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アレクセイ・ナワリヌイの死をワシントンは利用しているが、WikiLeaksは彼が米国から資金提供を受けていたことを暴露(抄訳)

ブライアン・バーレティック氏の解説動画の抄訳。ちょこちょこ補足した。ナワリヌイの背後関係について、何故世界中の人々が理解し、警戒しなければならないのか。
Wikileaks Reveals Alexei Navalny's US Funding as Washington Exploits His Death




ナワリヌイの死を政治利用する米国

 2024/02/17、ウクライナ軍がドネツク州のアブデーフから撤退する中、02/16に刑務所に収監されていたロシアの反体制派、アレクセイ・ナワリヌイが死亡したと云うニュースが広まった。ここでは彼個人についてではなく、彼の政治的キャリアを築き上げ、彼を利用し、彼の死を今また政治的に利用している連中のことについて解説する。最初に断っておくと、それはロシアではなくワシントンDCに居る人々のことだ。

 彼の死を利用している連中を見てみよう。

 先ず02/16のNYタイムズの記事。「ナワリヌイの死で米国とロシア間の緊張が高まる:バイデン大統領はロシアの反体制派の死について『プーチンとそのゴロツキ共』を非難し、欧州の同盟諸国は米国が彼等を見捨てないと云う保証を緊急に求めた」と云うタイトルだが、ロシア市民がロシアの刑務所内で死亡したことに、彼等は一体何の関係が有るのだろうか。完全にロシアの内政問題なのだが、彼等は他国の問題に介入することに全く躊躇いを覚えない。

 バイデンはまだ死因が調査中であるにも関わらず、プーチン個人を名指しで非難した上で、これを議会にウクライナに対する軍事援助を求める理由として挙げた。つまりバイデンはこの件によって、軍事援助を確保する為の口実としてロシアを悪魔化するチャンスを掴んだ訳だ。但しバイデンは以前、ナワリヌイが獄中で死亡した場合には大変な結果になると警告していたにも関わらず、過去2年間でロシアに対して既に制裁や様々な行動を十分行って来たので、これ以上はどう仕様も無いとも認めている。その上で、「ですが間違えてはいけません、プーチンはナワリヌイの死に責任を負っています」と、一体何を根拠にしているのか分からないが自信満々に断言している。

 だが「プーチンがナワリヌイの身に起こったことに対して責任を負っていると云うことは、プーチンの野蛮さの更なる証明です」と言いつつ、ナワリヌイが暗殺されたのかと記者から問われると、「米国は状況を完全に把握してはおりません」と答えている。つまり何が起こったかは知らないけれども、ロシアが犯人だと云うことは知っている、と言っている訳で、もう無茶苦茶だ。論理も証拠も事実も関係無い、完全に結論ありきの発言だ。仮にも一国の指導者が他国の指導者を何の具体的な裏付けも無しに暗殺容疑で名指しで非難するなど、国際政治の常識から完全に外れているのだが、まぁこれが米国の何時もの手口だ。何かの機会を捉えては、自分達の地政学的目標に向けたアジェンダを推進する為に利用する。ホワイトハウスは全く無責任に事実を無視して、ナワリヌイの死を政治的に利用することを世界中の前で宣言しているのだ。

 同様の政治的利用は西洋の大手メディア全般で見られる。どのメディアを見ても判で押した様に同じだ。例えば02/17のCNNの記事は、「プーチンはナワリヌイに死活的脅威を感じていたが、この野党指導者の名前は挙げなかった」と題されている。他のもどれを見ても一緒。外見はそれぞれ違うが物語は同じ。健全な民主主義が機能する上で必須である視点の多様性など全く無い。事前に調整を受けていた様に均一だ。



ナワリヌイは超マイナーな人物

 02/16のアル=ジャジーラの記事は、「アレクセイ・ナワリヌイ:プーチンが名指しせず、クレムリンが脅迫に失敗した宿敵。ナワリヌイはプーチンの最も激しい政敵で、街頭やインターネットを利用してクレムリンのい秘密を暴露し、大統領に代わりは居ないと思っていたロシア人を奮起させた」と云うタイトルだ。だがこのアル=ジャジーラの記事を下の方までよく読めば、実は現実はタイトルとは真逆であったことが読み取れる。

 「モスクワに本拠を置く世論調査機関レバダ・センターの2021年2月の調査に拠ると、ナワリヌイの活動を支持するロシア人は僅か19%で、彼の活動を支持しない人は56%だった。」

