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リトアニアのエリート層はロシアに関してイデオローグとプラグマティストに分裂している(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。外相がロシアについて恐怖を煽った後。2023/11/23にリトアニア大統領はこの暴走を嗜めた。リトアニアがロシア嫌いで知られていることを考えると、この国のエリート層はロシアに関してイデオローグとプラグマティストに分裂していると考えられる。そしてそれは西洋全体が同様に分裂していることを示唆している。
The Lithuanian Elite Is Splitting Into Ideologues & Pragmatists On Russia



 リトアニアは地球上で最もロシア嫌いな国のひとつとして知られている。なのでそのガブリエリウス・ランズベルギス外相が、ウクライナがロシアとの和平合意を求めざるを得なくなった場合、ロシアはNATOへの攻撃を開始するだろうと恐怖を煽ったことを受けて、2023/11/23にヒタナス・ナウセダ大統領が、「着席して落ち着く」よう彼を叱責したことは非常に驚くべき展開だった。

 様々な兆候から判る様に、ウクライナを使ったNATOの対ロシア代理戦争は終息しつつある様だし、11/24のブルームバーグの記事では、西洋は紛争凍結が最早避けられないことを漸く悟って、ウクライナに和平交渉再開に向けて圧力を掛け始めたと報じられている。

 問題は、西洋のエリート層の一部が、10年近く続くこの紛争の最新局面に於て寧ろ過激化し、和平を阻止しようとしていることだ。

 ランズベルギスの様な者は、正式な和平どころか、停戦さえも容認出来ない。それは計算に基付く判断ではなく、単にロシア嫌悪的世界観に基付くイデオロギー的な理由によるものだ。彼等の心の中では、ロシアを信用するのは愚か者だけであって、ロシアは常に近隣諸国を侵略しようと狙っており、帝国主義的な野望を決して手放さない。だからキエフが和平交渉を再開することは、ロシアにとっては旧冷戦後前例の無かった勝利を収めることに等しいのだ。

 他方、今日のリトアニアと西洋の大半のエリート層全体は疑いも無くロシア嫌いだが、それでも西洋には、ロシアとの「兵站競争/消耗戦」に惨敗した上は妥協しなければならないと認めている、比較的プラグマティックな派閥もまだ存在する。彼等にとっては、ウクライナへの軍事援助(ペース、規模、範囲)を維持することが困難になっている以上、紛争を凍結することは、ロシアに突破口を開かれることに比べたら「まだマシ」な選択肢なのだ。

 ロシアが接触線を突破して猛進した場合、米国がパニクってNATOの(恐らくポーランド主導の)通常型介入を承認する可能性は十分有る。NATOとロシアが直接対決するとなれば、計算違いによって第3次世界大戦が引き起こされるリスクは劇的に高まることになる。

 従ってそうしたシナリオを恐れないのは、ランズベルギスの様な救い難い程過激化したイデオローグだけだ。彼等の様な連中は、ロシアは極めて弱く、NATOが直接軍事的圧力を掛ければ確実に撤退するか、或いはNATOによって簡単に撃退されてしまうだろうと(誤って)確信している。

 だがこうしたロシア嫌いの世界観は、西洋エリート層の最も影響力の有るメンバーには共有されていない(どの位の割合かは不明だが)。度々の懇願にも関わらず、NATOが今だに直接介入していない事実はこのことを裏付けている。

 彼等の中の比較的プラグマティックな派閥は、これまでこの件についてより現実的な見解を公に表明することを躊躇って来た(実際の政策はそれに基付いて決定されていたにも関わらず)。それはそうすることでイデオロギー上のライヴァル達から「ロシアの工作員」「敗北主義者」「宥和主義者」などと中傷されて「キャンセル」されることを恐れていたからだ。そうなれば彼等の政治的キャリアはお終いだ。

 だが、誇大広告されバカ高くついたキエフの反攻が失敗したことで流れは変わった。今では「面子を保つ」為に紛争からの出口戦略について話すことは、最早タブーではなくなった。実際、公衆の過度な期待を直ぐにでも萎ませないことには、エリート層全体の信用が失墜することになる。彼等は最早「ロシアに対する完全勝利」など到底不可能であることを知っているが、公衆の現実離れした期待を膨らませた儘代理戦争を凍結してしまえば、過激化した大衆から売国奴だと罵られることになる。

 ランズベルギスの様なイデオローグはそれに気付いていない。現状でロシア嫌いの世界観を推進したところで逆効果になるだけだ。

 リトアニア大統領には恐怖心を煽った外相を嗜める以外の選択肢が無かったのはそうした理由からだ。リトアニアがロシア嫌いで知られていることを考えると、今回の件は西洋の全ての国々の状態を示唆する力強い事例だと言える。リトアニアのエリート層がロシアに関してイデオローグとプラグマティストとに分裂しているとしたら、西洋全体も同様に分裂していると考えるのが道理だろう。紛争が沈静化を続けるにつれて、その傾向は更に加速すると予想される。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
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