インド
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/22、フィナンシャル・タイムズの報道は、インドと西洋の蜜月関係が遂に終焉を迎える可能性を示唆しているが、それが世界の多極化プロセスに於て果たす役割は極めて重要なものとなる。インドとロシアの戦略的パートナーシップは、米国のリベラル・グローバリスト派閥が望む米中二極化の未来に対抗する上で不可欠の役割を果たす。
インドと西洋の蜜月関係が遂に破局?(抄訳)
2023/11/22、カナダに続いて今度は米国が、インドが自国の領土で二重国籍者(またしても、インドからはテロ容疑者に指定されている人物)の殺害を計画していると仄めかした。但しインド当局に「懸念が表明」されたのは非公式なルートでだったらしい。例によって証拠は明らかにされていない。
India Faces Questions About Another Reported Foreign Assassination Plot
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/02、ロシアは包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を正式に取り消した。ロシアと米国は核実験再開を巡ってジレンマに陥っているが、両国が報復実験を開始すれば、それがタブーを破ることになって他の核保有国(特にパキスタンとインド)も後に続くかも知れない。
ロシアには包括的核実験禁止条約の批准を取り消す正当な権利が有る(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。英語圏の「ファイブ・アイズ」諸国ははインド・カナダ論争に於て全てカナダ側を一方的に支持しており、これらがインドに対抗する為に団結していることが明らかになった。
インド・カナダ論争についてニュージーランドが不誠実な構図を当て嵌めてデリーを非難(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。最新のイスラエル・ハマス戦争に於て、ロシアとインドは、どちらかを犠牲にすることなく、双方のバランスを取ることは実際に可能であることを証明した。これはこの紛争のそれぞれを支援している米国とカタールを動揺させており、従って彼等はロシアとインドの信用を落とそうと偽情報キャンペーンを展開している。
米国とカタールはイスラエル・ハマス戦争に対するロシアとインドの政策の信用を落とそうとしている(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析。インドの公式声明を確認すると、最新のイスラエル・ハマス戦争に対するインドの立場はロシア同様、極めてバランスの取れたものであることが判る。
Interpreting India’s Position Towards The Latest Israeli-Hamas War
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。インドとカナダの論争は、米国が関与していたと云う暴露を受けて、インドと米国の対立に発展した。米国のリベラル・グローバリスト派閥はプラグマティスト派閥が計画している印米協力関係を損なおうと陰謀を巡らせているが、これは今後の展開次第によっては世界のバランスを大きく変える危険性が有る。
インド・カナダ論争に於ける米国の二重取引は、デリーとの関係を台無しにする危険性が有る(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/09/18カナダのトルドー首相によるニジャール氏殺害事件の発表とそれに対するインドの反応は、それぞれが西洋/非西洋の価値観を体現しており、新冷戦に於ける二極化を更に悪化させる可能性が有る。
インドとカナダの論争には暗殺疑惑以上のものが色々絡んでいる(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点。インドがウクライナ戦争の仲介者に適任である5つの理由。
インドがロシアとウクライナの停戦を仲介出来る5つの理由(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋がバングラデシュに対する圧力を強めているのは、不安定化の連鎖反応を隣国インドの北東部にまで広めたいと思っているからである可能性が有る。
バングラデシュに対する西洋の圧力増大はインド北東部への今後の介入を予感させる(抄訳)
