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CIA長官は中国を最大の「脅威」と呼び、ウクライナ戦争は地政学的・経済的に米国にとって得だと語る(抄訳)

2024/02/07のベン・ノートン氏の記事の抄訳。2024/01/30、CIAのウィリアム・バーンズ長官の記事の解説。
CIA director calls China biggest ‘threat’, says Ukraine war benefits US geopolitically and economically



CIAのバーンズ長官が中国とロシアを脅威と呼ぶ

 2024/01/30、CIAのウィリアム・バーンズ長官は外交問題評議会(CFR)の公式出版物であるフォーリン・アフェアーズに、「Spycraft and Statecraft:競争の時代に向けてCIAを変革する」と云う記事を発表した。

 米国で最も強力なシンクタンクのひとつであるCFRはニューヨーク市に拠点を置き、国務省と事実上の回転ドア人事によって癒着しており、ウォール街と国務省の間で一種のへその緒の役割を果たし、経済政策と外交政策を調整している。

 この記事でバーンズはこう書いている。

 中国の「過去50年間の経済変革は並外れたものであった。」

 そして中国の急速な経済的・技術的進歩により米国の覇権が弱まったと嘆いている。

 「中国の台頭とロシアの報復主義は、米国が最早比類の無い優位性を享受出来なくなった熾烈な戦略的競争の世界に於て、手強い地政学的課題を突き付けている。」

 ジョー・バイデン大統領を含むワシントンの多くの政府高官達は、米国は中国との「競争」だけを求めており、新たな冷戦を求めている訳ではないと言い張っているが、バーンズは、「2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した瞬間、ポスト冷戦後の時代は決定的な終わりを迎えた」と書いている。つまり「ポスト冷戦時代」はもう終わったので、ワシントンは第2次冷戦を繰り広げていることを示唆したのだ。



CIAは対中国ハイブリッド戦争の舞台を整えている

 彼は中国とロシアを脅威として描いているが、ワシントンが主な「脅威」と考えているのはモスクワではなく寧ろ北京の方だ。


 「中国は依然として、国際秩序を再構築する意図と、それを実現するための経済力、外交力、軍事力、技術力の両方を備えた唯一の米国のライヴァルである。」

 「ロシアが当面の最大の課題となるかも知れないが、長期的には中国の方がより大きな脅威であり、過去2年間、CIA はその優先順位を反映する為に組織を再編して来た。

 我々は、私がずっと昔に学んだ組織上の事実を認めることから始めることにした。即ち、予算に反映されない限り、優先順位は本物とは言えないと云うことだ。

 これに応じて、CIAは世界中で中国関連の情報収集、作戦、分析に非常に多くのリソースを投入している。過去2年間だけでも、中国に焦点を当てた予算全体の割合は2倍以上となっている。

 我々はラテンアメリカからアフリカ、インド太平洋に至るまで、中国と競争する為の取り組みを強化すると同時に、より多くの中国語話者を雇用し、訓練を施している。

 CIAには、組織の様々な部門から職員を集めて問題に特化したグループから成る十数の『ミッション・センター』が有るが、2021年、我々は中国に特化した新しいミッション・センターを設立した。これは唯一の単一国のミッション・センターであり、中国に関する作業を調整する為の中心的なメカニズムを提供し、その仕事は今日CIAの隅々にまで及んでいる。」





ウクライナ戦争は軍需産業を潤す

 バーンズはまたロシアとの戦争に於てウクライナを支援し続けるよう米国政府に求めた。

 米国のウクライナへの軍事援助は、「比較的控え目な投資であり、米国にとって地政学的な大きなリターンと、米国の産業にとって顕著なリターンを齎すものである。」

 言い換えれば彼はウクライナ戦争が軍産複合体に利益を齎し、米国の兵器企業の懐を温かくしていることを認めている。

 バイデン政権も同様の「軍事的ケインズ主義」を利用して来た。2023/10/25のポリティコの記事は、「ホワイトハウスは両党の議員に対し、国外の(ウクライナの)戦争努力を国内の潜在的な経済ブームとして売り込むよう、密かに促している」と報じている。

 バーンズはまたウクライナを支援すれば中国への威嚇にもなるとも示唆した。

 「プーチンの侵略に対抗する為に経済的苦痛を与え、吸収する米国の意欲と、同盟諸国を結集させて同じ行動を取らせる米国の能力は、米国が終末的衰退に陥っていると云う北京の思い込みに大きく矛盾した。」

 「ウクライナへの物的支援を継続することは、台湾を犠牲にするものではない。それは台湾を助ける米国の決意を示す、重要なメッセージを送るものである。」




2008年に駐ロシア米国大使として、バーンズはウクライナ戦争を予言した。 今、彼は台湾に狙いを定めている

 CIA長官に任命される前、バーンズは数十年間米国の上級外交官を務めていた。彼のキャリアは、CIAと国務省が回転ドア人事で繋がっていることを反映している。

 バラク・オバマ政権下で彼は国務副長官を務め、ヒラリー・クリントン国務長官直属の副司令官となった。

 その前は、バーンズはブッシュJr.政権で駐ロシア米国大使を務めていた。

 2008年にルーマニアのブカレストで開催されたNATO首脳会議で、ブッシュ大統領はウクライナとグルジアがNATOに加盟することを約束した。これはこの約束がロシアとの緊張を悪化させることを懸念したドイツやフランスを含む幾つかのNATO主要同盟国を動揺させた。

 バーンズは駐ロシア米国大使としての立場でこの論争に応え、2008年に「ニエットと言ったらニエットなのだ:NATO拡大に関するロシアのレッドライン」と題する国務省機密公電を執筆した。この文書はWikiLeaksによって公開されたが、彼はこう書いている。


 「ウクライナとグルジアのNATOへの願望は、ロシアの神経を逆撫でするだけでなく、地域の安定に齎す影響について深刻な懸念を引き起こしている。

 ロシアは(NATOによる)包囲網や、この地域に於けるロシアの影響力を弱体化させようとする取り組みを認識しているだけでなく、ロシアの安全保障上の利益に深刻な影響を与える、予測不能で制御不能な結果も懸念している。

 専門家達に拠るとロシアは特に、NATO加盟を巡るウクライナ国内の強い分断は、ロシア系コミュニティの多くが加盟に反対しているので、暴力や、最悪の場合は内戦を伴う大きな分裂に繋がる可能性が有ると懸念している。

 その場合、ロシアは介入するかどうか決定しなければならないだろう。ロシアが直面したくない決定だ。」



 つまり米国側はウクライナに於ける挑発を続ければ、ロシアが介入せざるを得なくなることを承知していた。バーンズのこの時の警告は、米国がキエフをロシアとの戦争に追い込んだことによって、事実上全てが現実となった。

 こうした前例を念頭に置くならば、CIA長官が台湾を巡って中国を脅迫していることは、決して軽々に考えるべきではない。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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