 この19%と云うのが彼の人気の頂点だった。何故なら2020/08/20に彼が「毒を盛られた」と主張された事件が有ったのだが、この後彼の支持率は急増したからだ。2020/10/02のロイターの記事にはこう書いてある。

 「現在ロシア人の1/5が毒を盛られたクレムリン批判者アレクセイ・ナワリヌイを支持している。この数字は1年前の2倍以上となっているが、彼の活動に対する不支持率も倍増している。 」

 つまりナワリヌイや彼のチームはこの毒殺未遂と称する事件によって大いにポイントを稼いだ訳だ。当然、彼等を支援していた米国政府もこの事件から利益を受けた。この事件で不利益を被ったのは当然、ロシア政府だ。暗殺未遂で非難の集中業火を浴びたのだから。このロイターの記事に拠ると(同じくレバダ・センターの調査結果だが)2019年の彼の活動の支持率は僅か9%、不支持率は25%だった。これが事件の後はそれぞれ20%、50%に倍増した訳だ。

 ロシア人の多くは彼の名前すら聞いたことが無かった。ロシア政府はこの極めてマイナーな人物を単に黙殺していた。政治的な脅威でも何でもなかったのだから、単に放置していればそれで済んだのだ。暗殺未遂などしてわざわざ注目を集めてやらねばならない理由など無い。



レバダ・センターとは?

 ここでレバダ・センターについて解説しておこう。モスクワに拠点を置いている組織なのだから、ロシアにとって有利な調査結果を捏造するかも知れないと思う人が居るかも知れない。だが残念、この組織は確かにモスクワに拠点を置いているけれども、資金を出しているのは米国政府だ。米国政府はこの組織だけでなく、ロシア内外で広大な反体制派ネットワークを支援している。

 CIAのフロント組織、NED(全米民主主義基金)の2011年の公式ページの解説を見てみよう。ここにはNEDが2009年以来レバダ・センターを支援し続けていることが明記してある。つまり資金は米国政府から出ている。この記事は「独立世論調査機関」と説明しているが、米国政府から資金提供を受けて活動している組織が「独立」? 普通はこう云う組織は米国政府の組織と見做されるものだ。ロシアや中国が米国で同じ様な組織を活動させて米国の内政問題を調査させていたらどう思うだろうか?

 NEDはレジーム・チェンジ(政権交代、体制転覆)を専門とする、米国政府から資金や命令を受けている組織だ。取締役会の面々を見れば、世界各国のレジーム・チェンジに直接関わって来た人物を何人も見付けることが出来る。

 繰り返す様にこの組織は氷山の一角で、米国政府はロシアの国内外に、ロシアの内政問題に介入する為の様々な組織のネットワークを張り巡らせており、ナワリヌイが創設した組織もその一部だ。



ナワリヌイの作った組織

 02/16のガーディアンの記事に拠ると、ナワリヌイは2000年に「ヤブロコ(Yabloko。ロシア語で林檎の意味)」と呼ばれるロシア統一民主党(Russian United Democratic Party)に入党し、2004〜07年にモスクワ支部の支部長を務めた。そして2005年には若者向けの社会運動「DA!(ロシア語の"да"と英語の"Democratic Alternative"を掛けている)を創設したが、米国政府はヤブロコとDA!は親西洋組織だと見做した。

 この事実は米国務省の秘密通信文によって裏付けることが出来る。WikiLeaks(その創設者ジュリアン・アサンジはジャーナリズムを遂行した罪で監獄の中で文字通り緩やかに死につつある。若し彼が獄中で死亡したら、彼の投獄に関与した西洋諸国の指導者達は「我々の責任だ!」と悔い改めるだろうか?)が公開した2006/11/30の通信に拠ると、DA!を率いているのは元首相イゴール・ガイダル(エリツィン政権時代に新自由主義改革を強行し、ロシアの富を西洋に流した売国奴)の娘、マリヤ・ガイダルだ。

 「彼女は全米民主主義基金(NED)から資金提供を受けているが、米国との繋がりによって怪しく思われることを恐れてその事実を公表していない。」

 DA!の指導者が米国と繋がりが有ることを、国務省自身が認めているのだ。そしてこの後「彼女が我々に語ったとこころでは、DA!は………民主主義の基盤を拡大する取り組みである」と述べているので、この記述はマリヤがモスクワの米国大使館に接触したことを示している。

 オボロナ(Oborona。ロシア青年運動) に参加したい人はDA!に参加したくないでしょうし、その逆も同様ですが、私達は共通の目標に向かって協力します。」

 これは企業が用いるマーケティング戦略と同じだ。出来るだけ様々なブランドを用意しておいて、異なるマーケティング戦略を用いることで、出来るだけ多くの層にアピールして潜在的なマーケットを開拓するのだ。

 「彼女はまた、2007年にサマーキャンプを開催して、最大2,000人の学生達に民主主義活動の手法を訓練する計画を立てている。」

 マリヤはNEDを通じて米国政府の資金を使ってロシア人の若者達に「民主主義活動の手法」を教える、つまり主権国家であるロシアの内部に、米国の利益に仕える政治的ブロックを作り出すと言っているのだ。これがどんなにとんでもないことかは、ロシアや中国が米国内で同じことをやってみた場合のことを想像してみれば良い。

 民主主義とはそもそも自己決定のプロセスだ。ロシアの民主主義とは、ロシア人自身が自分達の事柄や未来について決定するプロセスのことだ。だが米国政府がロシアの内政問題に対してカネを注ぎ込んで政治的反対派運動を作り出したとしたら、それはこの自己決定プロセスに対する外部からの介入になる。それは民主主義ではないだけではなく、その逆だ。外国が干渉して国家の主権を損なうことは、その国の民主主義を損なうのと同義だ。NEDは「自分達のやっていることは外国への干渉ではない。我々は世界に民主主義を広めているのだ」と云う大義名分で自分達の活動を正当化しているが、民主主義がその様にホイホイ他国に輸出出来る様な代物であると云う考え自体がおかしいのだ。



繰り返されるカラー革命の背後には米国が

 同じ通信の第2部の結論部分にはこう書いてある。

 「ロシアの若者が政治的に無関心なのは(徴兵制が彼等を動員出来る唯一の問題である様である)、問題が自分達に影響を与えないか、或いは自分達が問題に影響を与えることは出来ないと信じているからだ。大胆で率直な発言を行って我々(米国務省)の関心を惹くグループは例外である。少数の真に民主的な若者グループは、近隣諸国のオレンジやローズのカラー革命を回避する為の十分に資金提供され組織化された政府の取り組みによって、急速に無意味なものになりつつある。ナショナリストのグループもまた勢力を拡大すれば、脅迫や嫌がらせのキャンペーンにも直面する可能性が高い。」

 「少数の真に民主的な若者グループ」とはつまり米国の利益にとって都合の良いグループと云う意味だ。「オレンジやローズのカラー革命」とは、2003年のグルジアでのローズ革命と、2004年のウクライナでのオレンジ革命のことを指す。これはどちらも米国が介入して仕掛けたカラー革命で、これらによって米国は両国の正統な政府を転覆させ、自分達にとって都合の良い、NATO志向の傀儡政権を権力の座に据えることに成功した。グルジアは2008年にロシアに戦争を仕掛けるところまで行ったがあっさり敗退した。これは西洋ではロシアの方から侵略したと云うことにされているが、実際には真逆であることを、攻撃を仕掛けた張本人であるミハイル・サーカシュヴィリが認めている。2014年以降、ウクライナでもっと遙かに大規模に同じことが繰り返されたが、その結果は今全世界が目にしている通りだ。

 2004/11/26のガーディアンの記事は、オレンジ革命の背後に米国が居たことをはっきり認めている。

 「このキャンペーンはアメリカが創り出したもので、西洋のブランディングとマス・マーケティングに於ける、見事に考案され洗練された産物である。これは4年間で4ヵ国で不正選挙を救済し、好ましくない政権を打倒する為に利用されて来た。」

 ガーディアンは米国の不正な介入を暴いている訳ではない、それが見事な成果を上げたと賞賛しているのだ。

 「米国政府によって資金提供され、米国のコンサルタント会社、世論調査員、外交官、米国の二大政党、米国の非政府組織を派遣して組織されたこのキャンペーンは、投票所でスロボダン・ミロシェヴィッチを破る為に2000年にベオグラード(ユーゴスラビア連邦共和国の首都)で初めてヨーロッパで実施された。」

 つまり米国は様々な要員を派遣して他の主権国家の選挙に介入したことを認めているのだ。この記事は更に続けて、同じ手口がグルジア、ベラルーシ(これは失敗した)、ウクライナでも繰り返されたことを認めている。そしてこの内政干渉工作を「草の根運動」と表現した上で、これに関与する主な機関として以下のものを挙げている。

 ・民主党の国立民主研究所(National Democratic Institute/NDI)
 ・共和党の国際共和党研究所(International Republican Institute/IRI)
 ・米国務省
 ・USAID(米国際開発庁)
 ・NGOのフリーダム・ハウス
 ・億万長者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー研究所


 米国政府やそれに関連する組織から資金提供を受けている運動が「草の根」な訳はない。それらの運動は西洋のメディアによって草の根の民主化運動だと宣伝されるのが常だが、実際には米国の利益を推進する為の人工芝運動であり、他国の主権を侵害する内政干渉の為の装置だ。



ナワリヌイは氷山の一角だ

 ナワリヌイの死を政治利用しようとしているのは米国大統領(バイデンは2014年以降の米国のウクライナ支配に於て主要な役割を果たした)や西洋のメディアだけではない、NED自体もこの件について幾つもの論説を発表している。一例としてNEDのユーラシア・プログラムのシニア・マネージャーが書いた論説を挙げる。これは02/16に発表されたもので(この日付が繰り返されることに注意しておこう。西洋大手メディアの多くはナワリヌイの死亡が発表された当日やその翌日に、長い追悼記事を掲載している。予め用意していなければ難しいことだ)、掲載された媒体はこれも西洋諸国の政府や軍需産業等から資金提供を受けているNATOの有力シンクタンク、大西洋評議会のサイトだ。NEDの現在のCEO、デイモン・ウィルソンは大西洋評議会の出身だ。

 この記事はナワリヌイのことを「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対抗した野党指導者達の中で群を抜いて最も人気が有り印象的な人物」であると紹介しているが、先に説明した様にこれは真っ赤な嘘だ。そうとでも言わなければ、ロシアには人気の有る親米野党など存在しないと云うことを認めなけれならなくなる。その上でこう続く。

 「国家の手によるナワリヌイの死は、ロシアの民主化運動にとって計り知れない後退を意味するが、その運動は常に一人の男よりも遙かに大きなものであって、彼抜きでも今後も続くだろう。ナワリヌイがプーチン政権と戦う為に編み出した戦略とメッセージは、ロシアの親民主主義活動家の多様なグループに広がって来た。この運動はレジリエンスが有り、10年以上に亘って益々厳しくなる弾圧に適応出来ることを証明して来ており、この壊滅的な展開にも同様に適応するだろう。」
 
 言い換えると、ロシアの内政に対する米国の干渉工作ネットワークはナワリヌイ一人に限定されたものではなく、もっと遙かに大きなものであって、他にも工作員は無数に控えていると云うことだ。「ロシアの弾圧」とここで言われているのは、つまりロシアが自らの主権を守る為にこうした外国の干渉を排除する為に行って来た取り締まりのことを指している。そして、

 「殉教は非常に強力な政治的物語であり、この残酷な悲劇によって、他の多くのロシア人達が自由を求める闘争に更に献身することになるだろう。」

 つまりナワリヌイの死は「殉教」として政治的に利用出来るものであり、ロシアの主権を侵害して内政干渉を強化する為に彼の死は都合が良かったと述べているのだ。彼等はナワリヌイや彼のネットワークに多大な投資を行って来た訳だが、その見返りは到底満足の行くものではなかった。だが彼が死亡したことによって、またロシアを悪魔化して内政干渉を強める口実が出来たのだ。彼が親民主主義派だとは親人権派だったとか云う、事実とは全く懸け離れた大嘘を吐いているのは、その方が介入を正当化するのに都合が良いからだ。



ナワリヌイの本当の人物像

 ではナワリヌイとは本当はどんな人物だったのだろうか。これも西洋の大手メディアで確認してみよう。

 2021/02/25のラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティの記事を見てみよう。この組織もまた米国政府から資金提供を受けているので、「ロシアのプロパガンダ」など流す心配は無い。

 この記事は2021/02/23、アムネスティ・インターナショナルが彼の過去のヘイト的な言動を理由に、ナワリヌイを「良心の囚人」のリストから外したことを報じている。そして彼が「2000年代後半にナショナリストの大義を恥ずかしげも無く支持した」と述べ、「あらゆる立場のウルトラ・ナショナリスト達がモスクワに集まる毎年恒例のイヴェントである『ロシア行進』」に参加したと報じている。やや遠回しに言っているが、つまりはナチやネオナチの仲間だったと云うことだ。こうした運動は「近年その規模は縮小している」とこの記事は報じているが、これはロシアがそうした暴力的なイデオロギーを禁じて取り締まっているからだ。

 「これを受けて、リベラル派のヤブロコ党はナワリヌイ氏を党員リストから除名したが、2007年に国民ロシア解放運動と呼ばれる新団体の旗印の下、ナワリヌイは「お墨付きのナショナリスト」を自称し、あからさまな排外主義を推進するYouTube動画を公開した。」

 或る動画では歯医者のコスプレをしたナワリヌイが、移民達を虫歯に喩えてこう言っている。

 「完全な消毒をお勧めします。………私達の邪魔をするものは全て、慎重に、しかし断固として国外追放によって排除されるべきです。」
Стань националистом!


 ナワリヌイはこの後トーンを落としたものの、「保守的な移民政策を推進し続け」たとこの記事は続けている。つまり彼は移民へのヘイト、特にイスラム教徒への差別を性懲りも無く叫び続けたのだ。

 「ナワリヌイはインタビューで、過去の発言や動画を後悔していないと繰り返し述べ、リベラル派とナショナリストの両方を巻き込む能力が政治家としての強みの一部であると示唆した。」

 この記事は彼が2018年の大統領選に出馬を禁じられたことについて触れているが、多民族国家であるロシアでこんな人間が(可能性は限り無く低いが)大統領になろうものなら、民族浄化が始まっていたことだろう。

 要するに彼は西洋大手メディアが喧伝しているのとは真逆の存在だ。ウクライナと同じで、米国が彼に与えた役割は、ロシアを不安定化して政権を転覆させ、それを乗っ取ってロシアを米国の属国にし、米国の利益を推進する為にロシア人の利益を犠牲にさせることだ。これはつまりソ連崩壊後の1990年代の様な状態にロシアを戻せと云うことであって、当時は米国や西洋諸国がロシアを好き放題に食い荒らしていた。プーチンが大統領になったことによってこの犯罪的収奪行為にはストップが掛けられた訳だが、従って西洋は邪魔なプーチンを排除して自分達の傀儡にロシアを支配させたいと思っている。ナワリヌイはその為の手駒なのだが、ロシア人はあんな時代は二度と繰り返したくないと思っている。だから彼は人気が無いのだし、彼が収監されたのもその為だ。彼は反プーチン派と云うより反ロシア派なのだ。



対ロシア工作は氷山の一角

 より広いコンテクストを振り返ると、NATOはゴルバチョフとの口約束をあっさり破ってロシア国境まで拡大し、先にも述べた様にロシアの近隣諸国に対して次々とカラー革命を仕掛けて政治的にそれらの国々を乗っ取ってロシアを挑発して来た訳だが、これはロシアにとっては勿論、深刻な安全保障上の脅威を意味する。それに対する最終的な対応が、ウクライナに於ける特別軍事作戦だった訳だ。あれもこれも、全て繋がっている話だ。

 アレクセイ・ナワリヌイ個人はロシアにとって何等脅威だった訳ではないが、彼が組み込まれていた米国が資金提供する内政干渉ネットワークは、ロシアにとって間違い無く脅威だ。それはロシアを米国の利益に奉仕する国に作り変えようとしている。ナワリヌイ個人は死んだが、それで終わりではない。彼の後釜は幾らでも居るし、ネットワーク自体は滅びてはいない。

 また米国はこうした干渉をロシアやその近隣諸国だけでなく、世界中の国々(米国の「同盟」諸国も含む)に対して行っていることを覚えておくべきだろう。東南アジアの場合、米国は中国に対して非合理的なまでに敵対的な傀儡政権を据えて中国封じ込めに利用し、それらを中国に対する破城槌に変えようとしているが、これは軍事面だけではなく、NEDの様な組織を通じて政治面でも大々的に行われていることに留意すべきだ。そのネットワークは反体制派の政治家や活動家だけではない、メディア、法曹界、世論調査機関等を巻き込んだ国家の中の国家の様なもので、それが標的とする国を政治的に乗っ取る時の米国の手口なのだ。


 この解説はナワリヌイ個人の悪口を言う為のものではなく、彼が組み込まれていたネットワークがどれだけ危険なものであるかについて警鐘を鳴らすのが目的だ。今彼の死を政治的に利用しようとしている連中は、同じことを世界中に対して行っている。世界中の誰にとっても、この件は決して対岸の火事ではないのだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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