★2023/06/23の、インドのバルカン化を仄めかすオバマの発言についての、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多少補足した。リベラル・グローバリスト派閥は純粋にイデオロギー的な動機からインドに対するハイブリッド戦争を諦めていない。
インドのバルカン化についてのオバマの言葉は、リベラル・グローバリストが依然として脅威であることを示している(抄訳)
★インドはNATO+に加わるのか?について、アンドリュー・コリブコ氏の分析。
インドが「NATOプラス」に加わるなどと想像するのは政治的幻想だ(要点)
★ベン・ノートン氏の記事の要点。インドはロシアの石油をEUに転売することで儲けている。
欧州はインドが転売する禁止されたロシア産石油に更に多くのカネを払う———そしてEUの賃金は低下する(要点)
コリブコ氏の記事。新冷戦に於て中立を貫くインドは多面的な連携を通じてグローバルサウスの非公式のリーダー格となりつつあり、2023年の第3回インド太平洋諸島協力フォーラム出席に合わせてパプアニューギニアと結ばれる様々な協力関係も期待を集めている。太平洋島嶼国は中国の影響力と米国のゼロサム要求との間でバランスを取ってくれる第三国を必要としているが、世界第5位の経済大国としてのインドが期待の星。小国も対等なパートナーとして遇することを世界に見せつければ、インドも真の中立パートナーとしての評判を強化することが出来る。
Modi’s Upcoming Trip To Papua New Guinea Will Expand The Scope Of India’s Balancing Act
★インド人口財団事務局長のプーナム・ムトレジャ氏の論説から、インドの人口管理に関する部分の要点を纏めてみた(中国の一人っ子政策については今更な内容なので割愛した)。
何故人口管理に関して中国は間違え、インドは正しかったのか(要点)
エングダール氏の記事。ウクライナ戦争に於て、インドのモディ政権は中立の原則を守り(「ロシアの味方」をしている訳ではない)、自国の利益に従って行動している。だがワシントンにとって、他国が自分達の命令に従わず、自律的な行動をすることは許されない。冷戦期と同じく、レジームチェンジがそれに対する「解決策」だ。
Washington Is Out to Topple India’s Modi
ワシントンはインドのモディを倒そうと狙っている
2023年4月、今度はインドとバングラデシュが部分的な脱ドル化を発表。二国間貿易に於て、バングラデシュからインドへの輸出(2022年には20億ドル相当)は完全にルピーとタカに切り替わり、インドからバングラデシュへの輸出(2022年には136億9.000万ドル相当)の内20億ドル分はルピーで支払われる。手続き上の問題は残っているが、両国の銀行は互いに口座を開いて自国通貨での取引に備えている。この他インドはイランからの原油輸入とマレーシアとの貿易をルピー決済メカニズムに切り替えている。インドは現在、ロシアを含む18ヵ国のルピー貿易メカニズムを持っている。ルーブル、人民元に加えてルピーまでがドル離れを宣言したことの意味は大きい。
India and Bangladesh ditching dollar in trade – media
2023/03/31、インドは新たな対外貿易政策を発表。米ドルからの転換とルピーの世界通貨化を目指すのだそうだ。
India set to reduce use of US dollar in cross-border trade
★アンドリュー・コリブコ氏の記事。
インドに対するソロスのハイブリッド戦争宣言は、インドの独立を蝕むことを目的としている(要点)
★コリブコ氏の記事。西洋諸国はインドを仲介して密かにロシアのエネルギーを輸入しているが、キエフはその件を知らされずに対インド制裁を求めている。
米国務省は、米国はインドに制裁を課せと云うキエフの要求を一蹴(要点)
コリブコ氏の記事。2023/01/02のインタビューで、インドの野党指導者ラフル・ガンディー(インド初代首相ネールの曾孫)は、ロシアはウクライナが西洋と接近することを望んでいなかったからウクライナの「地理を変更」し、それは中国がインド国境でやっていることとも同じだと発言。つまり西洋がウクライナについて流している与太話を、全く違う状況にその儘コピペした訳だ。ガンディーは中国の台頭と与党批判を繋げることで西洋に媚を売り、且つ自党の勢力伸長を図っている様だが、幸いなことに、彼はインドでは大した影響力は持っていない。
Rahul Gandhi Proved That His Foreign Policy Perceptions Are Shaped By The West
★大英帝国によるインド人民のジェノサイドについて、ロシア外務省が声明。
大英帝国植民地時代のインド人民のジェノサイドを決して忘れてはならない(要点)
★ベン・ノートン氏の記事の要点。大英帝国の植民地支配がインドに何を齎したか。
大英帝国は40年間で1億6,500万のインド人を殺害した:植民地主義がファシズムに影響を与えた方法(要点)
コリブコ氏の記事。2022/12/07、プリマコフ・リーディングズ国際フォーラムに於て、ロシアのラヴロフ外相はこう発言している:「当然のことながら、インドは多極化する世界を目指すだけでなく、その最も重要な極のひとつとして、多極化する世界の形成の核心に位置しているのです。」つまりロシアは現在の多極化プロセスに於て、インドの果たす役割が不可欠なものだと認識している。最近のロシアとインドは関係を拡大させているが、この特別にして特権的な戦略的パートナーシップは、出現しつつある多極世界秩序の最も重要なエンジンとひとつだ、と云うのがコリブコ氏の見立て。
Russia Officially Declared That India Is At The Center Of The Emerging Multipolar World Order
ラヴロフ外相のスピーチ全文。
Foreign Minister Sergey Lavrov’s remarks and answers to questions at the Primakov Readings International Forum, Moscow, December 7, 2022
【参考】2021/12/16〜2022/11/28まで、現在の多極化へ向けた地政学的大変動に於けるインドの現状を分析した、地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の記事リンク一覧。
Korybko To Rajagopalan: India’s Principled Neutrality Does Indeed Ensure Its Security
コリブコ氏の記事。2022年のOECDの発表では、中国のGDP成長率は3.3%にまで減速する一方、インドはその2倍の6.6%で成長している。世界的な減速傾向は変わらないが、インドは経済的自殺行為とも言うべき対ロシア制裁には中立の原則を堅持して加担せず、包括的貿易協定を進めて、ロシアからの石油や肥料の供給が急増したことが大きい様だ。インドは近い内に中国を抜いて世界最大の人口を抱えることになると予想されており、経済成長の低下は人道的大惨事に繋がりかねない為、少なくともこれは良い兆候だ。

The OECD’s Latest Report Showed That India’s Economy Is Growing Twice As Fast As China’s
★コリブコ氏の記事。2022/11/21、シリアのファイサル・メクダッド外相のインタビューより、幾つかのポイント。
シリア外相は、インドが今や世界的な大国と見做されるべき理由を説明した(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の要点。
インドの若者がロシアを自国にとって最も信頼出来るパートナーと見做しているのには尤もな理由が有る(要点)
★イェギア ・タシアン氏による、アゼルバイジャン=アルメニア紛争に於けるインドの立ち位置の解説。
インドがアゼルバイジャンに対してアルメニアを武装させている理由
2022/09/30、国連安保理に於て米帝とアルバニアが提出した「ロシアの違法な国民投票と4つのウクライナ領土の併合を非難する国連安保理決議草案」について、インドは棄権した。インド代表はその際こう説明している:「意見の相違や論争を解決する唯一の答えは対話です。」「モディ首相がプーチン大統領を非難した」と云うフェイクニュースとは異なり、インドは一貫してウクライナ紛争については中立の原則を保っている。
Only dialogue can settle differences: India on Russia's Ukrainian annexation after abstaining at UNSC
★元インド外務次官のカンワル・シバル氏による論説の要点。「モディがプーチンを非難した」と云うのはフェイクニュース。
見解:モディ首相のサマルカンドでの発言は巧妙に歪曲された(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の論説。
東方経済フォーラム:インドにとって壮大な戦略的好機(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の論説の要点。
