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フィンランドは対ロシア封じ込めの為の北極戦線を開きつつある(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。フィンランドはロシアとの間で移民危機を捏造することで、「バルト三国防衛線」や「軍事シェンゲン」に事実上参加しようとしている。
Finland Is Opening Up NATO’s Arctic Containment Front Against Russia




フィンランドが移民危機を捏造

 2024/02/07、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、フィンランドが国境問題についてロシアとの対話を避けていると述べた。またこの一環としてフィンランドは、ロシアが移民の流入を画策して自分達に対して「ハイブリッド作戦」を仕掛けていると主張している。

 この主張の背景には、ロシアからフィンランドへの亡命希望者はこれまで通常1日1人以下だったのに、11月全体で約900人にまで増加したと云う事実が有る。この為フィンランドはロシアとの国境を封鎖し、12/18には米国に15の基地へのアクセスを認める防衛協力協定に合意した。

 客観的に言えば、当時のフィンランドの不法移民「危機」は、昨年12月に30万人以上が流入した米国の危機に比べれば1/300に過ぎない。従ってフィンランドが過剰反応したことは、その背後に隠された動機が有ることを示唆している。

 またこの「危機」には、西洋と繋がっているがロシアを拠点としている人身売買業者が関与しているのではないかと云う疑惑が囁かれているが、この事実はその疑惑に信憑性を与えるものだ。
 
 だとしたらこれはロシアに対する挑発だ。それは何を目的としたものなのか。



フィンランドの目的

 11月の時点で、「フィンランドは自らを対ロシア最前線のNATO国家として位置付けようと躍起だ」と分析しておいたが、その後の展開は、この評価が正しかったことを裏付けている。
 
 12/20にはCNNの論説が、恰もロシアが中国と共謀して秘密裏に北極を軍事化しているかの様な印象を広めたが、これは12/18の米国との米軍基地協定を正当化する為の知覚管理作戦だったことは明らかだ。

 2024/01/16の報道では、ロシアはEUへの越境を目的として自国に入国して来る一部の移民の強制送還を開始した。少なくとも国内情勢に関しては主導権を取り戻した訳だ。

 その後国境の状況は改善したが、フィンランドは依然としてロシアとの対話を避けている。ロシア側は、フィンランドが国境を閉鎖し、国境を部分的に「仮設構造物」で囲ったのは、想定外の「危機」に対する一時凌ぎであると云う当初の主張を信用していない。

 駐フィンランド・ロシア大使のパベル・クズネツォフは02/07に、ロシア政府は対話の回避を「完全な関係断絶を目的としたもの」と考えていると語っているが、それはこうしたコンテクストが有ってのことだ。

 より大きな背景を指摘しておくと、それはNATOが6月まで欧州全土で"Steadfast Defender(不動の守護者)2024"軍事演習を行っていることに関係している。これは01/19にバルト三国の外相が、所謂「バルト三国防衛線」を構築する計画を発表したのと重なったが、これは新冷戦に於ける新たな「鉄のカーテン」の創設に相当する。
Baltic states defence line

 これらを踏まえるとフィンランドは、国境沿いの「仮設構造物」を恒久的な建物に変えることによって、事実上、欧州全域を単一の軍事空間に変える「軍事シェンゲン」に参加するであろうことが予想される。

 ポーランドがロシアとの戦争の脅威を煽ったり、フィンランドが国境危機を騒ぎ立てたりしているのは、こうした展開を正当化するのに役立つ。今欧州全体は、大祖国戦争開始前夜にナチスドイツが展開した様な大規模な対ロシア戦線(「ヨーロッパ要塞」)を形成している。実に不吉な展開だ。

 フィンランドが数十年に及ぶ軍事的中立政策を放棄したことを考えれば、北極圏は新たな競争の場として特に注意する必要が有る。ウクライナを使ったNATOの対ロシア代理戦争は漸く終息しつつあるが、NATOは寧ろそれによってロシアとの緊張を高め続けることが可能になり、ロシアに戦略的敗北を与えることに失敗したと云う事実から目を逸らすことが出来る様になった。



まとめ

 以上の点を纏めると、

 ・フィンランドは「移民危機」を捏造してロシアとの国境を閉鎖した。
 ・フィンランドは自国の領土への米軍のアクセスを許可した。
 ・「バルト三国防衛線」と「軍事シェンゲン」にフィンランドは恐らく事実上参加する。

 これら全ては、北極からバルト三国を経て中欧に至る新たな「鉄のカーテン」を築くことを目的としている。ウクライナ戦線が閉じるにつれ、北極戦線が開こうとしている。「EUに対するロシアの脅威」が大いに宣伝されるだろうが、それによって米国は欧州により強固に覇権を再確立することが出来る様になるだろう。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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