しんでいるのが本当は誰なのか、腐り切ったマスコミや政治家から与えられた物語(ナラティヴ)にだけに依存して世界認識を形成しているからだ。まぁそれは何十年も掛けてマスコミや政治家にそう洗脳されて来たからなのであって、「騙されている」と言われれば確かにその通りなのだが、COVID-19パンデミック詐欺が始まってからこの方、私は「騙された者に全く責任は無いのか」と云うことを、これまで以上によく考える様になった。全体主義は独裁者や全体主義的システムだけによって作られるものではない、それは無数の力を持たぬ人々が自らの思考を放棄してを上から与えられたものを無批判に受容し、支持し、参加することによって初めて可能になるものだ。独立した思考を放棄する者は須く共犯者だ。私達は「普通に」生きているだけで加害者になる体制の下で生きているし、被害についても同様だ。私達は自覚するかしないかに関わらず、日々全体主義社会を選択し志向しているのであり、マスクを着けたり「ロシア怖い」などと言う一瞬一瞬に、嘘に基付くデマクラシーの成員として自らを規定しているのだ。

 何が「戦争は嫌だ」「日本は戦争しない国」だ、ふざけるな、戦争はもうとっくに始まっている。朝鮮戦争に関して言えばそれは1950年からずっと続いている。始めたのは米帝だし、終わらせようとしないのも米帝だし、国際法を無視しまくって地域の平和を脅かしているのも米帝だが、西側の公式の物語では全て逆転した構図に置き換えられている。相手は邪悪な独裁国家なのだからこちらがどんな卑劣で非道な行為を繰り返しても許される、と云う言い訳が立つ訳だ。反吐が出る。私はこの種の偽善極まり無い「平和主義」にはもう良い加減うんざりしている。私達は腐った汚水の中に生きていて、それに気付かない、或いは気付かない振りを続けることで生き延びている。だがそんな「平和」に一体何の意味が有るのか。ウクライナ紛争がはっきりさせたのは、「私達は昔も今もナチ陣営であり、歴史の間違った側に居る」と云うこの上も無く醜い現実だ。朝鮮半島問題についても同じ構図を浮き彫りにして決着を迫らねばならない。とにかく私はこの嘘だらけの戦争プロパガンダが常態化した現実にもうこれ以上我慢がならない。被害国についての現実を知らないことは、自分達自身の国についての現実を知らないことと裏表だ。脱洗脳のプロセスは他国の為だけではなく、自国の為にも絶対に必要な作業なのだ。

 本書は私が日頃愛読しているニュースサイト”Global Research”で紹介されていたのを見掛けて、値段も安かったし(129円!)分量も然程無かったしで、直ぐに購入して他の読書の合間にさくっと一気に読んだ。著者はDPRKで長年ビジネスマンとして活動して来た方で、製薬、銀行、鉱業等々、色々と手広く手掛けて中小企業を立ち上げたりして来た経歴の持ち主。西側の企業人はすっかり西側プロパガンダに洗脳され切った人も珍しくはないが、この人は米帝の非道やプロパガンダの実態についても詳しく知っている様で信頼が置ける。一般的な事柄についての記述も多いが、後半はビジネスマンとしての自分の経験から、米帝の非道な制裁がどれだけDPRKの一般の人々の生活を脅かしているか、まともなビジネスや農業や鉱業を不当に妨害されることが何を意味するのか、国際経済システムから締め出されることによって何が起こるのか、自身の豊富な経験を基に、苦々しく簡単に振り返っている。本書を読むことで、制裁が正に経済戦争であり、進行性のジェノサイドと呼ぶべき人道犯罪に他ならないことが再確認出来る。「北朝鮮怖い!」と叫ぶ、他者に対する想像力の欠落した日本人は盛んに制裁強化を叫ぶが、隣人に対して平然と「ジェノサイドを仕掛けろ」と主張する人達のことを、一体どう解釈したら良いのだろう。無論それは現状を全く理解していないからこそ言えることなのだが、彼等は自らの行動の結果について単に無知なだけではなく、想像を巡らせないことを選択して来たのだ。思考のキッカケを与える出来事なら幾らでもゴロゴロしているのに、彼等はそれを悉く見過ごして考えないことを選択して来た。自らが閉じ込められている認知的な檻の中から一歩も出ない運命を自らに課して来たのだ。

 今(2022年5月現在)、自国民を虐殺しまくっているウクライナのゼレンスキー政権に声援を送っている人達は、無論ゼレンスキー政権の正体について全く何も知らない。今までドンバスの人々が被って来た苦難について全く無知であり、従って無関心だったからだ。だが現代社会に於て無知であり続けることを選択することは、無責任で怠惰で、未来に何も希望を持たない絶望し切った態度であって、それ自体が罪であると認識すべきだと私は思う。ウクライナのジェノサイドは日本人にとっては間接的な問題であって比較的遠い問題だが、日本人は先ずは足元で起こっており、自分達により大きな責任の有るジェノサイドに気が付くべきだろう。再度強調したいがアメリカ帝国の永久戦争体制の犠牲になっているのはDPRKだけではない、日本人自身も属国の臣民としてじわじわと搾取され犠牲を強いられ続けている。この現実から目を背け続けることは無責任以外の何物でもない。拉致被害者や核ミサイルの話ばかりして被害者面をするのは思考停止した者にとっては気持ちが良いかも知れないが、私達は自分達の国が相手国に対してどんな所業を働いているのか、きちんと自覚すべきだ。「俺達こそが/俺達だけが『国際社会』」と気取っていられる時代はもう終わったか、少なくとも終わりの始まりを迎えている。最早頭を切り替え、加害の実態を真摯に直視すべき時だ。
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このウクライナ戦争で、日本は、徳川幕府を倒して大日本帝国になり、敗戦後今も純然とその体制にあることが、どういうことなのか思い知らされました。
「私達は昔も今もナチ陣営であり、歴史の間違った側に居る」と云うこの上も無く醜い現実」
ということを、ずっと曖昧にしてきてしまって、いよいよもう逃げられないところまで来てしまっていると感じています。
でも、このようにブログやSNSや様々に、これまでの歴史、今の現実、そして未来について、米帝-日帝の方向と違う考え方や選択肢を発信している方々を見て、先ずは自分自身をちゃんと生きて、何かできることを行動したいと思います。
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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