二重三極性へ向けて:複雑の時代に向けたインドの大戦略(要点)
1947年にインドが大英帝国の植民地の立場から脱して独立主権国家となってから、ソ連は西側植民地主義勢力とは違ってインドを対等に扱い、特に武器に関してはソ連からの輸入が増えた為に西側への依存を減らすことが出来た。現在でもインドとロシアは安全保障上の極めて緊密なパートナーであり、これは米=イスラエルの関係に匹敵する。様々な推計に拠ると、インド軍のシステムの約85%がロシア製であり、インドは武器調達の多様化を始めているものの、依然としてロシアが最大の取引相手。ロシアの所謂軍事産業革命の恩恵をインドも大いに受けており、安全保障面でインドを反ロシアに向けさせるのは容易なことではない。

India -Russia Military Cooperation: 85% of India’s Massive Military “Made in Russia”
★これまでの米印関係を振り返ることでその背景事情を探ったアトランティックの記事。
アメリカはインドを真に理解したことが無い(要点)
インド外交の「傲慢さ」についてのEU官僚の苦情を巡る対立についてのコリブコ氏の解説。EUの言い分を支持するインドの野党指導者ラーフル・ガンディー(写真右)は単極・リベラル・グローバリスト派(ULG)で、外務大臣スブラマニヤム・ジャイシャンカル(写真左)は多極・保守・主権主義者(MCS)。自国の国益を第一に考えるのは傲慢ではない、それは主権国家としては当然のことだ。相手が自分達の要求に従うことを当然と考える態度こそが傲慢だ。インドは最早白人の植民地ではないが、思い上がった西側はインドを本当にを理解したことは無かった。インド与党は如何なる犠牲を払っても戦略的自治と国家主権を守り抜くことに拘っている。前回の総選挙で与党が地滑り的勝利を収めたことからも判る様に、インドの有権者はULGとMCSの対立に気が付いている。

Rahul Gandhi vs. Subrahmanyam Jaishankar: A Clash Of Worldviews
コリブコ氏の解説。ロシアとインドが共同で進めている新たな非同盟運動(Neo-NAM)は、中央アジア、東南アジア、アフリカの第三諸国にも受け入れられることを謳っており、米中間のパワーバランスを取る為に両国が政治的、経済的、軍事的にリーダーシップを取ることを目指している。多極化世界に於て実用的な「第三の道」を提示することによって、戦略的ゲームチェンジャーになることが期待されている。考えられる今後の候補としては、ヴェトナム、バングラデシュ、アフガニスタン、イラン、UAE、イスラエル、エチオピア、南アフリカ。
The Neo-NAM: From Vision to Reality
コリブコ氏の分析。米国務副長官ウェンディ・シャーマンは一体何様のつもりなのか、インドに中立と非同盟の歴史的政策を放棄するよう「要求」したが、インドの大戦略はロシアと共同で新たな非同盟運動(Neo-NAM)を作り出すことであるので、この「要求」に応じることは無いだろう。他にもジェン・サキ報道官、ヌーランド国務次官、ダリープ・シン安全保障担当大統領副補佐官、ロイド・オースティン国防長官、ブライアンディーズ国家経済会議議長等が同様の発言をしており、アメリカ例外主義をオブラートに包む気すら無い様だ。
America’s Demand For India To Abandon Its Neutrality Is Dead On Arrival
コリブコ氏の分析。ドネツクの報道官は『インド・トゥデイ』のインタビューで、領土、言語、信仰等、ウクライナと同様アイデンティティの問題を抱えているインドが米帝の次の標的になるだろうと発言したが、既に標的になっている。ウクライナ紛争につてい中立を保とうとすることで非難を受けているし、経済的・財政的攻撃がカラー革命を含むハイブリッド戦争に発展する可能性も有る。
Donetsk Spokesman Basurin Is Right: The West Is Planning To Target India After Russia
インドはウクライナ紛争に関して中立の姿勢を保っており、ブチャの事件についてもロシア非難の合唱に加わることを拒否し、独立した調査を求めている。が、この中立に対する罰としてロイターから非難を受けている。世界を「敵か味方か」のふたつに分断しようとしているのは誰か? 無論ロシアではない。
India’s UNSC Bucha Statement Doesn’t Contradict Its Principled Neutrality
関連スレッド。
