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ウクライナが少数民族のロシア人について語らないのと同様、西洋は自らの少数民族について語らない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/09と11/20、キエフ当局はウクライナ国内にロシア人少数派など存在せず、その権利は侵害されるべきだと主張した。西洋の基準に従えばこうした迫害は容認出来ない人権侵害の筈だが、西洋は見て見ぬフリをしている。
The West Would Never Talk About Its Minorities The Way That Ukraine Talks About Its Russian One



キエフは「ロシア人の少数民族など存在しない」と主張

 2023/11/09、キエフの欧州統合担当副首相オルガ・ステファニシナは、ウクライナにはロシア人の少数民族は存在しないので、欧州委員会はウクライナに於ける人種差別について苦情を申し立てることは出来ないと主張した。

 「ウクライナにはロシア人の少数民族など居ません。実在しないんです。自分達をロシア人の少数民族だと見做している、法的に定義されたコミュニティはひとつも存在しません。」

 更に11/20、ウクライナ議会のルスラン・ステファンチュク議長は、ウクライナは国内のロシア人を少数民族として認めたり、それに相当する権利を与えるつもりは無いと述べ、この問題についてEUと「完全な理解に達した」と強調した。
 
 「現時点でウクライナにはロシア人の少数民族は存在しません。存在する筈が有りません。………若し人々がウクライナに対して敬意を示さず、侵略行為を行った場合、この分野での彼等の権利は侵害されるべきです。」(*この発言の後半部分は、ウクライナにロシア人は実在しているが、政治的な理由でその権利を認めないことを言外に語っている。)

 これらの差別的な声明は、少数民族の権利を大切にする西洋の人々の眉を顰めさせる筈だったのだが、残念ながら西洋では注目されなかった。若し西洋のどれかの国が自国の少数民族について同じことを言った場合、その国は西洋からは受け入れられないと見做されたことだろう。

 このふたつの声明は、欧州委員会がウクライナにEU加盟交渉を開始するよう勧告したことを受けたものだったが、キエフはどちらの場合も、EUは自分達を支持していると主張し、実際EUは、彼等のロシア人差別発言を非難しなかった。



西洋の偽善的な二重基準

 だが、ウクライナにロシア人の少数民族が存在しないとする彼等の主張は、事実に反している。CIAワールド・ファクトブックによる他ならぬ米国政府の公式統計は、ウクライナ人口の17.3%がロシア人で構成されていると報告している。

 米国人口に於ける黒人/アフリカ系アメリカ人の割合は12.1%ヒスパニックは19%なので、キエフが国内のロシア人の存在を否定することは、ワシントンがこれらの少数民族の存在を否定するのと同じ様な暴挙だ。
 
 このロシア人差別には、ウクライナの「脱ロシア化」と「ウクライナ化」政策が進められて来たことが背景に在る。それらが正にその目的の為の行政的諸条件を作り出した。

 「マイダン・クーデター」後のウクライナが少数民族のロシア人に対して行った様な、民族、言語、宗教に対する攻撃的な迫害に対して人々が抗議するのは理解出来ることだ。そしてこれに抗議して平和的なデモを行うことは、国連が定めた権利の範囲内だ。

 だが西洋の主張する「ルールに基付く国際秩序」とやらの下では、国際法が適用されるのは、西洋の政策立案者達が何等かの戦略的利益を得られると期待した場合だけだ。そうでない場合は国際法で定められた諸原則や諸権利は恣意的に無視されることになる。

 この場合、西洋全般、特にEUは、ウクライナによるロシア人少数派への迫害に対して、見て見ぬフリをしている。キエフは国内のロシア人からその法的存在を否定して行政的に抹消し、ロシアに対する代理戦争の一環として、この政策を正当化した。この種の迫害は西洋に対して行われた場合には容認出来ないと見做されるだろうが、相手がロシア人であり、対ロシア戦争に利用出来るなら、黙殺して構わないのだ。

 この洞察は、西洋のリベラル・グローバリスト・エリートが新冷戦圏の戦略的利益に先立って、国内外でアイデンティティ政治を兵器化していることを示している。その目的は権力追求のみであり、国内外の対立者を蹴落とすことだ。

 ウクライナのロシア人少数派が米国のアフリカ系アメリカ人やヒスパニック系アメリカ人よりも遙かに酷い扱いを受けていることは否定し様の無い事実だが、米国は、ロシア人が権利を侵害されても当然だと云うキエフ当局の見解に同意し、口を噤んでいる。
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川流桃桜

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