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ウクライナのモデルが「ミス日本」に輝いたことは、アジアに於けるリベラル・グローバリズムの広がりを示している(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/01/22にウクライナ生まれのハーフが「ミス日本」の栄冠に輝いたことは、歴史的に保守ナショナリスト的な日本にもリベラル・グローバリズムの圧力が押し寄せて来ていることを示している。

 誤解を受けそうな記事なので多少解説しておくが、これは単に「コリブコ氏は進歩的概念が嫌いな反動派なのだ」と云う矮小な話ではないし、一見「進歩的」に見える概念をそれ自体でどう評価すべきかと云う話とも関係が無い(個人的には私は寧ろ日本社会の閉鎖的な同質性志向に時々心底ウンザリしている側であって、もう少し風通しが良くならんものかと思っている人間だ)。それが現実の政治的、社会文化的なコンテクストに於て具体的にどの様に展開しているかが問題なのだ。CIAが何十年もの間牙を抜かれた「よろしくやって行ける左派」を支援して来たり、新自由主義勢力が昨今の「目覚めた(woke)」文化を支援して左派を乗っ取って来たことはこのブログでも何度か取り上げて来たが、その目的は社会の進歩や包摂性を高めることでは勿論なく、アイデンティティ政治だの何だの、比較的恵まれた条件に置かれた限られた人々だけが関心を持つ様なテーマを誇大広告することで、帝国主義や新自由主義や階級闘争の様な、より普遍的で根本的な問題から人々の目を逸らすことだ。その結果、本当の進歩主義と、進歩主義を偽装した帝国主義や新自由主義の区別が出来ない人が大量に生み出されてしまった。日本がウクライナ戦争(ウクライナを捨て駒にしたNATOによる対ロシア代理侵略戦争)に加害者サイドで加担し、「ウクライナ支援」の名の下に実際には米国の軍産複合体の無法な金儲けを手伝ってやっていると云う事実は、「ミス日本」と云う、一見極めて非政治的なイヴェントのコンテクストの中で無毒化され、不可視化されてしまう。その一見無害な外見こそが実は大問題なのだ。
 
 何度も指摘している様に、中国やロシアは自国の価値観やイデオロギーを他国に輸出したり、況してや押し付けたりしようとはしていないが、米国や西洋諸国はそれをやっている。これは白昼堂々行われていることなので、観察眼を持った人であれば見逃すことは有り得ない。移民や外国人やアイデンティティーについて個人的にどう云う考えを持っているにせよ、今起きていることは全てが「自然な成り行き」で非政治的・没政治的に起こっている訳ではないことは念頭に置いておくべきだろう。
A Ukrainian Model’s Crowning As “Miss Japan” Shows The Spread Of Liberal-Globalism In Asia




 アジア、特に日本は、保守ナショナリズムの砦と見做されているが、2024/01/22にウクライナ人モデルが「ミス日本」に選ばれたことは、リベラル・グローバリズムがそこにも広がっていることを示している。

 これらの用語はこの文脈では、アイデンティティに関する伝統的な概念と、所謂「進歩的な」概念の対比を意味しているが、悪意の有る誤解を避ける為に少し説明する。

 誰であろうと、合法的であれば何処にでも移住することが出来るし、その後市民権を獲得して、理想的には受入れ国の社会に統合して同化することも出来る。ウクライナ生まれの椎野カロリーナさん(26歳)は、母親が日本人男性と結婚した為、5歳の時から日本に住んでいる。彼女は流暢な日本語を話し、2022年に帰化した為、自分はウクライナ人ではなく日本人であると認識している。彼女自身の言葉では、

 「私は日本人として認められたかったんです。何しろ、私達は多様性の時代に生きています———多様性が必要とされているんです。私と同じ様に、見た目とのギャップに悩んでいる人は沢山居ます。私は日本人じゃないと言われ続けて来ましたが、私は絶対に日本人なので、自分を信じてミス日本に応募しました。こうして認めて貰えて本当に嬉しかったです。」

 だが彼女が日本人であると自認し、法的に日本人であると見做されているからと云って、彼女が社会からその様に認識されている訳ではない。BBCはそれが日本人のアイデンティティに関する議論を再燃させたと報じている。

 日本は歴史的に民族宗教的に同質的な国だが、近年の急激な人口減少を受けて国境を開放し始めており、現在外国生まれの居住者は全体の約2.5%を占めている。その殆どが中国人、ヴェトナム人、朝鮮人だ。

この統計は些細なことに見えるかも知れないが、「ミス日本」の審査員達がカロリーナさんを「全日本人女性の中で最も美しい」と宣言したことで、この緩やかな人口動態上の変化が白日の下に曝され、これが多くの日本人を怒らせることになった。彼等の観点からすると、真に日本人と見做される為に重要な前提条件は、市民権、言語、文化ではなく、祖先だ。従って彼等の心の中ではカロリーナさんは失格であり、彼女の勝利は全ての日本民族女性に対する侮辱であると考えられている。

 リベラル・グローバリスト達は、この保守ナショナリスト的な視点を「偏見に満ち、人種差別主義で、外国人排斥的だ」として非難している。だが社会には、自分達が望む様なアイデンティティーを持つ権利が有るし、それがどれ程主観的である様に見えたとしても、広く合意された基準に基付いて、他の人々に対してこれを認めたり認めなかったりする権利が有る。

 今回の「ミス日本」に関して言えば、政治的動機が疑われる。これは日本が米国を介して間接的にウクライナに防空システムを送ったばかりであり、また新たに移民を受け入れてもいることに関係している。

 前者に関しては今更な話なので省略するが、移民の問題については知らない読者の為に説明が必要だろう。2023/08/03にブルームバーグはこう報じている。

 「(日本では)外国人の数は前年比で11%増加し、総人口の2.4%、つまり300万人弱を占めた。………海外からの労働者の数が過去10年だけで2倍以上に増加したことは余り注目されていない。他方、より広範な外国人コミュニティ(学生や家族を含む)は50%増加した。人口予測に基付いて、50年後には外国人が国民の10%以上を占める様になる未来について、既に議論は移りつつある。」

 但し外国生まれの住人達もまた自分達の子供を持つだろうから、民族的に日本人でない日本人の割合は、50年以内には10%を遙かに超えることだろう。

 西洋のリベラル・グローバリスト(「進歩的」)エリート層と日本に於けるそのシンパ達は、この人口動態上の変化を促進する為に、この歴史的に保守ナショナリスト的(伝統的)社会の外国人に対する態度を作り変えたいと考えている。そしてその為に彼等は市民社会や常設官僚機構内部の同盟者達を活用している。

 カロリーナさんが「ミス日本」を戴冠したことは、恐らく民族的日本人にこの新たな傾向を強制的に受け入れさせることを目的とした、政治的な動機に基付く「ショック療法」の一形態であったと言える。

 祖先崇拝は日本文化の非常に重要な一部だ。ウクライナ生まれのカロリーナさんは民族的日本人ではないし、彼女の祖先達もまた日本と歴史的経験を共有している訳ではないので、これに加わることは出来ない。法的に日本国民であり、日本語を話し、その現代文化の上っ面に参加しているだけでは、殆どの日本人は彼女を日本人だとは見做さない。

 日本国内に300万人居る外国人やその子孫達にも同じことが当て嵌まる。だが彼等は国内外のリベラル・グローバリスト達から支援を受けているので、彼等の数が増え続けるにつれて時間が経つと共に、地元の態度を作り変える上でその数に不釣り合いに大きな影響力を持つ可能性が有る。その目的は伝統的なアイデンティティの概念を侵食し、最終的には公式の呼称変更やメディア・キャンペーンを通じて、民族的な繋がりよりも「進歩的な」概念を優先させることだ。

 このモデルは米国と西欧で既に導入されて成功しているモデルのコピペに過ぎない。リベラル・グローバリストの社会政治的エリート層が、歴史的に保守ナショナリスト的な大衆に対して、新しく定義されたアイデンティティを受け入れるように圧力を掛けるのだ。抵抗する人々も、「偏見に満ち、人種差別主義で、外国人排斥的だ」と非難されることを恐れて、この傾向を受け入れざるを得なくなる。

 これは例えば日本同様に極めて均質的な社会を持つポーランドでも起こっていることだ。ポーランドはそれでも数世紀に亘ってポーランド人、リトアニア人、ユダヤ人、プロテスタントのドイツ人、正教のベラルーシ人、ウクライナ人達が同じポーランド・リトアニア連邦の下で共存して来た歴史が有るが、日本の方では、中国、朝鮮、東南アジア諸国に対して征服事業を行っていた時期を除けば、歴史上これ程の多様性を経験したことは無い。従ってリベラル・グローバリスト達がこの問題を解決するのは非常に難しい。

 ウクライナ系日本人の「ミス日本」戴冠は、この歴史的に保守ナショナリスト的な社会に於て、アイデンティティの「進歩的な」概念を人為的に捏造しようとする計画の一環だった。必然的に、政治主導の別の「ショック療法」の事例が今後も続くことになるだろう。

 日本のエリート層は米国のリベラル・グローバリスト層のお陰を被っているので、平均的な日本人がこれに対して出来ることは大して無い。米国は軍事支援の継続と引き換えに、こうした「進歩的」概念の押し付けを強要することだろう。
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アメリカ白人至上主義の産物では?

 白人が美しく、アジア人は醜く、全ての日本のアジア人より白人が最も美しい。

 同じ白人でも、ロシア系白人、ヒスパニック系白人は、欧米白人並びに欧米が代理戦争させているウクライナの白人より醜い。

 国籍が日本人であれば、民族的に欧米が味方するウクライナの白人であっても、日本人の中で最も美しいことになる。

 日本にも、朝鮮由来、中国由来、ベトナム由来、インドネシア由来、ヒスパニック由来、ロシア由来、アラブ由来、アフリカ由来で日本国籍を持つ「日本人」が存在するが、これらの人々が日本人の中で一番美しいと評価されるだろうか?

 ベトナム由来の「日本人」がミス日本に選ばれるなら、私は惜しみない拍手を送るでしょう。けれどもそうではありません。

 また、私は自分を「人間」「Homo Sapiens」と認識しており、ミス~など、日本一、世界一、アメリカ一という発想自体、人類は全て平等に人間であり、優劣をつけるべきではないと考えて居ますので、ミス日本やミスアメリカという発想自体、根絶やしにすべきだと考えて居ます。

 他を抜きんでた知性を持つなら、その知性で他者を助けるべきですし、他よりハンディのある方は助けてあげるべきです。
「アメリカファースト」「東京都民ファースト」「日本偉い」「郷土愛」「愛国者」全て、結局はそれ以外の人を劣った存在と考え、ないがしろにして良いと考えるナチスの優勢思想以外の何物でもなく、ただの差別思想です。

 私はミス日本というイベントの完全な撤廃を主張します。誰かより優れていると言う発想は、「その人間より他が劣っている」と蔑む発想でしかありません。劣っていると烙印を押された人の悲しみや絶望を何だと思っているのかと思います。

 
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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