人類史上最大の労働運動
ケララ
インドと中国の対立に関する私のTwitterスレッド。
川流桃桜@UnmasktheEmpire @kawamomotwitt
インドと西洋の蜜月関係が遂に破局?(抄訳)
2023/11/22、カナダに続いて今度は米国が、インドが自国の領土で二重国籍者(またしても、インドからはテロ容疑者に指定されている人物)の殺害を計画していると仄めかした。但しインド当局に「懸念が表明」されたのは非公式なルートでだったらしい。例によって証拠は明らかにされていない。
India Faces Questions About Another Reported Foreign Assassination Plot
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/02、ロシアは包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を正式に取り消した。ロシアと米国は核実験再開を巡ってジレンマに陥っているが、両国が報復実験を開始すれば、それがタブーを破ることになって他の核保有国(特にパキスタンとインド)も後に続くかも知れない。
ロシアには包括的核実験禁止条約の批准を取り消す正当な権利が有る(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。英語圏の「ファイブ・アイズ」諸国ははインド・カナダ論争に於て全てカナダ側を一方的に支持しており、これらがインドに対抗する為に団結していることが明らかになった。
インド・カナダ論争についてニュージーランドが不誠実な構図を当て嵌めてデリーを非難(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。最新のイスラエル・ハマス戦争に於て、ロシアとインドは、どちらかを犠牲にすることなく、双方のバランスを取ることは実際に可能であることを証明した。これはこの紛争のそれぞれを支援している米国とカタールを動揺させており、従って彼等はロシアとインドの信用を落とそうと偽情報キャンペーンを展開している。
米国とカタールはイスラエル・ハマス戦争に対するロシアとインドの政策の信用を落とそうとしている(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析。インドの公式声明を確認すると、最新のイスラエル・ハマス戦争に対するインドの立場はロシア同様、極めてバランスの取れたものであることが判る。
Interpreting India’s Position Towards The Latest Israeli-Hamas War
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。インドとカナダの論争は、米国が関与していたと云う暴露を受けて、インドと米国の対立に発展した。米国のリベラル・グローバリスト派閥はプラグマティスト派閥が計画している印米協力関係を損なおうと陰謀を巡らせているが、これは今後の展開次第によっては世界のバランスを大きく変える危険性が有る。
インド・カナダ論争に於ける米国の二重取引は、デリーとの関係を台無しにする危険性が有る(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/09/18カナダのトルドー首相によるニジャール氏殺害事件の発表とそれに対するインドの反応は、それぞれが西洋/非西洋の価値観を体現しており、新冷戦に於ける二極化を更に悪化させる可能性が有る。
インドとカナダの論争には暗殺疑惑以上のものが色々絡んでいる(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の要点。インドがウクライナ戦争の仲介者に適任である5つの理由。
インドがロシアとウクライナの停戦を仲介出来る5つの理由(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋がバングラデシュに対する圧力を強めているのは、不安定化の連鎖反応を隣国インドの北東部にまで広めたいと思っているからである可能性が有る。
バングラデシュに対する西洋の圧力増大はインド北東部への今後の介入を予感させる(抄訳)
★2023/06/23の、インドのバルカン化を仄めかすオバマの発言についての、アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多少補足した。リベラル・グローバリスト派閥は純粋にイデオロギー的な動機からインドに対するハイブリッド戦争を諦めていない。
インドのバルカン化についてのオバマの言葉は、リベラル・グローバリストが依然として脅威であることを示している(抄訳)
★インドはNATO+に加わるのか?について、アンドリュー・コリブコ氏の分析。
インドが「NATOプラス」に加わるなどと想像するのは政治的幻想だ(要点)
★ベン・ノートン氏の記事の要点。インドはロシアの石油をEUに転売することで儲けている。
欧州はインドが転売する禁止されたロシア産石油に更に多くのカネを払う———そしてEUの賃金は低下する(要点)
コリブコ氏の記事。新冷戦に於て中立を貫くインドは多面的な連携を通じてグローバルサウスの非公式のリーダー格となりつつあり、2023年の第3回インド太平洋諸島協力フォーラム出席に合わせてパプアニューギニアと結ばれる様々な協力関係も期待を集めている。太平洋島嶼国は中国の影響力と米国のゼロサム要求との間でバランスを取ってくれる第三国を必要としているが、世界第5位の経済大国としてのインドが期待の星。小国も対等なパートナーとして遇することを世界に見せつければ、インドも真の中立パートナーとしての評判を強化することが出来る。
Modi’s Upcoming Trip To Papua New Guinea Will Expand The Scope Of India’s Balancing Act
★インド人口財団事務局長のプーナム・ムトレジャ氏の論説から、インドの人口管理に関する部分の要点を纏めてみた(中国の一人っ子政策については今更な内容なので割愛した)。
何故人口管理に関して中国は間違え、インドは正しかったのか(要点)
エングダール氏の記事。ウクライナ戦争に於て、インドのモディ政権は中立の原則を守り(「ロシアの味方」をしている訳ではない)、自国の利益に従って行動している。だがワシントンにとって、他国が自分達の命令に従わず、自律的な行動をすることは許されない。冷戦期と同じく、レジームチェンジがそれに対する「解決策」だ。
Washington Is Out to Topple India’s Modi
ワシントンはインドのモディを倒そうと狙っている
2023年4月、今度はインドとバングラデシュが部分的な脱ドル化を発表。二国間貿易に於て、バングラデシュからインドへの輸出(2022年には20億ドル相当)は完全にルピーとタカに切り替わり、インドからバングラデシュへの輸出(2022年には136億9.000万ドル相当)の内20億ドル分はルピーで支払われる。手続き上の問題は残っているが、両国の銀行は互いに口座を開いて自国通貨での取引に備えている。この他インドはイランからの原油輸入とマレーシアとの貿易をルピー決済メカニズムに切り替えている。インドは現在、ロシアを含む18ヵ国のルピー貿易メカニズムを持っている。ルーブル、人民元に加えてルピーまでがドル離れを宣言したことの意味は大きい。
India and Bangladesh ditching dollar in trade – media
2023/03/31、インドは新たな対外貿易政策を発表。米ドルからの転換とルピーの世界通貨化を目指すのだそうだ。
India set to reduce use of US dollar in cross-border trade
★アンドリュー・コリブコ氏の記事。
インドに対するソロスのハイブリッド戦争宣言は、インドの独立を蝕むことを目的としている(要点)
★コリブコ氏の記事。西洋諸国はインドを仲介して密かにロシアのエネルギーを輸入しているが、キエフはその件を知らされずに対インド制裁を求めている。
米国務省は、米国はインドに制裁を課せと云うキエフの要求を一蹴(要点)
コリブコ氏の記事。2023/01/02のインタビューで、インドの野党指導者ラフル・ガンディー(インド初代首相ネールの曾孫)は、ロシアはウクライナが西洋と接近することを望んでいなかったからウクライナの「地理を変更」し、それは中国がインド国境でやっていることとも同じだと発言。つまり西洋がウクライナについて流している与太話を、全く違う状況にその儘コピペした訳だ。ガンディーは中国の台頭と与党批判を繋げることで西洋に媚を売り、且つ自党の勢力伸長を図っている様だが、幸いなことに、彼はインドでは大した影響力は持っていない。
Rahul Gandhi Proved That His Foreign Policy Perceptions Are Shaped By The West
★大英帝国によるインド人民のジェノサイドについて、ロシア外務省が声明。
大英帝国植民地時代のインド人民のジェノサイドを決して忘れてはならない(要点)
★ベン・ノートン氏の記事の要点。大英帝国の植民地支配がインドに何を齎したか。
