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何故アラブ諸国はガザへの平和維持軍派遣に消極的なのか?(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/18のヨルダン外相の声明から判る通り、アラブ諸国はガザに平和維持軍を送ることには消極的だ。仮に平和維持軍の派遣が実現したとしても、トラブルを引き起こさない為には外交的な工夫が必要になる。
Why Are Arab Countries Reluctant To Send Peacekeepers To Gaza?



アラブ諸国はガザに進軍したくない

 2023/11/18、ヨルダンのアイマン・サファディ外相は、アラブ諸国はガザの地に足を踏み入れるつもりは無いと述べた。

 「しっかりはっきりさせておきましょう。私はヨルダンを代表して話している訳ですが、この問題については多くの人々、我々の同胞の略全てと議論して来ました。ガザに向かうアラブ軍は存在しません。皆無です。我々は敵と見做されるつもりは有りません。」

 ここから明らかになることは、

 1)アラブ諸国はこのシナリオについて議論したが、ガザには進軍しないことで各国は同意した。

 2)アラブ諸国は、ガザに進軍すれば自分達が「敵と見做される」ことになると考えている。

 そこから、次の2つの可能性が考えられる。

 1)彼等は自分達がパレスチナ人から占領者と見做されるであろうと本気で思っている。

 2)彼等には何か明らかにしたくない、隠された動機が有る。

 1)については、アラブ諸国の軍が親イスラエルの西洋のメンバーを含む国連平和維持軍の一部として派遣された場合、彼等は確かにパレスチナ人から占領者と見做される可能性が有る。平和維持軍が(アフリカでやっている様に)地元住民を虐待したり、イスラエルに対して無防備にする為に強制的な武装解除を行ったりした場合には特にそうだ。

 2)に関しては、アラブ諸国は、(仮令ガザから要求された場合であっても)完全にアラブ人だけの平和維持軍を派遣することを拒否するかも知れない。この問題に関してアラブ諸国が最も責任を負うことになるのはこのシナリオだ。どの当局がガザ人の名に於て、イスラエルによる謂れの無い攻撃からガザ人を守る為に平和維持軍の創設を要請しようとしても、それらの利害関係者達は、潜在的なコストが利益に見合わないと踏んで、軍の派遣を拒否するかも知れない。

 結局のところ、イスラエルが対テロ作戦の名目で彼等の軍を一度攻撃するだけで、別の危機が引き起こされることになるのだ。

 実際、地域平和維持軍がガザに派遣された時にハマスのスリーパーセルが目を覚まし、自分達の利益の為に正に別の危機を引き起こす目的で、イスラエルを挑発する可能性すら有る。アラブ諸国の中には、テロ組織に認定されているムスリム同胞団との繋がりから、ハマスを信頼出来ないと考えている国も有るが、彼等は当然のことながらこのリスクを負いたがらない。



有り得る別の解決策

 但し、現在ロシアトルコとの間で行われているイスラエルとパレスチナの「安全保障」に関する議論は、より多くの利害関係者達が参加すれば、創造的な外交・軍事的解決策に繋がるかも知れない。これの結果によっては、彼等の考えも変わるかも知れない。

 従って、一部のアラブ諸国がパレスチナの安全確保に同意する可能性は排除出来ない。その為にイスラエルの攻撃を阻止する目的で平和維持軍を派遣することは有り得るシナリオだ。

 但しその場合、これらの軍隊は非常に慎重に行動し、イスラエルとの緊密な連携を維持する必要が有るだろう。ハマスのスリーパーセルが目覚めて偽旗攻撃によって大混乱を引き起こすシナリオを回避する為だ。

 このプラグマティックな理由でイスラエルと連携した場合、それ見たことかとアラブ軍は「占領者」であり、従って「正当な標的」である証拠だと主張されるかも知れない。その場合、アラブ軍は望まぬながらハマスとその同盟者に対する戦いに巻き込まれることになる。

 だが現実問題として、領土内に同盟軍が駐留する等、何等かの信頼出来る安全保障が無ければ、ガザがイスラエルの攻撃に対して自衛出来る可能性を考えることは非常に難しい。

 これは、イスラエルによるガザ再占領は最早既成事実ではあるが、次に何が起こるかについては誰も合意出来ないと云うジレンマに繋がる。従ってこの再占領は(それはイスラエルが本当に望んでいることではないかも知れないが)惰性によって無期限に続く可能性が有る。

 この行き詰まりを打開する可能性の有る方法のひとつは、ハマスの同盟者であるムスリム同胞団と連携しているトルコのエルドアンが、カタールや国連に認められたリビア政府等、志を同じくするアラブ同盟国と共に、この平和維持ミッションを主導することだ。

 トルコはオスマン帝国時代にガザを支配していたし、カタールとリビアはハマスと略同じ世界観を共有する人物によって率いられている。

 これでもまだリスクは有るものの、イスラエルと同盟しているヨルダンの様なアラブ諸国や、イスラエルと密接な関係を結んでいるサウジの様な国がこの点で主導権を握るよりも、成功の可能性は高い。ハマスと連携する組織であれば、偽旗作戦の標的にされることは無いだろう。

 パレスチナが独立する為には、何等かの形でこのジレンマを解決しなければならない。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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