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中国のガヴァナンス

★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/24の李尚福国防相と07/25の秦剛外相の解任は、最良のシナリオであれば両者の腐敗が発覚したことが原因だと云うものだ。だがひょっとしたら背後では「ハト派」と「タカ派」の派閥争いが働いていたのかも知れない。
中国の李尚福国防相の解任を分析する(抄訳)

★アレゲニー大学歴史学准教授兼中国研究プログラム・コーディネーターのウー・ガオ氏の記事の要点。米国在住の中国人移民一世は「白左」の価値観や理想を嫌っているが、この記事ではその背景を考察している。中国国民の圧倒的大多数は中国の社会主義、即ち左派の進歩主義の制度を支持しているが、一口に「左派」と言っても、それがより具体的にどんな価値観や理想を志向するのかは、置かれている背景や文脈によって大きく異なる(これらをごっちゃにしたがる人も多い)。
何故米国の中国人移民一世は白人の進歩的な理想を嫌うのか(要点)

ゴドフリー・ロバーツ氏による中国の民主主義についての解説記事。民主主義には様々な定義が有り得るし、「人民の人民による人民の為の政治」を実現する手法もひとつではないのだが、西洋市民は欠陥だらけで実際にまともに機能していない西洋式の代議制民主主義以外の民主主義は民主主義ではないと考えている。が、実際問題として、中国式の民主主義は西洋式のとは大きく異なってはいるが、立派に機能している。
What level of democracy does China have?
No. 1900 中国の民主主義のレベルは?

大政翼賛化した日本のマスコミは習近平政権の腐敗について語るのが大好きだが、そもそも習氏は大規模な反汚職・腐敗キャンペーンで名を挙げた人物だ。新自由主義諸国の政治指導者達の中で、そうした名声を得ている人物が誰か居るだろうか。
How a younger Xi Jinping tackled corruption


北京の中国人民大学の学生達の2011年のインタビュー。米国や西洋諸国は自分達の価値観こそが唯一普遍的なものであるとお節介を焼きたがるが、何故お互いの違いを受けれることが出来ないのか、超大国とか必要無いでしょ、とかまぁ、至極まともなことを言っている。少なくとも、常に中国が自分達の国より劣っていると信じ続けていなければ自分達のアイデンティティーさえ保てない様な輩に比べたら、彼等の方がずっと正気だ。
Voice of China: students tell C4News why communism works


2007〜08年の世界的な食糧危機の際、当時の中国には、国際価格の上昇を吸収するのに十分な食料の在庫が有った。中国は輸入に依存していないので、市場の変動による不安定化の影響から守られていたのだ。中国の国土のバカデカさは屢々忘れられたちだが、それ以上に、その多くが砂漠等の耕作不能地であると云う事実は見過ごされている。中国が世界の耕作可能地の僅か9%で、世界人口の約21%を養うことが出来たことは、正に驚異だ。
China’s positive stance on global food policy

現在中国に対して偉そうに人権だの民主主義だの説教を垂れたがる国々が、中華人民共和国が自国の主権を取り戻すまでにどれだけ中国をいいように食い物にして来たかは、中国が結ばされた不平等条約の数を見るだけでも判る。日本だけでも5つも結んでいる。中国がこれらの帝国主義列強を侵略したことは無い。ここ2世紀、アジア地域の平和を脅かして来たのは現在自由民主主義陣営とかブランド変更している連中であって、中国ではない。「そんなのは大昔の話だ」と云う意見も度々聞くが、香港は21世紀になる直前まで大英帝国による植民地支配を受けていた。これは歴史の授業中居眠りをしていなかった日本人であれば誰しも理解していなければならない筈のことだ。
Unequal treaty

復興しつつある中華文明に向かって、民主主義だの秩序だのと偉そうに説教を垂れる西洋に対して、ジョージ・ギャロウェイ氏が説教を垂れていて、痛快。自国内ではプルートクラシー、他国に対しては帝国主義で、西洋諸国はとてもじゃないけれども他国の模範になる様な振る舞いはしていない。白人や名誉白人が自分達のことを棚に上げる能力は本当に驚異的なので、認知能力の欠陥を疑いたくなる程だ。恐らく「それでも我々は中国よりはマシだ」と思い込むことで偏狭なプライドを満たそうとしているのだろうが、そうした知的退嬰は弱さの表れであって強さの表れではない。
The Chinese people have stood up. They stood up alright, and they ain't going to sit down again.

