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領土問題、ど-したもんかい。

 最近何かと尖閣諸島問題について世間様では騒がしくしていたところへ、志井日本共産党委員長の、尖閣諸島問題についての経緯のまとめを読んでみて、ふと思ったところをつらつら書いてみることにしました。まー私ゃ別に領土問題とかに特に関心が高い訳でもなく、私の知っていることなんて精々Wikipediaの記事に載っている事柄の域を出ない訳なのですが、まーそんな素人の雑感と思ってお読み下さい。

尖閣問題 いま必要なことは/日本共産党の見解と論戦から

 これを読んでいて思うのは、要するにこれって「誰が一番先に名乗りを上げたか」と云う問題なんですよね。椅子取りゲームと同じで、土地/椅子と云う有限の資源を有限のメンバー同士で分配し合う、と云うこと。一番先に椅子を取って「ここは俺の土地だ」と宣言してしまえば、そこはその人の不可侵の領土として確定される訳なんですね。

 この場合問題に成るのは、「一番先に名乗りを上げること」と云う原則・ルールが優先されるべきか、それとも、その土地に関する既成事実、詰まりそこに実際に住んでいて、暮らしていて、資源として活用している人々が居るかどうかと云う問題が優先されるべきかと云うことです。これは専門的には「先占の法理」と云うものを巡る問題です。

 その土地を実際に支配しているかどうか、詰まり実効支配が問題と成る場合が有ります。例えば元々「未開拓地」だった所の所謂「先住民」と云うのは、大抵、そこを昔から実効支配していたにも関わらず、結局は後から来た侵略者達に侵略され、征服者達に征服されてしまった民族のことです。この場合、今更彼等がその土地の先住権を主張して、後から入植して来た人達に「お前達は出て行け。ここは元々私達の土地だ」と言ったとしましょう。彼等の主張には一部の人々にとっては一定の説得力を持つでしょう。が、現実問題としてそうした解決法は極めて困難でしょう。今や絶滅危惧種と化した旧インディアン達の権利を守る為に、2億数千万のアメリカ国民が今更どっかに移住しようったって、そりゃあ無理な話です。その場合、「昔はお前達のものだったかも知れんが、今は俺達が実効支配しているんだから、もうここは俺達のものだ」と云う上書きされた実効支配の言い分が通ってしまうことになるます。

 これとは逆に、逆に原則が既成事実を乗っ取ってしまう事例も有ります。例えば、或るアメリカ先住民の部族が
その土地を二束三文で征服者達に売り払ってしまい、その後でその事実を盾に、実際にその土地から追い出されたとしましょう。ここでは原則を手中にしてしまった征服者達の方が、結局既成事実を圧倒してしまった訳です。実効支配が有ろうとも、それを原則によって上書きしてしまうことによって、新しい実効支配の形態をそこに作り出してしまうことも、可能ではあるのです。

 椅子取りゲームの場合は、椅子に座ることが即ちそこを名実共に支配することに他なりませんから単純なんですが、若しここで、「椅子に座ると同時に『ここは僕の!』と言わないと無効」と云うルールが追加されたらどうなるでしょう。ルールそのものはそれ程複雑さを増す訳ではありませんが、トラブルの種は飛躍的に増大します。取り敢えず座ってしまった方が勝ちなのか、それとも「ここは俺のだ!」と先に叫んだ方に正当性が認められるのか、どの瞬間を以て正しい遣り方だと同定するのか。

 尖閣諸島問題についてややこしいのは、この問題が発生した時期にも原因が有ります。19世紀末と云うのは、欧米の列強諸国はもう大概帝国主義的侵略政策を済ませてしまっていて、日本がそこにやや遅れてのこのこ出て行った時代です。この時代は「侵略行為による新しい領土拡張は国際ルールとして認められない」と云う暗黙の了解が浸透して行った時期です。日本はまだこの空気が読めていませんが、遅くとも第一次世界大戦に突入する頃には、このルールは他の列強各国によって公然たるものとして認められていました。なので、何時頃から領土拡張はルール違反に成ったのか、と云う一義的な合意が得難い時代でもあります。忘れてはならないのは、ルールはこうして常に変動して来た、と云う事実です。

 例えば南極について考えてみましょう。南極大陸は現在どの国の領土でもありませんが、こうした現状が守られているのは、南極条約と云う一定のルールに従っているからです。この条約によって南極大陸は批准各国の領土主権争いから逃れられている訳なのですが、「条約」と云うのはそれを批准する各国の同意に基付いて成立している訳ですから、破ろうと思えば破れます。

 例えば或る日日本政府が唐突に思い立って「そうだ、南極を日本の領土にしよう! 大和雪原を県庁所在地にして、新しく南極県を作ろう!」とかトチ狂ったことを思い立ったとします。当然、南極条約は一方的に破棄します。戦前の様に国連からも脱退します。勿論他の批准各国からは総スカンを喰らうでしょうが、そんなこた知ったこっちゃありません。自衛隊とかをどんどん送り込んで日章旗なんかを立てて天皇陛下万歳三唱をします。その場合、「それは違法行為です」と正当に宣言出来る国際的に認められた権威は存在するでしょうか? いいえ、存在しません。各国の政治的駆け引きによって経済制裁とか国交断絶とか、各種の対応策が取られることは明らかですが、万人が納得し服従し得る形でこの問題に決着を付けることは、現状では不可能です。国際司法裁判所の様な所も在るには在りますが、これは強制力を持ちません。この件に関しては一義的な正解が無い、と云うのが正解なのです。

 思い付く儘書いてしまいましたが、だから今回の騒動についてあーしろこーしろと言う積もりはありません。但、余りに近視眼的な視点に立った主張ばかりが世に蔓延っている様なので、たまにはこうした原理原則論に立ち返って、「そもそも領土権の主張ってどーゆーことなの?」とか考えてみると、思考の選択肢の幅が広がるんではないかと思います。
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韓国や中国、呆れた国ではありますが、日本の対応もとても褒められたものでではありませんね。
行く末が案じられてなりません。

その通りですねぇ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
怪奇幻想サイト『k-m industry 〜黒森牧夫の幻視風景』編集者。

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