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米国植民地支配下のプエルトリコで貧困が拡大:子供の57.6%が貧しい家庭で暮らしている(抄訳と補足)

ベン・ノートン氏の2023/09/26の記事の抄訳と補足。米国の植民地のひとつであるプエルトリコの貧困と土地の収奪についての解説。
LATIN AMERICAPoverty is growing in Puerto Rico, under US colonialism: 57.6% of children live in poor households




 米国について比較的殆ど知られていない事実のひとつに、「アメリカ合衆国は複数の植民地を所有している」と云うものが有る。正確には「植民地」ではなく「領土(Territories/日本語では「海外領土」と訳される)」なのだが、これは20世紀に「植民地」を「領土」と呼び換える慣行が普及した結果であって、中身は一緒だ。形式的には「米国は複数の海外領土を持っている」と云うことになるが、実質的には「米国は複数の植民地を持っている」と言っても差し支え無い。

 これらの植民地には色々な区分が有るが、植民地の常として、これらはどれも主権を持っていない。住民達はアメリカ合衆国大統領の命令に従う義務は負っているが、大統領選に投票する権利は持っていないし、国会に自分達の代表を送り込むことも許されていない。この点に関して言えば米国は民主主義の国どころか、正に反民主主義の国に他ならないのであって、他国に対して民主主義がどーたらと御高説を垂れられる様な御身分ではない。

 米国に限らず帝国主義システムと云うのはその搾取されている周辺部分に人々の注意が向かないようにすることでその実態を覆い隠すのが常だが、こうした知覚管理は特に帝国主義システムの中核部分に住んでいる人々が引っ掛かり易い。彼等に対して恒常的に吹き込まれる「民主主義」だの「人権」だのと云った美辞麗句は、彼等の自尊心を肥大させることで自分達を帝国と同一化させ、自分達以外の者達への関心を薄めてその視野を狭め、周辺部分の実態に関心が向かない様にするのに役立っている。

 曾ての植民地の中にはフィリピンの様に名目上の独立は果たしたものの、実質的には傀儡政権を通じてその後も長らく米国の属国として機能し続ける所も有るし、ハワイの様に暴力的な征服の後に米国州の地位を与えられはしたものの、住民達は資源や産業や土地を奪われ、人類史上最大の軍事基地ネットワークが太平洋の向こう側まで影響力を行使する為の拠点として利用されている所も有る。

 21世紀の今も米国に植民地支配されている場所のひとつがカリブ諸島の東端近くに位置するプエルトリコだ。世界最古の植民地のひとつであるここの住民達は、先に述べた様に米国が自慢する「民主主義」とやらに参加する権利は与えられていないが、自称民主主義国による非民主主義的な支配を受けて住民達はその暮らしに満足しているかと云うと、全くそうではない。

 プエルトリコが貧しい場所であることは昔からよく知られているが、住民達を苦しめる貧困問題は、米国の植民地支配下に於て、時間の経過と共に改善されるどころか悪化している。

 米国勢調査局のデータに拠ると、米国の「領土」=植民地の貧困率は40.5%から、2022年には41.7%に増加した。

 プエルトリコの子供達の57.6%が貧困の中で暮らしている。そして38.8%の家族が貧困線以下で暮らしている。

 失業率は13.1%から2022年には9.9%にまで低下したのに、貧困は悪化している。プエルトリコ人は(一部の新自由主義者の主張の様に)「働かないから」貧しくなっている訳ではないのだ。

 しかもこのデータは非常に控え目である可能性が有る。プエルトリコの反貧困活動家達は公式統計を批判し、植民地化された国の苦境を軽視していると主張している。

 イェール大学のジェノサイド研究プログラムは、「プエルトリコは世界で最も古い植民地のひとつであり、1508年以来何等かの形で、軍事占領または保護国の地位に置かれて来た」と述べている。

 米国は1898年の戦争でそれまでの支配者であったスペインからプエルトリコをを接収した。

 米国政府は、米国の「領土」であることでプエルトリコ人は豊かになっていると主張しているが、米国の植民地になってから1世紀以上が経っているのに、公式統計に拠ると、プエルトリコ人と米国平均との間には3〜4倍の格差が存在する。

 ・プエルトリコ
  貧困率:41.7%
  一人当たり収入:14,047ドル
  世帯での収入の中央値:21,967ドル

 ・米国の平均
  貧困率:11.5%
  一人当たり収入:37,638ドル
  世帯での収入の中央値:69,021ドル

 米国の最も裕福な州ではこの格差は4倍以上になり、最も貧しい州であっても、2倍以上の格差が開いている。

 消費者物価はここ2年で上昇しているので家庭の購買力は更に損なわれている。

 一方、米国連邦政府はプエルトリコをタックス・ヘイヴン(租税回避地)にすることで、大量立ち退きと国外移住を促進している。

 右派のリバタリアンや大企業のオリガルヒ達は嬉々として「プエルトリコに移住しよう!」と宣言しているが、それはプエルトリコの民族、文化、歴史を気に掛けているからではなく、単にそこに移住すると、米国国民であっても連邦所得税やキャピタルゲイン税を支払う必要が無くなるからだ。
 
 この政策はプエルトリコの高級化現象を引き起こし、北米の富裕層が地元のプエルトリコ住民を追い出すよう奨励する結果になった。富める者達が更に富を蓄える為に、貧しい者達は土地や家を奪われている。

 これはまた不動産投機の横行にも拍車を掛けた。 住宅価格の高騰は生活費危機を悪化させ、多くの先住民ボリクア族が、何世代にも亘って家族が住んで来た家から追い出された。
Are Puerto Ricans being pushed out?

They're occupying land and buildings to fight gentrification

Rich people are moving to Puerto Rico and some Puerto Ricans are not happy about it




*関連スレッドとして以下も参照のこと。
 マウイ火災の謎
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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