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ポーランドの事実上のウクライナ封鎖は、退陣する政府の最後のパワープレイだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/15のポーランドの総選挙以降、ポーランドは事実上、ウクライナ国境を封鎖している。これは退陣を控えた与党政府が、ポーランドをドイツの属国にしようと考えているトゥスクに政権を引き継ぐ前に、ウクライナに対するポーランドの勢力圏を回復しようとしているからだ。
Poland’s De Facto Blockade Of Ukraine Is Its Outgoing Government’s Last Power Play



ポーランドがウクライナ国境を事実上封鎖

 2023/10/15のポーランドの総選挙ではリベラル・グローバリストの野党連合が勝利したが、その結果トゥスク元首相が首相に返り咲く可能性が高い。そしてその場合、ポーランドはドイツの属国になるだろう。

 この運命の投票以来、ポーランドのトラック運転手や農民達は、ウクライナに対して事実上の封鎖を課しているが、退陣する与党政府はまだこれを破っていない。これは、主権の一部を維持する為に自国に戦う機会を与える為の、与党の最後のパワープレイだと考えることが出来る。

 西洋のメディアはこの展開について大きくは取り上げていないので、これまでの流れを纏めておこう(タイトルは日本語に直したが、リンク先は英文)。

 EU国(ポーランド)がウクライナ車両を阻止———シュピーゲル
 ウクライナ特使がポーランドのトラック運転手達の封鎖を非難
 キエフへの援助を阻止するEU諸国の抗議者達———ウクライナ当局
 ポーランドの農民達がウクライナ封鎖に参加———ブルームバーグ
 ウクライナ人が食糧不足について警告
 ウクライナはポーランド国境封鎖のコストを計算中
 ポーランドのトラック運転手達がウクライナ軍の貨物を阻止———メディア




退陣する与党の思惑

 このシナリオは10/02の時点で予測していた。この時はポーランドは、若し与党が勝利すれば、ポーランドの勢力圏を狙っているドイツから一定の距離を置く為に、ウクライナに対して事実上の封鎖を課すかも知れないと予測していた。これはドイツからウクライナへの軍事・経済援助の輸送を断ち切るのが目的だ。これは1938年にポーランドがリトアニアに送った最後通牒の現代版だが、今回はウクライナが同意しない場合でも武力による威嚇は含まれない。だが封鎖の脅しだけでも、キエフをポーランドの命令に従わせるには十分だろう。

 予測通り、ポーランドは実際、ウクライナに対して事実上の封鎖を行った訳だ。だが与党とその同盟者候補達は、選挙で過半数の議席は獲得出来なかった。与党がトラック運転手と農民達による封鎖を解除することを拒否したことは、彼等がそれを暗黙の内に承認していることを示唆している。そもそも彼等がこれを仕組んだのだと後になって判明したとしても驚きではない。

 退陣する与党政府の視点から見ると、トゥスクが次期首相を務める期間中、ポーランドの勢力圏を書き換えようとするドイツの攻勢を前にして、自国の主権を守る為に戦うチャンスを得るには、ウクライナに対するポーランドの勢力圏を回復することが必要なのだ。ポーランドはドイツの属国になる可能性が高いが、この地政学的逆転がこれを食い止めてくれるかも知れない。

 ポーランドにとって最悪のシナリオは、ポーランドがドイツの史上最大の属国となり、ベルリンが構想する「中央ヨーロッパ(Mitteleuropa)」に於て、ウクライナに次ぐ二番手の役割を果たすことだ。この場合、ベルリンはワルシャワよりもキエフを優遇する危険性が有る。

 具体的には、これはポーランドにより多くのウクライナ移民を受け入れさせる、と云う形を取る。そしてその移民は正式にポーランド市民となり、独自の投票圏を構成することになる。この所謂「大量移民兵器」が国境地帯で集中的に使用された場合、ポーランドの領土一体性が脅かされるかも知れない。

 従って、可能な限りあらゆる現実的な手段を講じて、この最悪のシナリオを回避することが不可欠だ。だからこそ、退陣を控えたポーランド与党政府は、ウクライナに対する事実上の封鎖を黙認しているのだ。

 この夏にドイツに取って代わられたばかりのウクライナに対する勢力圏をポーランドが回復出来れば、ポーランドの領土一体性もより自信を持って守ることが出来る様になる。政府はその為に、退陣する前に何等かの法的形式によってそれを制度化しようとしている。

 トゥスクはポーランドをドイツの覇権に従属させることを考えている様だが、そうなると官僚機構の本格的な粛清が必要になり、特に軍、諜報機関、外交部門(総称して「ディープ・ステート」)から全ての保守ナショナリストを排除しなければならない。これは難題なので、完全に実行することは難しいだろう。またこうした動きは、(今回の事実上の封鎖を画策したかも知れない勢力によって?)大規模な抗議活動や社会経済的混乱を引き起こす可能性も有る。

 米国でリベラル・グローバリストの「ディープ・ステート(DS)」がトランプ大統領の政策に反対した様に、ポーランドの保守ナショナリスト達も、トゥスクを妨害する為に反対するかも知れない。だが、DSがトランプの政策を完全には阻止出来なかったのと同様、彼等もまたポーランドがドイツの属国になる動きを完全に阻止することがは出来ないだろう。但し次の選挙までの時間を稼ぐことは出来るかも知れず、状況を考えれば、彼等にとってはそれで十分だ。

 与党がトゥスクに政権を引き渡す前に、失ったウクライナへの勢力圏を回復しておかなければ、最悪の場合、ポーランドの領土一体性に対する差し迫った脅威が、次の選挙までには既成事実となってしまうかも知れない。従ってウクライナ国境の事実上の封鎖は、退陣する政府の最後のパワープレイではあるが、これはポーランドにとって今後数年間、領土の一体性を守る為の最後の現実的なチャンスでもある。
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川流桃桜

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