George Galloway: The form of democracy in Western countries is devoid


「中国政府は何故インターネットを検閲するのか?」についての解説動画。細部については議論の余地も有るだろうけれども、大枠についてはこの通りだと思う。先ず西洋が多様性や対立を重んじるのに対して、中華文明(多くの西洋人が中華人民共和国を共産主義の国として捉え、中華文明の延長線上で捉えると云う視点を忘れてしまっている)は伝統的に国家の秩序と統一を重んじるが、それは現在の中国人の政治的慣習の中にも色濃く残っている。そして度重なる諸外国のカラー革命を目撃して、中国は「民主主義的価値観の普及」なるものが、西洋が他国を侵略する時のソフトパワー攻撃のひとつであり、SNSはその為の兵器に他ならないと認識している。実際、CIAやペンタゴンはGoogle等のインターネットやSNS企業と提携し、SNSを兵器として研究開発を行なっているのだから、この懸念は正しい。日本政府はアメリカ帝国の腰巾着なのでカラー革命を仕掛けられる機会は殆ど無いが、同じ立場に立たされたらSNSを禁止したくなるかも知れない。中国の検閲を批判する日本人は、彼等はソフトパワーによる情報戦の攻撃を受ける側、こちらは攻撃を仕掛ける側だと云う違いを認識してからものを言うべきだ。
The Logic behind China's Internet Firewall


中国による貧困対策の具体例。「観光による貧困支援、Eコマースによる貧困支援、教育による貧困支援、科学技術による貧困支援、雇用による貧困支援、生態保護による貧困支援、居住地移転による貧困支援などの政策」。
<企画>貧困脱却までの村民たちの足跡

中国のエリート層はソ連解体の原因究明に大いに関心を持っている。何せ冷戦期と違って、今や中国自身が「西側の主要なライヴァル」の地位に登り詰めたのだ。これに関連して100本以上の学術論文が書かれているが、「党の弱体化」が原因として挙げられることが有る様だ。つまり:
 ・腐敗の蔓延。
 ・エリートと庶民の乖離。
 ・消費主義の台頭。
 ・党のイデオローグ&扇動者等の、形式主義&官僚主義的傾向。
 私は最近上2つに大きく関連するレビューを書いたばかりなのだが、これらは共産主義と云うよりも中国の政治文化の伝統に深く根差したものらしいので、解決には長い時間を要する。まぁ中国共産党にはしっかり人心を把握して襟を正して貰わないと、周辺地域も影響を被る。無責任に「中共滅べ」とか喚いている連中は、中国の様な巨大な隣人が倒れれば日本だって無傷では済まない、程度のことに思い至る想像力も無いらしいが、自ら地域の不安定化を望むのは売国奴のやることだ。
Ivan Zuenko: Why do China’s elites pay so much attention to the collapse of the USSR and the Soviet Communist Party?

サイラス・ジャンセン氏による「中国に自由は存在するのか?」についての短い解説。まぁ殆どの西洋人が理解しようとしないのは、自由と一口に言っても、現実に生きている生身の人間にとって「自由」が具体的に何を意味するのかは、その人の背景となる歴史や文化によって大きく異なると云うことだ。口先では多様性を唱えながら、自分達の価値観こそが普遍的価値を持つものであって、他の価値観は皆劣っているとする立場は、論理的に矛盾している。抽象的な自由概念ばかりを振り翳して具体的な他者の理解を後回しにするから、見当違いの批判を繰り返すことになる。この点が理解出来ていない人は、「民主主義や人権思想は、持っている歴史も文化的諸条件も全く異なる他者が外から一方的に押し付けることが出来るものだ」と云う考えに陥り易い。だがそれは「野蛮な異教徒」にキリスト教の福音を広めると云う名目でジェノサイドや略奪を繰り広げた者達の価値観と大差無い。この危うさを心の隅に留めていない者は、誰であろうと潜在的なファシストだ。
Does Freedom in China Exist? 中国有自由吗?


