fc2ブログ

ワシントン・ポストがビビとハマスの長年のファウスト的取引を内部告発するのは何故か?(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/26、ワシントン・ポストは、知っている人は知っていたネタニヤフとハマスの共生関係について暴露する記事を掲載した。これは米民主党が遂にネタニヤフ排除のチャンスを得たことを示している。
Why’s WaPo Blowing The Whistle On Bibi’s Years-Long Faustian Bargain With Hamas?



ワシントン・ポストがビビとハマスの共生関係を暴露

 2023/11/26、ワシントン・ポスト(ワポ)は「ネタニヤフとハマスは互いに依存していた。双方とも終わりかも知れない」とする記事を掲載した。
Netanyahu and Hamas depended on each other. Both may be on the way out

 これはイスラエルの専門家の主張を引用して、ネタニヤフ(通常「ビビ」)とハマスが長年に亘ってファウスト的取引を行っており、それが2023/10/07のハマスによる奇襲攻撃の一因となったと示唆する暴露記事だ。

 西洋大手メディアに情報を依存していない人の中には既にこの結論に達していた人も居るが、西洋大手メディアがこの件を伝えたのはこれが初めてだ。そのお陰で、このテーマも最早「反ユダヤ主義の陰謀論」などと呼ばれたりせず一般的に議論することが可能になった。

 知っていた人は知っていた話ではあるが、ビビはパレスチナの大義を分断する為に平和的手段ではなく武力闘争によってパレスチナ独立の目標を追求するハマスを支援し、それによってイスラエルはパレスチナの独立交渉を拒否する為の「公的に尤もらしい」口実を手に入れること出来た。

 その証拠としてこの記事の専門家達が挙げているのは、イスラエル政府は「定期的に捕虜を釈放し、公務員の給与を支払う為にカタールに送金させ、インフラを整備し、批判者が言うことにはハマスの軍事作戦へ資金提供を行うことに同意した。」

 ハマスはその報酬としてガザを統治し続けることが出来たと云う訳で、このファウスト的取引は10年以上続いた。

 この間、ハマスが「全面戦争ではなくガザの建設に重点を置いた、より信頼出来る統治体に進化していると云う期待が高まった。この状況に利点が有ると考えたのはネタニヤフだけではなかった。イスラエルの穏健派は、より良い生活水準で安定したガザの傍らに未来を思い描く様になった。諸企業は、イスラエルがユダヤ国家とより強い関係を築こうとするアラブの近隣諸国との関係を改善することを歓迎した。」

 現状に満足していたイスラエル人は、この状況が長引いたことに油断して、ハマスがビビを裏切ることは無いと信じ込んでいた。この取引はハマスの利益にも適うからだ。従ってハマスが攻撃を行った時、彼等は本当にショックを受けた。

 ワポの記事は、世論がビビとハマス、両方に敵対していると主張しているが、これはつまりこのファウスト的取引を成り立たせている権力基盤そのものが危うくなっていることを意味する。



報道の背後には米民主党の思惑の変化

 ワポの様な西洋大手メディアが、イスラエルの指導者についてこれ程酷い報道を流したのは前例が無い。しかもこの話題は長年タブーとされて来たものだ。従ってこの記事は10/07以前のイスラエルとハマスとの関係について、一般の言説を一変させるマイルストーンだと言える。

 この衝撃報道を予測出来た者は殆ど居なかった。だがワポが米民主党と繋がりが深く、且つ民主党が3月にイスラエルで起きた反政府デモを支持したことを思い出せば、これは実際には或る程度は予測出来たことだ。当時バイデン政権はビビに対する圧力キャンペーンを倍増させ、ビビ政権に対してカラー革命を仕掛けようとしていたのだ。

 一般的な観察者は、常々イスラエルに対する絶対的支持を表明している米国がイスラエルを不安定化させるなどと云うシナリオを一蹴するかも知れない。だがこう思う人々は、バイデンのリベラル・グローバリスト政府と、ビビの保守ナショナリスト政府との間の緊張に気付いていない。

 つまり米民主党は、イデオロギー上の理由からビビ政権を軽蔑しており、また西洋の対ロシア制裁に従うことを拒否したイスラエルに罰を与えたいとも考えている(シリアでロシアとの連携を続けていることについては言うまでもない)。

 確かに、ビビの過去2回の任期の間を挟んだ暫定政権はリベラル・グローバリストだったが、対ロシア制裁にも従わなかったし、シリアでのロシアとの協力も縮小しなかった。だがバイデンは他の全ての問題に関しては、彼等は政治的にビビよりも遙かに信頼出来ると見做していた。民主党が彼等の政権復帰を望んでイスラエルにカラー革命を仕掛けたのはそれが理由だ。

 だが、彼等はビビの首を挿げ替えることを望んでいたのと同じ位、これまでは守られていた暗黙のレッドラインを超えてしまうと、(「中東唯一の民主主義国」と彼等が呼ぶ)イスラエル国家全体の信用を落とす危険が有ることを懸念していたので、彼等が踏み込むことには自ずと一定の制限が設けられていた。10/07以降も彼等がこのファウスト的取引の話題をタブーにし続けたのはこれが理由だ。リベラル・グローバリストの暫定政権もまた、ネタニヤフ政権と同じくハマス支援政策を継続していたからだ。



米民主党はビビの失脚を狙っている

 だが、ハマスの奇襲はネタニヤフの任期中に起こったので、こうした留保は最早考慮されなくなった。

 イスラエル人自身がハマス支援政策の誤りについて話し合っているので、民主党は最早この件をタブーにしておく理由は無くなったと思っている。この感情的な問題を知覚管理者が兵器化すれば、ネタニヤフに対する反感を煽る材料として使えるからだ。

 ビビはリベラル・グローバリスト暫定政府よりも長期間政権を握って来たと云うことは、平均的な有権者は、この政策についてビビの方を非難する可能性が高いと云うことだ。恐らく次の選挙で、彼に対する罰が下されることだろう。

 ワポの報道はその可能性を最大限高めるのが狙いだ(民主党からの働き掛けが暗黙のものか直接的なものかに関わらず)。このスキャンダルの責任をビビ個人に押し付けることに成功すれば、彼の政治家としてのキャリアに終止符を打ち、保守ナショナリスト政権を排除出来るかも知れない。その為にならイスラエル国家自体の信用を傷付けるリスクも冒す価値が有ると、民主党は判断したのだ。
 
 何れにせよ、このタブーは維持されるよりも破られる方が良かったとは言えるだろう。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

ブログランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ PVアクセスランキング にほんブログ村 人気ブログランキング
良ければクリックをお願いします。
最新記事
カテゴリ
リンク
最新コメント
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR