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サウジはロシアとインドのブラーモス超音速ミサイルを購入することでバランス取りを強化するだろう(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/02/08、ロシアがサウジに超音速巡航ミサイルを売ろうとしていることが報じられたが、ロシアの軍事外交は米国のそれとは対照的に紛争のエスカレーションではなく、紛争の政治的解決を促進する為にパワー・バランスを維持することを目的としている。
The Saudis Would Bolster Their Balancing Act By Buying Russo-Indo BrahMos Supersonic Missiles



サウジがロシアの超音速巡航ミサイルを購入

 2024/02/08のRTの報道に拠ると、ロシアとインドが共同開発したブラモス超音速巡航ミサイルの購入に向けて、サウジはブラモス・エアロスペース社と交渉中だ。

 サウジはこの製品を購入することで、バランス取りを強化することだろう。サウジは米国の同盟国と云うことになっているが、バイデン政権はイエメン戦争に関してサウジに圧力を掛ける為、サウジへの攻撃的武器の販売を制限した。米国は戦略的パートナーに対してさえ状況に応じて平気で政治的裏切りを犯す信頼出来ない相手であることが証明されたので、プラグマティックな判断の出来るモハメド・ビン・サルマン(MBS)皇太子は、米国の軍産業界に不均衡に依存する状態から脱したいのだ。
 
 イエメン戦争は膠着状態の所為で既に沈静化しつつあったのだが、米国はサウジへの輸出を差し止めれば熱い戦争を強制的に終わらせることが出来ると考えていた。サウジの戦略地政学的再調整は2017年にサルマン国王がモスクワを訪問したことで始まったが、MBSは米国の裏切りから教訓を学んでこれを加速すべきことを悟った。だが恐らく間にCOVID-19パンデミックとウクライナ紛争を挟んでそれどころではなくなってしまった為、この方面の取り組みが今になるまで遅れたのだ。

 更に、2023年に中国の仲介によってサウジとイランが和解したことは、サウジがロシア製兵器を買うことの安全保障上のジレンマを軽減する役割を果たした。ロシアはイランと緊密な関係を結んでいた為、イランを気にしてサウジに兵器を売らなかったかも知れないからだ。ロシアは2017年の約束に従って2019年にサウジに火炎放射器を納入したが、射程が限られているこれらと違って、イランに到達する能力を持つ長距離の超音速巡航ミサイルをサウジに提供することは全く別の話だ。

 ロシアがこれら最新鋭の攻撃兵器をサウジに輸出しても大丈夫だと思う様になったのは、サウジとイランの安全保障上のジレンマが過去1年間で緩和されたからだ。またサルマン国王の歴史的な訪問以来、5年以上に亘ってロシアとサウジとの間に信頼関係が築かれたことによって、地上配備型兵器システムの輸出についても話し合うことが可能になった。

 02/08には、サウジはロシアの火炎放射器や銃器の購入だけでなく、兵器の共同生産にも関心を持っていることが報じられた。



ロシアの軍事外交の基本姿勢

 ここから、ロシアの軍事外交政策の基本姿勢を読み取ることが出来る。常に分断統治を狙っている米国は対立する国や勢力が有れば一方の側に武器を輸出し、それにより紛争の軍事的エスカレーションや脅迫を煽る。対照的に、ロシアが武器を輸出するのは、紛争の政治的解決を促進する為にパワー・バランスを維持することを目的としている。

 だからこそ、ロシアはイランに武器を売った後でサウジにも武器を売ることに、何の良心の呵責も感じていない。これは両国の関係悪化ではなく、両国の関係強化に繋がると期待しているからだ。

 従ってロシアの軍事外交は、多極化へ向けたグローバルなシステム移行が進行するこの決定的な瞬間に於て、バランス取りを試みる全ての真面目なプレイヤー達にとって重要な意味を持つ。これは以前の(通常は西洋の)軍事パートナーへの依存を軽減することにも役立つ。ロシアと云う共通のパートナーを持つことで、ライヴァルとのパワー・バランスを維持することが可能になる。またロシアは、紛争が悪化したり再発したりした場合、信頼出来るパートナーとして紛争の調停を支援することが出来る(必ずしも実現するとは限らないが)。

 何れにせよ、ロシアの軍事外交に於けるサウジとイランの局面は、アルメニアとアゼルバイジャン、中国とインド、シリアとトルコ、そして中国とフィリピンの局面に続く最新のフロンティアだ。トルコ、フィリピン、サウジは伝統的に米国のパートナーだが、それらすらもバランス取りに於けるこの利点を認めて、ロシアの軍事外交を積極的に受け入れている。米国が偏りを齎した所に、ロシアがバランスを取り戻させているのだ。代替メディア・コミュニティの一部はそれらと対立するシリア、中国、イランを支持しているので彼等を嫌っているが、それでもこのプラグマティックな政策の地政学的知恵を高く評価すべきだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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