「自国を愛し誇りに思う中国人は皆洗脳されているのだ!」と云う主張に対する反論としては、このサイラス・ジャンセン氏のものが最もシンプルで解り易い部類に入るだろう。まぁそもそも自国を愛する様に自国民を洗脳しようとしない国など存在するのだろうかとも思うが、中国人には自国を愛する尤もな理由が有るし、それは別に狂ったイデオロギー的なものではない。碌に知りもせずに無闇に他国を見下すのは止めましょうと云う話である。それは健全な批判ではなくて単なるヘイトだ。
China and America: Do the Chinese Really Love China?


★中国のガヴァナンスは、中国が置かれている文脈の中で理解しないといけない、と云うお話。
中国の「屈辱の世紀」と、今日の米中間の緊張(抜粋と補足)

★クリス・カンタン氏の記事の要点。中国は統計を誤魔化しているのか? 中国の経済成長率は本物か?についての考察。
中国は統計を誤魔化しているのか? それは可能なのか?(要点)

中国のガヴァナンスについて解説したラリー・ロマノフ氏の論説も参考になる。西洋の「民主主義」なるものが、それが一般大衆に思われている様な理想的な形では機能していないことは誰の目にも明らかであって、とてもじゃないが他国に偉そうに自慢出来る様な代物ではない。他方世界最古の文明のひとつである中華文明(中国はひとつの国と考えるより、ひとつの文明圏と考えた方が比較し易いだろう)は、色々な欠点を持ちつつもしっかり機能する科挙制度によって文明の一体性と持続性を保持して来た実績が有る(トインビーが指摘していたことだが、日本など国内統一が出来たのはようやっと17世紀に入ってからに過ぎない劣等生だ)。一種の官僚制と実力主義に基付く現在の中国のガヴァナンスは確かに西洋式の民主主義とは違うし、腐敗の問題も深刻らしいが(習近平氏はそもそも腐敗撲滅運動で名を挙げた人だ)、国を運営する上できっちり機能しているし、世論調査の結果を見れば、自国民を納得させると云う点では西洋諸国よりも遙かに優秀であると言える。頭ごなしに「我々の選択した制度はどんな条件下の国についても普遍的に正しく、従って我々は他国に自分達の選択を押し付ける権利を有する」などと云うのは傲慢極まり無い発想だ。どれが最も良いガヴァナンスなのかについては様々な具体的な条件に応じて様々な試行錯誤が行われて然るべきであって、世界の多様性を理解すること無しに大上段に普遍的な価値観を振り翳すのは、視野の狭い愚か者のやることだ。認知症の疑いの有る戦争犯罪者や政治経験の全く無い初心者やコネや知名度しか無い無能者や公然たる売国奴をトップに据えてしまう様な国々が、世界で最も自国民の納得する政治を行なっている国に向かって説教すると云うのは、一歩退いて見てみれば酷く滑稽でグロテスクな光景だ。
Democracy, the Most Dangerous Religion: Part 3 – Choosing Government Leaders
No. 1622 民主主義、最も危険な宗教:パート3

サイラス・ジャンセン氏による習近平政権の業績10点。彼が3期目の長期政権を務めることになることに対しては西洋から批判が寄せられており、長期政権の弊害としてよく挙げられるのが「腐敗の温床になる」と云うことだ。だが周氏は主席になる前から寧ろ熱心な腐敗撲滅運動で有名だった人で、それに新自由主義諸国の実態を見れば、「任期を制限すれば腐敗や権力の恣意的な使用を減らせる」と云う主張に説得力が無いことは明らかだ(日本なんて何度首相が変わったか分からないが、腐敗は寧ろ悪化の一途を辿っている)。科学的に全く無意味で有害なゼロコロナ政策等批判すべき点も多々有るものの、全体的に見て彼の有能さはその政権が積み重ねて来た実績によって証明されている。現に上手く行っているものを、自分達のイデオロギーにそぐわないからと言って外部の者が批判する必要が何処に有るのか(中国の指導者が誰であるべきかは、中国人自身が決めれば良いことだ。西洋の代議制とは異なるが、民意を反映させる仕組みはちゃんと存在する。世論調査の結果も、中国の現行システムが民意を満足させる上で西洋諸国よりも遙かに優秀であることを示している)。
10 Shocking Things Xi Jinping Has Done - You Won't Believe This!


中国経済は崩壊直前なのか?についての検証動画。まぁこの種のものは大抵そうだが、今回の推測も針小棒大に騒がれているに過ぎず、複数の銀行の取り付け騒ぎでも、中国中央政府はちゃんと補償を行なって事態を収集出来ている。DGP成長率が鈍ったのは事実だが、それでも成長率3.2%は良い数字で、短期的には「崩壊」の兆候など無い。但し長引く「ゼロコロナ」政策によって不自由を感じた海外企業が工場を撤退させる動きが有るのは本当なので、この動きが長期化すれば、より大きなダメージを喰らう可能性は有る。経済的繋がりが弱まれば中国と仲良くせよと自国の政府に迫るロビー活動も減るだろうから、これは外交的にも損失だ。
China's Economy Already Collapsed....


中国に12年住んでいる米国人の、中国についての率直な感想。良いところも有れば悪いところも有る、と云う、極くごく平凡な感想。まぁどの国でも普通はそうだと思う。100%良い国とか100%悪い国なんてのは基本的に現実に存在する訳が無いのであって、今の西側の狂った様な反中プロパガンダが異常なだけだ。それにそもそも或る国がその住民にとって良い国か悪い国かは、実際にそこに住んでいる人々が判断すべき話であって、全く関係の無い人があれこれ口を出すものではない。同じことを自分達に対してやられたらどう思うだろうかと云う話である。
How I view China after 12 years Living Here


西側から中国に対して向けられる数々の非難に対して、英国在住の中国人女性が簡潔に疑問に答える動画。まぁフェイクニュースがやたらと多いのもそうだが、何より相手の歴史や文化的背景を一切無視して自分達の物差しで一方的に相手を評価しようとするのが間違いの元なのだ。「中国を見下していなければ自分自身のアイデンティティが保てない!」みたいなネトウヨ的心性の持ち主達は、他国を相手の文脈に沿って理解することが出来ないだけではなく、自国のこともまた相対化して見ることが出来ていない。彼等はよく口先で民主主義を唱えはするが、「人は皆違う存在だ」と云う基本的な大前提を弁えていない。「万国は俺達の意に沿うように作られていなくてはならない」などと云う思い上がりは、民主主義ではなくて全体主義か帝国主義的価値観を反映したものだ。
Why China Doesn't Identify with the West, Explained


★中国CGTNの考察動画。中国は非「民主主義」国なのか?
中国に於ける民主主義(要点)

★新華社のウェブ版に掲載されたデバンキング記事。余りに長いので紹介のみ、一部は賀茂川耕助氏がに訳出して下さっている。
リアリティ・チェック:米国の中国認識に於ける虚偽(紹介)

★中国が日本とは違って次世代を搾取対象とは見ていないことが解る記事の要点。次世代に健全な投資を行う国が発展するのは当然のことだ。
グラフで解る中国の若者の現状(要点)

