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コンゴ民主共和国で30年間続くジェノサイドにNOを突き付ける人達

 2024/02/08、コンゴ民主共和国の代表選手達と監督は、AFCON(アフリカ・ネイションズカップ・サッカー大会)の準決勝前に、自国で起こっている暴力と、それに対する国際社会の沈黙に対して抗議を行った。この時彼等一様に口を塞ぎ、こめかみに2本の指を突き立てるポーズを取った。
What DR Congo’s silent protest at AFCON was about | Al Jazeera Newsfeed

 
 「コンゴ東部で起こっていることを誰もが見ている。でも誰もが口を噤んでいる。AFCONについて語るのと同じ位のエネルギーを持って、我々の祖国で何が起こっているのかに光を当てて下さい」とストライカーは語っている。

 紛争によって、現在700万人のコンゴ人が家を逐われている。天然資源が豊富なコンゴ東部の支配権を巡って、国軍は反乱勢力と戦い続けているが、そこの主要都市ゴーマの近くに対してM23反乱勢力が攻撃を続けている。

 国連は、M23はルワンダの支援を受けていると発表しているが、ルワンダ政府はこの疑惑を否定している。

 M23は2012年にもゴーマを占領したことが有るが、その時にも何千もの人々が命を恐れて逃亡した。

 国連軍は状況を監視していると主張しており、政府はゴーマをM23の手には渡さないと宣言しているが、M23による略奪行為は一向に収まる気配が無い。

 02/24にはこの状況に抗議する為のデモがブリュッセルで開かれ、DRC出身の約1,050人が参加した。抗議者達はパトリス・ルムンバ(CIAと旧宗主国ベルギーに暗殺されたDRCの初代大統領)広場に集まり、「コンゴのジェノサイドを止めろ」、「私達は富の為に殺される」等のプラカードを掲げてルクセンブルク広場へ移動した。
Thousands of Africans protest in Brussels against the Ongoing DRC Genocide


 彼等はDRCの状況を「ジェノサイド」と表現し、M23グループをルワンダが支援していること、そしてそのルワンダを西洋諸国の一部(米英仏)が支援していること、そして隣国ブルンジとDRC内に、同じく西洋の一部から支援を受けているウガンダの軍が駐留していることを非難した。

 DRC東部、特に北キブ州は、ルワンダが支援している、主にツチ族で構成される反乱勢力M23と、コンゴ軍との間の戦場となっている。紛争は何年も続いて来たが、最近更にエスカレートしている。



 背景を説明しておくと、1990年代、米国のビル・クリントン政権が支援するルワンダ解放戦線(ウガンダに逃れたルワンダの支配民族であったツチ族が主体になった軍隊)はルワンダに度々攻撃を仕掛けたが(CIAがマイアミの亡命キューバ人達を使ってピッグス湾事件を起こした様なものだ)、これは1994年に彼等がルワンダ大統領を暗殺し、それをフツ族の仕業に見せ掛けて攻撃の口実にすることで最終的にルワンダ侵略を果たしたことでクライマックスを迎えた。西洋の公式の歴史では、「多数派のフツ族が少数派のツチ族に対してジェノサイドを仕掛けた」と云うことになっているが、実際は真逆だった。ツチ族も確かに10〜20万人程殺されたが、殺害されたフツ族の数はその数倍に上る。

 権力を掌握したルワンダ解放戦線のポール・カガメは米国から「アフリカのリンカーン」と賞賛されたが、彼は反対派に対して徹底的な弾圧を加え、恐怖政治を布いた。多くのフツ族が弾圧を逃れて隣国のDRCに逃れたが、カガメは避難民をテロリストと呼び、「テロ対策」を口実に今度はDRCに攻撃を仕掛けた。この戦争は同じく西洋から支援を受けていたウガンダ他多くの近隣諸国を巻き込んだ為、「アフリカの世界大戦」とも呼ばれ、二度の戦争(1996〜97年1998〜2003年)では合計600万人以上が死亡したと見積もられているにも関わらず、西洋ではこの戦争が起こった自体を知らない人も多い(先に挙げた動画では、ここ30年間で1,200万人が死んだと主張する抗議者も登場するが、こうした推計は控え目になりがちなので、戦後のテロによる被害まで含めれば、600万人より遙かに多いと云うことも確かに有り得る)。

 従ってこの巨大は嘘な二段構えになっている。西洋のプロパガンダは「亡命したツチ族が主体のルワンダ解放戦線によるルワンダ侵略」を「ツチ族に対するフツ族のジェノサイドをルワンダ解放戦線が止めてルワンダを解放した」と云う話に作り変え、「ルワンダによるDRC侵略」を「DRCのテロの脅威」の話に摺り変えたのだ。この結果、西洋はルワンダやウガンダを通じてDRCの豊富な天然資源を安価に大量に手に入れることが出来る様になった。その所為で劣悪な労働環境、児童労働や人身売買まで横行しているのだが、西洋諸国の「文明的」な暮らしを支えるこれらの資源獲得の裏で何が起こっているのかは、西洋では殆ど黙殺された儘だ。


 西洋ではヒトラーが主に白人のヨーロッパ人を600万人殺害したことはとんでもないスキャンダルとされているが、それ以前にベルギーのレオポルド2世の貪欲な圧政によってコンゴで1,000万人以上が命を落としたことは余り問題にはされない。それと同じで、今も昔も、アフリカ人の命は西洋人の命に比べればとんでもなく安い。但しロシア人は一応西洋人に分類される人種ではあるが、2014年以降にキエフのナチ勢力によって殺害されたロシア人(ウクライナ国籍のロシア語話者)の存在は西洋ではタブーになっている。これは無論「ロシアがウクライナに対して不法で理不尽な攻撃を仕掛けている」と云う物語を広める上で不都合だからだが、この種のジェノサイドは「民族的な憎しみ」だけによって起こる訳ではなく、その背後で帝国主義勢力の覇権主義的な策謀が渦巻いていることは念頭に置いておくべきだろうと思う。ジェノサイドが恰も社会に内在する要因だけで自然発生するかの様な解説に出会ったら、眉に唾して聞いておくべきだろう。DRCの「忘れられたジェノサイド」は、意図的に忘れさせられたものだが、これは西洋の非人道的な偽善を証明する恰好の事例だ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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