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遺伝子編集/組換え食品のリスク

2023/05/06に正式に戴冠して大英帝国と英連邦に君臨することになった「グリーン・キング」チャールズは、03/23に遺伝子技術精密育種法2023(The Genetic Technology Precision Breeding Act 2023)を承認した。これは他の国々に先立って、英国の企業が動物や植物のゲノムを改変し、新しい遺伝子操作された種やバイオテク「食品」を生み出すことを可能にするものだ。これらの成果が商品化された場合、特別な表示は必要無しとされているので、消費者はそれが遺伝子操作されたものなのかどうか判断出来ないことになる。
Disbelief as “Green King Charles” Gives Royal Assent to New Gene Breeding Technology

遺伝子組換え(遺伝子改変1.0)に比べて遺伝子編集(遺伝子改変2.0)技術は規制が緩く、既に遺伝子編集された大豆、キャノーラ、米、トウモロコシ、茸、カメリナ(カメリナオイルの原料)は世界中で販売が承認されている。これは今後増加する可能性が高く、遺伝子編集された農産物の特許申請は2014年以降急増している(下図左)。遺伝子編集作物は予期せぬDNAの損傷を引き起こす可能性も有るが、使用される除草剤の増加も問題だ(下図右。1.0だろうと2.0だろうと、殆どのGM作物には除草剤耐性遺伝子が組み込まれている)。最もポピュラーなのは発癌性の有るラウンドアップ(グリホサート)。これは長期的には炎症性腸疾患、肥満、鬱病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、癌、不妊、発達異常に繋がる可能性が有る。
 

More Foods Will Be Gene-Edited Than You Think

★エングダール氏の記事の要点。「ヨーロッパの穀倉地帯」たる肥沃な黒土の広がるウクライナは、西側アグリビジネスの経済的侵略によりGMO天国と化しつつある。
ウクライナから出荷されている穀物は誰のもの?(要点)

★環境中の遺伝を改変するベクターとして昆虫を利用する技術について解説した記事の要点。昆虫を使って遺伝子編集したウィルスを環境中に広め、それによって植物の遺伝子を改変して、様々な天然・人工の脅威に備えようと云う訳だ。
遺伝子組み換え、優生学、人口管理の為の「空飛ぶ注射器」としての昆虫(要点)

工業型農業の残虐行為のひとつは、卵産業によるオスのヒナの殺害だ。オスの鶏は卵を産むことが出来ず、不自然に大きく成長するように飼育されたブロイラーとは対照的に人間の食用としては不十分な為、毎年世界中で60億羽以上のオスのヒナが間引かれ、ペットフード、家畜飼料、或いは埋め立て地のフィラーに転用されている。この問題を「解決」する為、イスラエルの科学者チームは、キラー遺伝子を雄の胚に受け継ぐように遺伝子操作された雌鶏の概念特許を提出した。この技術を使えばオスは孵化する前に死ぬのでより「人道的」だと云う訳だが、致死性遺伝子は非常に毒性の高い蛋白質を生成する可能性が有り、また休眠状態(不活性化状態)でも或る程度の毒性を発揮する可能性も有る。これらが環境やバクテリアに漏れ出せば、健康に深刻な影響を与える可能性が有る。また殺されたオスの胚は有毒な廃棄物として処理する必要が有るが、これは孵化後に殺されたヒナと違って飼料等には転用出来ない。更にこの特許は致死遺伝子を指定されたタイプに制限していないので、例えばコレラ毒素をコードする遺伝子等、事実上何でも使用出来ることになる。EUのGMO規制委員会に拠れば、これはオスの胚にのみ適用される技術なので、遺伝子改変された母鶏とそれが産む卵はGMOには当たらない、と云うことになるのだそうだ。「鳥インフルエンザやトリ白血病ウイルスに耐性の有る鶏」等、GE鶏は既に実用化されているが、規制対象にはなっていない。ヒナの間引きも鳥インフルエンザも有機農業によって解決出来ることだが、これらは利益第一の工業型農業の選択肢には入っていない。
CRISPR Fried Chicken: Genetically Engineered Hens Made to Kill Their Male Chicks

★GMO作物を巡るロシア、ウクライナ、米帝の攻防についての記事の要点。
戦争の中の戦争:土地と遺伝子組み換え農業を巡る戦い(要点)

