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ウクライナ諜報委員会は最悪のシナリオに備えている(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/02/27、ウクライナ諜報委員会は彼等にとっての最悪のシナリオについて警告し、それに「ロシアの偽情報」のレッテルを貼ることで信用を落とそうとした。
The Ukrainian Intelligence Committee Is Preparing For The Worst-Case Scenario



ウクライナ諜報委員会の情報戦作戦

 2024/02/27、ウクライナ諜報委員会はテレグラムへの投稿で、ロシアが接触線を突破し、それがゼレンスキーの徴兵制度に対する抗議活動と合わさって、ウクライナに致命傷を与えると云う、6月までに起こり得る最悪のシナリオについて警告した。

 例によって彼等はこうした抗議行動や、西洋やウクライナ社会で疲労感が増大していること、それにまたキエフで市民の軍との間の緊張が高まっていることについても、単なる「ロシアの偽情報」だと決め付けた。

 既に11月の時点で、「ゼレンスキーは今後自分に対して起こり得る抗議行動の信用を落とそうと必死だ」と評価したのだが、ゼレンスキーはロシアの工作員が自分に対して「マイダン3」クーデターを仕掛けようとしているとの陰謀論を開陳した。諜報委員会の今回の投稿も正にその件について触れている。

 この投稿と同日の02/27、ウクライナのメディアは、ゼレンスキー大統領が05/20の任期満了を前に、戒厳令下での選挙の実施について憲法裁判所に裁定を求める予定であると報じている。つまり支持率急落中のゼレンスキーは「今は戦争中だから、戒厳令中だから」と云う理由で選挙を延期し、大統領の座に留まりたいのだ。



国民の不満は歴とした事実

 この報道はまた、「野党指導者のペトロ・ポロシェンコとユリア・ティモシェンコが正統性の危機を回避する為に連立政権樹立を提案」したが、国家安全保障会議のダニロフ長官から叱責された経緯にも言及している。

 この提案の非常に興味深い点は、正に増大する国民の不満を前にして政権の正統性危機を回避すべく、12/18にポリティコの大西洋評議会の専門家が書いた記事が提案したものと同じものだと云うことだ。

 ポロシェンコとティモシェンコの警告と提案は、ゼレンスキーの正統性に関する疑問は「ロシアの偽情報」などではなく、正に事実であることを証明している。

 欧州の有力シンクタンクが1月に12ヵ国を対象に行った世論調査もこれを裏付けている。ウクライナがロシアを打ち負かせると考えている欧州人は、たった10%しか居なかったのだ。

 米国でも、ウクライナ援助の追加を巡って議会は行き詰まっており、欧州と同様に厭戦感情が蔓延していることを証明している。米国人は自分達が苦労した稼いで収めた税金を、最早誰の目にも失敗が明らかな破滅的な代理戦争にこれ以上注ぎ込むことを望んでいないのだ。



エリート層は第3次世界大戦も厭わない

 だが西洋の指導者達は、昨夏からのキエフの反攻が予想された通りに失敗し、ロシアがアヴディイフカで勝利を収めたことで、パニックに陥っている。02/26に欧州首脳20人以上が雁首を並べてウクライナに介入すべきかどうかを議論したのはその為だ。フランスのマクロン大統領は、この問題に関して合意が得られていないにも関わらず、NATOの直接派遣の可能性を「排除することは出来ない」と述べた。

 これは他の西洋諸国の指導者全員から強い拒否反応を引き起こし、彼等は絶対にそんなことは許可しないと主張したが、彼等の言葉が何処まで信頼出来るかは不明だ。

 結局のところ、ウクライナ諜報委員会が「ロシアの偽情報」だと信用を落とそうとしている最悪のシナリオが実現した場合、NATOは国家崩壊とアフガニスタンの様な惨事が欧州で起こることを防ぐ為に、正規型の介入を強いられる可能性が有る。ロシアが接触線を突破すれば、NATOが傍観している可能性は低いのだ。

 前述の世論調査結果や米議会の膠着状態を見れば判る様に、そのシナリオは非常に人気が無い。だがエリート層は外交や軍事政策を策定する際、世論など気にせず強行するかも知れない。

 だが不人気な介入策を強行すれば、その後欧州では大規模な抗議活動が起こるだろう。それはエリート層も避けたいところだ。だがウクライナでの地政学的なプロジェクトが完全に無駄にならないようにする為に、敢えてそのリスクを取るかも知れない。



考え得る最良のシナリオ

 だがウクライナ国内の一般市民が、ザルジニー元総司令官の取り巻きの様な軍-諜報事機関内の友好的な分子の支援を受けて反乱を起こせば、流れが変わる可能性も有る。SBU(ウクライナ保安庁。キエフ版のゲシュタポ)は反体制派を虐待・投獄・殺害しているので、彼等は命の危険に曝されることになるだろうが、彼等の信用を失墜させようとウクライナ諜報委員が必死に試みていることから判る様に、反乱を起こす準備の出来ている者は十分な数に達している様だ。

 但し反乱が起こるかどうか、またその規模や時期について予測するのは時期尚早だ。CIAの支援を受けたSBUが指導者達(特に軍-諜報関係の人々)を逮捕して反乱を未然に阻止する可能性も有る。

 しかし実際に反乱が起こり、これがロシアの接触線突破と重なって、しかも自分達の命を懸ける覚悟の有る友好的なエリート層の協力が得られた場合には、この代理戦争は迅速に終止符が打たれるかも知れない。

 この紛争の世界的な重要性を考えると、ウクライナの支配的エリート層と彼等の西洋の御主人様達の観点からは最悪のシナリオと見做されることが、世界の他の国々にとっては最良のシナリオとなる。

 ゼレンスキーが解任され、ロシアが突破口を開くと共に和平交渉が再開された場合、NATOはロシアとの安全保障上のジレンマから正規型の介入を行う圧力をそれ程感じないかも知れない。従って計算違いから第3次世界大戦が起こる可能性も軽減されることになる。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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