fc2ブログ

イスラエルがダマスカスのイラン領事館を爆撃したのは戦略的な過ちだった(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/04/01、イスラエルはダマスカスのイラン領事館を爆撃したが、これは戦略的なミスだった。イランが報復すればイスラエルの対ハマス作戦は長引き、紛争後のガザ占領計画も台無しになるだろう。
Israel’s Bombing Of The Iranian Consulate In Damascus Was A Strategic Mistake




イラン領事館爆撃は戦略上のミス

 2024/04/01、イスラエルはダマスカスのイラン領事館を爆撃し、革命防衛隊の高名な標的数人を殺害した。

イランは、自らが選んだ時と場所で彼等の死に対して復讐することを誓ったが、この目に余る国際法違反を受けて、何 等の形でそれを実行するよう圧力が掛かっている。

 外国の外交施設はウィーン条約によって保護されているので、イスラエルの行動は擁護不能であり、イスラエルもこれを承知していた筈だが攻撃を実行した。

 これは恐らくは戦略的なミスだ。ネタニヤフ首相は恐らく人道的コスト、評判上のコストを犠牲にしてでも、安全保障を優先すべきだと考えたのだろう。だが彼が実際にやったのは、ガザで正に勝利宣言をしようとしている時に、イスラエルの治安を悪化させただけかも知れない。

 フーシが第2戦線を開いたことは、イスラエルの作戦を阻止するには不十分だった。ヒズボラはこれまでのところ「相互確証破壊」のリスクを冒してまで第3戦線を開くことには消極的だ。そして隣国のヨルダンではハマスとムスリム同胞団に触発された暴動が激化しているが、ヨルダンの治安部隊は西洋諸国で長年訓練を受けて来たので、この状況を管理することは可能だろう。従ってヨルダンでも別の戦線が単独で開かれることは無いだろう。

 つまり、ヒズボラがイスラエルに対して全面戦争を仕掛けたり、ヨルダンがヨルダン川西岸にまで波及するリビアの様な紛争に陥ったりしなければ、イスラエルはガザ地区に於てハマスの殲滅を完了させるだろう。

 だがイラン領事館攻撃によって状況は変わってしまった。何故ならイランは今や、何等かの形で新たな戦線を開くよう、益々圧力を感じているからだ。



予想されるシナリオ

 ひとつの可能性としては、例えばイランがヒズボラに「対応」を要請した場合、イスラエルがこれに過剰反応すれば全面戦争に繋がりかねない。

 別の可能性は、革命防衛隊、ヒズボラ、その同盟相手であるイラクの武装勢力が、イスラエル東部国境で安全保障上の危機を引き起こす為に、ヨルダンに対してハイブリッド戦争を仕掛けると云うものだ。そうなればイスラエル軍の大部分はそちらの対処に追われてガザ地区から引き離されるかも知れない。

 イスラエルはヒズボラやイランに対して戦争を仕掛けることで「相互確証破壊」のリスクを冒したいとは思っていない。イスラエルに若しその気が有ったのであれば、先ずイランに対して圧倒的な先制攻撃を仕掛けてその指導部を抹殺し、報復を阻止する為に可能な限り攻撃兵器を破壊していたことだろう。

 だがイランを急襲する絶好のチャンスは、イランがまだ体勢を整えていない2023/10/07のハマスの攻撃直後であって、そのタイミングはとっくに逃している。

 イスラエルは最早事態のエスカレーションをコントロール出来ていない。イスラエルがイランの領事館を攻撃したことで、イランは少なくとも対称的な方法で対応すべしと云う圧力を掛けられているが、イランの対応の仕方によっては、イスラエル側はそれに対して更なる対応をエスカレートさせろと云う圧力に曝されることになる。そうれば制御不能の悪循環に陥って最悪のシナリオに繋がりかねない。

 しかもタイミングが最悪だった。イスラエルはハマスに対する作戦を終えた後のガザ占領に向けて準備を進めている最中だった。03/29のアクシオスの報道に拠ると、イスラエルはアラブ諸国の軍隊から成る多国籍軍に治安を維持させると云う計画を立てていたのだが、イスラエルと抵抗の枢軸が軍事的緊張が高まっている状況ではそうした計画は実現不可能だ。物理、財政、そして評判上のコストが増大すれば、対ハマス作戦も長引く可能性が有る。

 イランがイスラエルの無謀な攻撃に対して何時、どの様に反応するかは誰にも分からないので、イスラエルの計画は今まで以上に不確実になっている。だが遅かれ早かれ報復が行われれば、それはゲームチェンジャーになるかも知れない。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

ブログランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ PVアクセスランキング にほんブログ村 人気ブログランキング
良ければクリックをお願いします。
最新記事
カテゴリ
リンク
最新コメント
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR