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ソマリア当局とアル=シャバーブは、エチオピアとソマリランドの港湾協定に関して利害が一致している(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2024/01/01に締結されたエチオピアとソマリランドの港湾協定に対して、ソマリア連邦政府とアル=シャバーブは共に反対している。ここから、エチオピアと云う共通の敵を得た両者が密かに裏で手を結んでエチオピアにテロ攻撃を仕掛けると云う可能性が生まれて来る。
The Somali Authorities & Al-Shabaab Are On The Same Side Against Ethiopia’s Somaliland Port



 2024/01/01に締結されたエチオピアとソマリランドの港湾協定に対して、ソマリア連邦政府(FGS)はこれを非難した。ソマリアはソマリランドは自国の領土だと主張しているので、エチオピアの行為はソマリアに対する主権侵害に該当すると云うのがその言い分だ。

 ソマリアを苦しめて来たアル=カイダ系のイスラム過激派テロ組織、アル=シャバーブもまた、ナショナリズム的なレトリックを用いて、「この(覚書)を巡って血が流れるだろう」と警告している。
 
 FGSとアル=シャバーブは宿敵同士であり、ソマリアのハッサン・シェイク・モハムド(HSM)大統領はこの協定を受けてアル=シャバーブが活動を再開するのではないかと恐怖を煽ってすらいる。だが協定に反対すると云う点に関しては、両者は奇しくも利害が一致することになった訳だ。

 この奇妙な利害の一致は、両者の間でその内不浄な同盟が結ばれるのではないかと云う疑念を起こさせる。

 2023/12/01、国連安保理は、ソマリアに対する30年に及ぶ武器禁輸措置を解除することを決定した。これによりFGSの対テロ能力が強化され、アル=シャバーブの打倒に役立つと期待してのことだ。

 だが今回の港湾協定を受けて、FGSは排除すべき脅威の優先度をアル=シャバーブからエチオピアへと切り替えた。ソマリアの一部の活動家達はソーシャルメディアでその様な主張を繰り返しているが、彼等にとって今のところ重要なのは、エチオピアがソマリランドの独立を(1991年以降事実上は独立しているのだが)認めたことによって、自分達のナショナリスト的な夢が潰えてしまうことなのだ。彼等はアル=シャバーブが同胞達を何千人も殺害して来たと云う事実を、最早気にしていない。それよりもエチオピアの方がソマリアにとっては脅威であると彼等は主張している。

 HSMは従って自らの権力を強化する為に、制裁解除により得られた武器を直ぐ様アル=シャバーブ討伐に振り向けるのではなく、作戦を延期して、彼等がエチオピアを攻撃することを密かに望むかも知れない。FGSがエチオピアについて恐怖を煽っていることは、その表れだと見ることも出来る。

 アル=シャバーブが国境を越えてエチオピアをテロ攻撃するのと引き換えに、FGSは紛争の平和的解決に向けたアル=シャバーブとの対話について前向きになるも知れない。実際、HSMは11/19に、こうした対話の可能性について「望ましい選択肢」だと語っているので、このシナリオは十分有り得る話だ。

 宿敵同士だったFGSとアル=シャバーブは、今やエチオピアと云う外部の敵を共有しており、更にそれがお互いよりも大きな、存亡に関わる脅威であると主張している。両者の間で不浄な同盟が結ばれる土台が存在しているのだ。

 だがHSMが実際にこうした可能性を追求するか、少なくとも完全に排除していないのであれば、その場合、リスクは利益を遙かに上回っているので、その路線は早急に捨て去った方が良い。アル=シャバーブとの間でそうしたファウスト的取引を行った場合、それは政権の信用と落とすだけでなく、そこから更に米国からの支持をも失う可能性が有る。アル=シャバーブの脅威が復活すれば、他の代理戦争で既に手一杯な米軍は撤退するかも知れない。

 HSM自身が、ソマリアにとって最大の脅威はアル=シャバーブではなくエチオピアだと煽っているので、エチオピアがソマリアからの国境を越えたテロ攻撃に対して対テロ攻撃を行った場合、彼はそれに軍事的に対応せよと云う大きな圧力に曝される可能性が有る。そしてソマリア国軍がエチオピア国防軍に対して攻撃を行った場合、それは結果的にソマリアがアル=シャバーブを守っていると云うことになるので、HSMが悪魔と取引したのだと云うことがバレてしまうかも知れない。

 最善のシナリオは、HSMがアル=シャバブと非公式な同盟関係を結んだりしないことだ。両者とも港湾協定に関しては利害が一致してはいるが、ソマリアはテロ組織を利用してやろうなどとは考えず、当初の予定通りにテロ討伐に集中するのが一番だ。

 エチオピアを封じ込めたいエジプトとエリトリアはESMを唆してソマリアとエチオピアを戦わせようとするかも知れないが、両国はソマリアを代理戦争の捨て駒にしたいだけなので、彼は何としてでも両国からの誘惑に屈してはならない。でなければ国家的災厄がソマリアに振り掛かることになる。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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