現代中国が成し遂げたテクノロジーの勝利の数々を紹介する動画。曾ての活気を失って衰退する一方の帝国の属国の市民の目からするとこうした類いのものには反射的に疑いの目を向けたくなるが、これから発展する国には最新テクノロジーの恩恵は非常に重要だ。ナショナル・アイデンティティの構築にも繋がる。
Americans Won't Believe What China Built


Tings Chak氏のインタビュー。人類史に残る中国の大偉業、8億5,000万人の貧困からの脱出作戦が如何にして可能となったのか、その経緯を簡単に振り返る。
How China Lifted 850 Million People Out of Extreme Poverty, w/ Tings Chak

中華文明はペルシャ文明等と並んで宗教的多様性を重んじることで有名で、中華人民共和国もその基本は変わらない(憲法に明記してある)が、カラー革命だけは別。宗教を装ったレジームチェンジ工作は太平天国の乱まで遡るが、一説ではこの内乱で3,000万人が死亡した。
Debunking Anti-Chinese Psy Ops: Opium, Synthetic Cults and the Haunting of the Taiping Heavenly Kingdom

アンドリュー・アングリン氏による中国についての大部のエッセイ(何れ本にまとめるとか)。色々と啓発的だけど、中国を西洋の物差しだけで測ってはダメと云う点には大いに共感する。こう云う文章を書ける人は稀。凄いなぁ。
What About China, Then?

「トラクター1台すら製造できなかった国から、自動車やパソコンなど工業製品220品目余りで生産量世界一の国へ。米・小麦粉・食用油を買うにも配給券が必要だった国から、様々な商品やサービスが何でも揃っている国へ。数億人が貧困線以下で苦しんでいた国から、現行基準下で全ての農村貧困層がゼロになり、絶対的貧困が撲滅された国へ。」西側の反共プロパガンダが殆ど伝えようとしないのは、共産主義は現実に多くの人々を貧困から救済したと云う事実。共産主義は単なる政治的イデオロギーではなく、資本主義の桎梏から貧しい人々を解放する為の闘争の指針だった。現在の中国共産党はその最も華々しい成功例。
中国の小康社会の全面的完成が世界に意味するもの

些か楽観的過ぎる気もするが、P.ケーニッヒ氏による中国共産党讃歌:「中国共産党の歴史(1921-2021):百年の成功の遺産と将来の展望」。西側市民は最早強烈な反共主義に洗脳されている状態がデフォなので、この種の記事を理解出来る人がどれだけ居るやら。
History of China’s Communist Party (1921-2021): A 100-Year Legacy of Success and Forward Vision

マーティン・ジャックス氏の論考。中国(と云うより中華文明)は世界最長の連続性を持ち、且つ自己を何度も再発明する卓越した能力を持っている。普遍主義を掲げつつも今や不確実な未来へ向かう西洋の民主主義と比して、その統治システムの有効性は疑い様が無い。
Why Chinese system can offer more choices than Western democracy: Martin Jacques

80年代以降の解放路線による中国の「世界の(搾取)工場」化からの社会主義的軌道修正は一応大多数の中国市民を納得させてはいる様だが、苛酷な労働環境問題が多く残っている事実は変わらない。今後の取り組みに期待。
【イラストで知ろう!イマドキ中国】 「打工人」とは何ぞや?

大規模な官民連携は西側諸国でも中国でも行われているが、前者の場合は企業や金融セクターが国家システムや公共セクターを乗っ取り、後者の場合は飽く迄政府が手綱を握っている点が大きく異なる。実際このバランス取りが上手く行っているかどうかは、絶えざる注視が必要。
How do companies help alleviate poverty in China?

シンガポールの元外交官 Kishore Mahbubani 氏の挑発的なタイトルの新著”Has China Won?"(私も最近読んだが、今の中国を理解する上で、概ね非常に啓発的な本だと思う。お薦め)の書評。これを載せているのが保守派の"The National Interest"と云うのが面白い。
Book Review: Has China Won? The Chinese Challenge to American Primacy


Zhang Weiwei(張維為)教授による、比類の無い中国の成功の解説。
 ・中国共産党は「民心」を汲む中国の統治思想の伝統を継いでいる。
 ・中国は伝統有る実力主義の国。
 ・今日では「民主主義vs独裁主義」よりも「良い統治と悪い統治」と云う二分法の方が適切。
What is the ultimate test of a political system?


「習近平外交思想」を読むと、マルクス主義は5本の柱の内のひとつでしかないことが判る。シンガポールの元外交官 Kishore Mahbubani 氏はCCP(Chinese Communist Party)は Chinese Civilization Party と考えるべきだと言っているが、その指摘は恐らく当たっているだろう。「共産党」と云う点にばかり気を取られていると、今の中国共産党の懐の深さは理解出来ないのではないかと思う。世界史の大部分に於て世界で最も安定と秩序と繁栄を享受して来た、最長の連続性を持った文明が再興する局面に、私達は居合わせている。「中国の共産党」を理解したかったら、注目すべきは恐らく「共産党」の部分ではなく「中国の」と云う部分の方なのだ。近代日本はアジア的なるものを否定することに己のアイデンティティを賭けて来た。だからアジア的なるものを復興させしかも西側以上の成功を収めつつある中国の現実を認められない。だがそれでは今後の国際情勢は見えないままだと思う。
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「「中国共産党」に対応するのは英語の「party」には全く当てはまらず(略)真に対応する概念は英語にはないと言えるだろう」と云う指摘は恐らく正しい。貧弱な語彙に基付いて自分達の枠組みで異質な他者を理解しようとするから、おかしな誤解が頻発する。
米国の政治家は中国共産党のことを本当に理解しているのだろうか?

シンガポールの外交官Kishore Mahbubani氏のTEDでのスピーチ。西洋の友人として、アジアの台頭に備え、これまでの傲慢さを捨て去ることを忠告している。日本人は名誉白人としての意識が強く、他のアジア諸国のことが目に入っていないから、彼の忠告はそのまま当て嵌まる。
How the West can adapt to a rising Asia

シンガポール国立大の Dr. Kishore Mahbubani が自著 Has China Won? を解説する。米帝と中国との現在の地政学的競争は「民主主義vs共産主義」ではなく「プルートクラシーvsメリトクラシー」であり、中国が目指しているのは中華文明の復興である。
Has China Won?



中国のガヴァナンスについての私のTwitterスレッド。
川流桃桜@UnmasktheEmpire @kawamomotwitt
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馬鹿には現実が見えない。

 知識もなく、学習する気もない馬鹿者には、知識が豊かで学習している人間の思考を辿る事ができませんね。

 レ・ミゼラブルという長大な作品があります。フランス人の人文主義者のヴィクトル・ユゴーの作品です。私は岩波の文庫本で読みました。そこには、
「中国の大地は人糞を肥料にしているからエデンの園のように豊かだが、フランスは貴重なこの資源を無駄にしている」と記載されています。
 別のフランス人は開国された当初の日本を調査し、
「日本は火山灰で覆われた痩せた酸性土壌で国民は食うのもやっとで植民地にするには無価値な国家だ」と報告しています。

 さて、植民地支配の目的、侵略戦争の目的は、豊かな大地と資源を狙ってなされます。当時なら肥沃な大地も重要でした。
 中国には広大な豊かな大地と巨大な黄河と揚子江が存在し、豊富な農業・工業用水も得られましたが、日本にはプランテーションをやるだけの肥沃な農地もなく、資源もなく、何の価値もないちっぽけな島国でした。
 植民地支配には膨大な経費がかかりますし、軍事的な支配や武器も必須です。どこのバカが、何の価値もないカスのような日本を侵略し、中国のような貿易にも有利な巨大マーケットである国家を無視するでしょうか?
 アヘン戦争は、中国が膨大なお茶をイギリスに輸出しており、貿易赤字を解消しようとアヘンを売りつけた事に始まっています。この程度なら歴史の時間に学んだでしょうに、清が植民地になった理由も理解できないとは、バカも良い所ですね。典型的な低能のネトウヨですね。自分が賢明な人々から嘲笑される存在であることすら気付いていないんですから。

