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在外同胞保護の為の軍隊派遣に関するルーマニアの法案はモルドバを狙っている(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/04/02の報道では、ルーマニア国防省は外国に在住している同胞を守る為に軍隊が外国に介入することを認める法案を提出したが、これはモルドバへの介入を想定したものだと思われる。だがそのシナリオは第3次世界大戦へと繋がる軍事的エスカレーションのリスクを孕んでいる。
Romania’s Draft Law On Dispatching Troops To Protect Its Compatriots Abroad Is Aimed At Moldova




ルーマニアの新法案

 2024/04/02の報道では、ルーマニア国防省は、外国に在住している同胞を守る為に軍隊が外国に介入することを認める法案を提出した。

 この動きは恐らく、共通の民族言語的伝統によって130万人以上がルーマニア国籍を有しているモルドバを狙ったものだと思われる。

 ウクライナでは少数派のルーマニア人が迫害に遭っているので狙いはウクライナであると云う推測も有り得るが、ウクライナではない。



ルーマニアのモルドバ介入のシナリオ

 問題は、ロシアが今年接触線を突破して西へ前進する可能性が有ると云うことだ。その場合フランスポーランドが主導して、ロシアのドニエプル川横断を阻止する為に、NATO軍による正規の軍事介入を行う可能性が有る。

 その間、ルーマニアは沿ドニエストルから発せられるロシアの脅威から同胞を守ると云う口実で、モルドバを併合する可能性が有る。

 これらの動きはウクライナ南西周辺地域に於ける西洋の軍事的影響力を強固なものとし、ウクライナが非対称的に分割されるに先立って、大きな勝利として吹聴される可能性が有るが、これがスムーズに行くとは限らない。

 進撃するNATO軍に対してロシアがミサイル攻撃を行った場合、NATOの核保有諸国はこれを口実として、核による脅迫をちらつかせようと(そしてそれによって第3次世界大戦のリスクを高めようと)するかも知れない。沿ドニエストルに駐留するロシアの平和維持軍をNATOが攻撃したり、ウクライナ軍をNATOが支援して沿ドニエストルを襲わせたりした場合も同様で、ロシアは関連するドクトリンや国際法に従って、自衛の為に核による報復を行うと威嚇するかも知れない。

 ルーマニアがモルドバを併合し、ロシア軍を強制的に撤退させる為に沿ドニエストルを封鎖した場合も同様だ。沿ドニエストルの人口の約半数はロシア人なので、沿ドニエストルの分離主義勢力はモルドバから正式に離脱してロシア連邦へ加盟することを望んでいるが、未だ承認はされていない。現状では沿ドニエストルはロシアに対してより広範な戦争を引き起こす為の罠として機能している。従ってこの地域でのあらゆる展開を注意深く監視しておかなくてはならない。


 1991年にモルドバがソ連から独立して以来、共通の民族言語的遺産に基付いてルーマニアと合併し、戦間期のルーマニアの「自然な」国境に戻ると云う話が有った。

 また一部の人は、モルドバのマイア・サンドゥ大統領とそのチームは実はルーマニアの二重国籍者であり、密かに祖国の統一を進めようとしているのではないかと推測している。

 恐らくこれに関連する話だが、サンドゥは03/07にフランスとの安全保障協定に合意しており、フランスは既にルーマニアに軍隊戦車を配備している。つまりフランスは今やモルドバとウクライナの両方に迅速に介入することが可能なのだ(モルドバに介入する場合はルーマニアとの共同作戦となる可能性が高い)。

 04/03、フランスとロシアの国防相が電話会談を行ったが、ロシアのショイグ国防相は、ウクライナにフランス軍を派遣すれば、フランス自体に問題が生じるだろうと警告した。これはつまりロシアが後退せず反撃するだろうと云う意志を示唆している。

 また04/04にはロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官が、「NATO加盟国が例えひとつかふたつであっても冒険的な行動に出れば、その結果としてウクライナ危機は地理的境界を越え、全く異なる規模に達するかも知れません」と語っているが、この発言は恐らくフランスのウクライナ介入シナリオだけでなく、ルーマニアやフランスがモルドバに共同で介入する補完的シナリオも指している可能性が高い。

 どちらのシナリオでもNATO軍とロシア軍の直接対決による軍事的エスカレーションのリスクが有る。ウクライナの場合は、進撃するNATO軍にロシアがミサイル攻撃を行うことから始まり、モルドバの場合は、沿ドニエストルが攻撃/封鎖/脅威に曝された場合、ドニエストル川沿いでの銃撃戦から始まるだろう。

 ルーマニア人の中にはモルドバとの合併/再統合を本気で望む人が居るかも知れないが、彼等はルーマニアがより広範な戦争を引き起こす責任を負わないよう、そうした動きには反対すべきだろう。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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