コリブコ氏の分析。2000年に設立された独立した政府機関である米中経済安全保障審査委員会(USCC)の最新報告書には、中国が米帝のGMOの遺伝子コードをハッキングし、作物の枯死による生物戦争を仕掛ける可能性について言及している箇所が有るが、中国がそれをすることを心配していると云うことは、米帝も当然これに対抗する措置を講じるだろう。つまり米帝からGM種子を購入する国は、米帝がそのDNAをハッキングして飢饉を引き起こすリスクに曝される可能性が有る。GM作物は、将来的には戦略的自治を目指す国に対するハイブリッド戦争用の兵器として使われるかも知れない。このリスクを避けたかったら、GMOではなく自然の種子を使うことだ。
A US Government Agency Accidentally Revealed The Strategic Danger Of GMO Crops
 2022/05/26、食糧安全保障問題に関する米中経済安全保障審査委員会(USCC)の最新報告書。16ページの「軍事的応用」の箇所に、「コンピューターコードをハッキングするのと同様に、北京は米国のGM種子のコードまたはDNAを簡単にハッキングし、米国の作物を破壊する可能性の有る、或る種の枯死を引き起こすことで生物戦争を実行することが出来る」と書かれている。
military applications
China’s Interests in U.S. Agriculture: Augmenting Food Security through Investment Abroad

キット・ナイトリー氏の記事。ウクライナ紛争と対ロシア制裁によって世界的な食糧危機のリスクが高まる中、人々の不安に付け込むかの様に、各国で一斉にGMOを宣伝する動きが広まり、EU委員会は規制緩和の議論を進めている。遺伝子組み換え作物は「遺伝子編集」と云う異なる技術として再ブランド化されることによって、従来のGMOを対象として来た規制や監視の網の目を潜ることが可能になっている。「GM作物は食料自給率の向上に繋がり、地政学的混乱の影響を受けにくくなる可能性が有る」と云う食糧安全保障上の主張の他、気候変動詐欺を背景として「GM作物は気候フットプリントを縮小する可能性が有る為より持続可能で地球に優しく、勇気農業は二酸化炭素排出量が多いので止めるべきである」などと云う倒錯した主張が罷り通っている。

 これら「より安価で、より栄養価が高く、環境に良く、将来のパンデミックの防止に役立つ」GM作物に対して異議を唱える者は、「反ワクチン陰謀論」や「ロシアの偽情報」を広める者と同列に扱われることになるだろう。
“Genetically Edited” Food – The next stage of the Great Reset?

中国は食料の輸入依存度を減らし、自給自足率を高める為に努力している。ウクライナは中国の輸入トウモロコシの30%を供給していたが、遺伝子組換え技術によって耐虫性の有るトウモロコシと大豆の収量を15〜30%増やすことを目指している。種子産業はアジアやアフリカ諸国にもハイブリッドライス、R&D、育種センターを設立し、南米にも進出している。また欧米諸国に追い付く為に遺伝資源と遺伝子編集技術に力を入れている。中国は概して食糧安全保障問題については正しい方向に向かってはいる様だが、その為にテクノロジー盲信に陥っていないのか、リスク評価は適切に行われているのかが懸念される。
China’s seed security not threatened by Russia-Ukraine conflict, major breakthroughs made

ドイツ連邦自然保護庁、2021年10月、「植物遺伝子工学に於ける新たな進展と規制上の問題」
同じくドイツ連邦自然保護庁、2021/10/23、「新しいゲノム技術とその規制に関する立場表明書」
新たなゲノム編集技術を用いた植物は、古いGM品種と同等またはそれ以上のリスクを伴う、と警告を発している。ゲノム編集によりゲノム全体が変更にアクセス出来る様になって突然変異誘発が介入の深さを増大させ、従来の遺伝子工学技術を使った植物よりもコントロール出来なくなる可能性が有る。
Plants from New Genomic Techniques Carry Similar or Higher Risk Than Older GM Varieties

「遺伝子沈黙農薬」について警鐘を鳴らす記事。RNA干渉(RNAi)と呼ばれる技術を使い、昆虫の生存に不可欠な遺伝子のスイッチを切るか「沈黙」させて殺す殺虫剤は、意図しない結果を齎す可能性が有る。
 ・農業生態系全体が影響を受ける可能性が有る。
 ・標的種だけではなく非標的種のゲノムも沈黙させる可能性が有る。
 ・標的となる害虫が急速に耐性を発達させる可能性が有る。
Gene-Silencing Pesticides: Risks and Concerns

欧州最高裁は2018/07/25に、CRISPRによる遺伝子編集作物は、従来の遺伝子組換え(GM)生物と同じく厳格な規制の対象となる必要が有ると判決を下している。
CRISPR plants now subject to tough GM laws in European Union

インド当局は2022/03/30に遺伝子編集作物に関する規制を緩和。GM作物は有害性が立証されている、政府はモンサントを筆頭とする多国籍企業と共謀している、生物兵器が作り出される可能性が有る、と食の主権を求める科学者達は抗議している。
Concerns as India Relaxes Rules Around Gene-edited Crops

GMO作物やラウンドアップで悪名高いモンサントは現在遺伝子編集作物の特許取得に乗り出しているが、米農務省は遺伝子編集農業に独立した検査は不要と判断。M社は2018年にバイエルに吸収されたが、そのバイエルの母体はヒトラーのホロコースト体制を支えたIGファルベンだ。
Monsanto/Bayer Giant Moving to “Genome Edit” Fruits and More

遺伝子編集された小麦の予期せぬ影響を全て特定するには全ゲノムをスクリーニングする必要が有るが、これは非常に複雑な作業。また小麦が環境ストレスにどう反応するか、生態系とどう相互作用するか、消費と環境に対して安全であるかどうかは不明。
New GE wheat to be tested in UK field trials

英国で遺伝子編集された小麦の実地試験が行われ、アスパラギンの生成の阻害に成功。業界は詳細はリスク評価は不要と結論した。だが独立評価研究所Testbiotechは、アスパラギンは種子の発芽、植物の成長、ストレス応答、病気の防御にも関与しており、リスクは複雑だと指摘。
New GE Wheat to be Tested in UK Field Trials

日本では遺伝子編集された魚は「ゲノムの特定の場所のDNAを切っただけで、起きた遺伝子変化は最終的に、自然界や従来の品種改良技術でも起こっている範囲内です。そのため、従来食品と同等の安全性」と見做され、安全性審査不要。当然、追跡調査もやらんのでしょうね。
404

規制の緩さでは世界第4位の日本では、遺伝子編集食品は登録さえすれば安全審査は必要無く、表示義務も無い。作物、魚、家畜、種苗の遺伝子が壊されていても購入者には判らない。この国の政府や官僚には、国民の健康や国土の生態系を企業利益よりも優先する意思は無い。
遺伝子を破壊した野菜や魚『ゲノム編集食品』は安全審査なし、発がん物質の発見も

フランスでは農薬や化学物質を減らす為の農業を若者達が学んでいる。これだけ見ると結構なことに見える。だがその裏では「農薬の要らない遺伝子編集作物」が「有機農業」だとか呼ばれている。
EU Food Safety - #EUFarm2Fork @Food_EU

世界的な化学工業&製薬企業であるバイエルは、EUのGMO規制を変更して遺伝子編集を免除するよう働き掛けを行なっている。EUではGMOは規制対象になってはいるが、研究・試験までは禁止されていない。
Bayer lobbying "very strongly" to change EU's GMO regulations to exempt gene editing

遺伝子編集食品は日本では安全性試験もラベル表示も不要。消費者庁の言い分は「従来の品種と変わらない。科学的な観点からは大きな混乱は無い。」
Genome-edited food products to go on sale in Japan, despite no labelling and safety provisions

遺伝子編集作物は日本では安全性&環境試験は必要無い。登録すれば良いだけ。評価方法はケースバイケース。商業栽培はまだだが、遺伝子編集製品は2020年には発売される可能性が有る、としている。

Japan: Crops / Food

遺伝子編集された動物は日本ではまだ商用化されてはいないが、評価はケースバイケース。農水省、文科省、厚労省、環境省の4つが規制を担当する。当面は魚や豚・牛等がメインの様だが、ヒト移植用の臓器も研究されている。

Japan: Animals

米「FDAは、遺伝子編集技術を非常に厳しく規制しています」(笑)。遺伝子編集作物等への世界各国への取り組みはここから確認出来る。因みに規制の緩さで言ったら日本は世界第4位。
 
Human and Agriculture Gene Editing: Regulations and Index

第一世代の遺伝子組換え作物(トウモロコシや大豆)は既に米国社会に広く浸透しているが、遺伝子編集技術を使った大豆製の油が既に商用化されている。他の候補としてはキノコ、小麦、トマト、キャノーラ、米等。
Gene-edited food quietly arrives in restaurant cooking oil

EUでは遺伝子編集生物は、遺伝子組換え生物の規制対象になるとする2018年の判決を受けて禁止されているが、「精密農業技術が環境に優しい食料生産への移行を支えるべきだ」との主張の下、規制撤廃の動きが活発化している。
Member states want commission to decide on the use of gene editing in animal and plant breeding

第一世代の遺伝子組み換え作物の危険性は今更解説するまでもないが、新しい遺伝子編集技術を使ったものなら、EUが宣伝する様に「持続可能」かと云うと、無論そんな話は疑わしく、予期せぬ影響の可能性を考えない訳には行かない。
Gene-edited and other GM crops "highly unlikely" to make food system more sustainable
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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