No title

>色々な欠点を持ちつつもしっかり機能する科挙制度によって文明の一体性と持続性を保持して来た実績が有る(トインビーが指摘していたことだが、日本など国内統一が出来たのはようやっと17世紀に入ってからに過ぎない劣等生だ)

ではなぜ19世紀に清が欧米列強との争いに敗北し、反植民地状態になったのか。
説明がつかない。


中国のコロナ対策は世界一。

4.結局、感染者数を減らさなければ高齢者が死ぬ。中国での徹底的なPCRと隔離、そしておそらくは全粒子ワクチンによって死亡者が驚くほど少なくなっていると考えられる。
 けれども残念ながら、他の国の経済活動と比べると、中国の国民からは完全な隔離は不当だとしか見えていません。日本人は自国の全てが素晴らしいと考える馬鹿者だが、まともな人なら、自国の悪は針小棒大に見えるはずです。その結果、中国が世界一死亡者も患者も少ないと言う実績は顧みられず、ゼロコロナの悪い点だけが国民の不満になっているのでしょう。
 日本人と結婚しているある中国人女性は、日本人のように中国を非難し嫌っていますが、最初はそうではありませんでした。日本にも中国由来の人々が大勢いますから、日本の歪んだ情報に洗脳され、自国である中国が全面的に悪いと思い込んだ人が大勢存在し、その人たちが中国で中国の悪口を吹聴した事が今回の習近平氏のバッシングにつながったと考えます。

5.私はmRNAワクチンは全否定、不活化ワクチンを全面的に肯定しています。ワクチンにもいろいろあり、安全な古典的ワクチンもあれば、危険なmRNAワクチン、金儲け主義で特許権が全てのおぞましいワクチンが存在しています。

6.コロナで死ぬのはほとんどが高齢者ですから、高齢者を死なせないためには中国のような対策が必要です。年齢で異なりますから、各年齢で対策を検討すべきですが、西洋社会と日本は平均値で不当にワクチンをけしかけるくせに、一方では、経済のためと称して感染対策を怠り、感染を蔓延させ、それを理由にワクチン接種をけしかけるなど、やっている事がめちゃくちゃです。
 もし、コロナが風邪と同じで問題ないなら、何故ワクチンが必要なのか? もし、コロナが高齢者などに危険であるなら、何故、PCRや感染対策を実施しないのか? 全てが金儲け主義で人間の命、高齢者の命の価値を無視しているからです。

中国のコロナ対策は世界最高です。

1.最初から5種類のワクチンを開発し、最も安全な全粒子不活化ワクチンを使用した。全てのコロナの蛋白を含むため、変異株にも有効である可能性が高い。3歳以上に接種しているが心筋炎も死亡もゼロに近い。キューバも不活化ワクチンを2歳以上に接種しているが副作用ゼロ。しかも中国のワクチンは古典的な手法で特許が取れない。最初から中国政府は、国民のためのワクチンを模索しており、特許による儲けは完全に度外視している。特許がないから他の国でも同じワクチンを作れるので極めて良心的な対応です。

2.コロナの最長潜伏期間は14日、発症して14日すれば感染力が消失する。従って、私自身、ブログで、コロナが発生したら、28日間、日本の全ての企業活動を停止すれば感染がゼロに出来ると書きました。接触者は14日以内に発症するか無症状、さらに14日隔離しておけばもはや感染しない。これを実践しているのが中国です。

3.コロナPCRを世界一厳密に全ての疑い者に実施しているのが中国。その結果、オミクロンの60%以上は無症状であるとわかった。無症状でも感染するので、どんなにPCRを実施しても感染は阻止不可能。特に地域間の人の動きと外国からの流入は止められない。けれどもお陰で死亡者はほとんどいない。
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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