大英帝国は40年間で1億6,500万のインド人を殺害した:植民地主義がファシズムに影響を与えた方法(要点)
コリブコ氏の記事。2022/12/07、プリマコフ・リーディングズ国際フォーラムに於て、ロシアのラヴロフ外相はこう発言している:「当然のことながら、インドは多極化する世界を目指すだけでなく、その最も重要な極のひとつとして、多極化する世界の形成の核心に位置しているのです。」つまりロシアは現在の多極化プロセスに於て、インドの果たす役割が不可欠なものだと認識している。最近のロシアとインドは関係を拡大させているが、この特別にして特権的な戦略的パートナーシップは、出現しつつある多極世界秩序の最も重要なエンジンとひとつだ、と云うのがコリブコ氏の見立て。
Russia Officially Declared That India Is At The Center Of The Emerging Multipolar World Order
ラヴロフ外相のスピーチ全文。
Foreign Minister Sergey Lavrov’s remarks and answers to questions at the Primakov Readings International Forum, Moscow, December 7, 2022
【参考】2021/12/16〜2022/11/28まで、現在の多極化へ向けた地政学的大変動に於けるインドの現状を分析した、地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の記事リンク一覧。
Korybko To Rajagopalan: India’s Principled Neutrality Does Indeed Ensure Its Security
コリブコ氏の記事。2022年のOECDの発表では、中国のGDP成長率は3.3%にまで減速する一方、インドはその2倍の6.6%で成長している。世界的な減速傾向は変わらないが、インドは経済的自殺行為とも言うべき対ロシア制裁には中立の原則を堅持して加担せず、包括的貿易協定を進めて、ロシアからの石油や肥料の供給が急増したことが大きい様だ。インドは近い内に中国を抜いて世界最大の人口を抱えることになると予想されており、経済成長の低下は人道的大惨事に繋がりかねない為、少なくともこれは良い兆候だ。

The OECD’s Latest Report Showed That India’s Economy Is Growing Twice As Fast As China’s
★コリブコ氏の記事。2022/11/21、シリアのファイサル・メクダッド外相のインタビューより、幾つかのポイント。
シリア外相は、インドが今や世界的な大国と見做されるべき理由を説明した(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の記事の要点。
インドの若者がロシアを自国にとって最も信頼出来るパートナーと見做しているのには尤もな理由が有る(要点)
★イェギア ・タシアン氏による、アゼルバイジャン=アルメニア紛争に於けるインドの立ち位置の解説。
インドがアゼルバイジャンに対してアルメニアを武装させている理由
2022/09/30、国連安保理に於て米帝とアルバニアが提出した「ロシアの違法な国民投票と4つのウクライナ領土の併合を非難する国連安保理決議草案」について、インドは棄権した。インド代表はその際こう説明している:「意見の相違や論争を解決する唯一の答えは対話です。」「モディ首相がプーチン大統領を非難した」と云うフェイクニュースとは異なり、インドは一貫してウクライナ紛争については中立の原則を保っている。
Only dialogue can settle differences: India on Russia's Ukrainian annexation after abstaining at UNSC
★元インド外務次官のカンワル・シバル氏による論説の要点。「モディがプーチンを非難した」と云うのはフェイクニュース。
見解:モディ首相のサマルカンドでの発言は巧妙に歪曲された(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の論説。
東方経済フォーラム:インドにとって壮大な戦略的好機(要点)
★アンドリュー・コリブコ氏の論説の要点。
二重三極性へ向けて:複雑の時代に向けたインドの大戦略(要点)
1947年にインドが大英帝国の植民地の立場から脱して独立主権国家となってから、ソ連は西側植民地主義勢力とは違ってインドを対等に扱い、特に武器に関してはソ連からの輸入が増えた為に西側への依存を減らすことが出来た。現在でもインドとロシアは安全保障上の極めて緊密なパートナーであり、これは米=イスラエルの関係に匹敵する。様々な推計に拠ると、インド軍のシステムの約85%がロシア製であり、インドは武器調達の多様化を始めているものの、依然としてロシアが最大の取引相手。ロシアの所謂軍事産業革命の恩恵をインドも大いに受けており、安全保障面でインドを反ロシアに向けさせるのは容易なことではない。

India -Russia Military Cooperation: 85% of India’s Massive Military “Made in Russia”
★これまでの米印関係を振り返ることでその背景事情を探ったアトランティックの記事。
アメリカはインドを真に理解したことが無い(要点)
インド外交の「傲慢さ」についてのEU官僚の苦情を巡る対立についてのコリブコ氏の解説。EUの言い分を支持するインドの野党指導者ラーフル・ガンディー(写真右)は単極・リベラル・グローバリスト派(ULG)で、外務大臣スブラマニヤム・ジャイシャンカル(写真左)は多極・保守・主権主義者(MCS)。自国の国益を第一に考えるのは傲慢ではない、それは主権国家としては当然のことだ。相手が自分達の要求に従うことを当然と考える態度こそが傲慢だ。インドは最早白人の植民地ではないが、思い上がった西側はインドを本当にを理解したことは無かった。インド与党は如何なる犠牲を払っても戦略的自治と国家主権を守り抜くことに拘っている。前回の総選挙で与党が地滑り的勝利を収めたことからも判る様に、インドの有権者はULGとMCSの対立に気が付いている。

Rahul Gandhi vs. Subrahmanyam Jaishankar: A Clash Of Worldviews
コリブコ氏の解説。ロシアとインドが共同で進めている新たな非同盟運動(Neo-NAM)は、中央アジア、東南アジア、アフリカの第三諸国にも受け入れられることを謳っており、米中間のパワーバランスを取る為に両国が政治的、経済的、軍事的にリーダーシップを取ることを目指している。多極化世界に於て実用的な「第三の道」を提示することによって、戦略的ゲームチェンジャーになることが期待されている。考えられる今後の候補としては、ヴェトナム、バングラデシュ、アフガニスタン、イラン、UAE、イスラエル、エチオピア、南アフリカ。
The Neo-NAM: From Vision to Reality
コリブコ氏の分析。米国務副長官ウェンディ・シャーマンは一体何様のつもりなのか、インドに中立と非同盟の歴史的政策を放棄するよう「要求」したが、インドの大戦略はロシアと共同で新たな非同盟運動(Neo-NAM)を作り出すことであるので、この「要求」に応じることは無いだろう。他にもジェン・サキ報道官、ヌーランド国務次官、ダリープ・シン安全保障担当大統領副補佐官、ロイド・オースティン国防長官、ブライアンディーズ国家経済会議議長等が同様の発言をしており、アメリカ例外主義をオブラートに包む気すら無い様だ。
America’s Demand For India To Abandon Its Neutrality Is Dead On Arrival
コリブコ氏の分析。ドネツクの報道官は『インド・トゥデイ』のインタビューで、領土、言語、信仰等、ウクライナと同様アイデンティティの問題を抱えているインドが米帝の次の標的になるだろうと発言したが、既に標的になっている。ウクライナ紛争につてい中立を保とうとすることで非難を受けているし、経済的・財政的攻撃がカラー革命を含むハイブリッド戦争に発展する可能性も有る。
Donetsk Spokesman Basurin Is Right: The West Is Planning To Target India After Russia
インドはウクライナ紛争に関して中立の姿勢を保っており、ブチャの事件についてもロシア非難の合唱に加わることを拒否し、独立した調査を求めている。が、この中立に対する罰としてロイターから非難を受けている。世界を「敵か味方か」のふたつに分断しようとしているのは誰か? 無論ロシアではない。
India’s UNSC Bucha Statement Doesn’t Contradict Its Principled Neutrality
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インドと中国の対立に関する私のTwitterスレッド。
川流桃桜@UnmasktheEmpire @kawamomotwitt
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