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経済協力機構は台頭する世界秩序の極となるかも知れない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアの特別軍事作戦は多極化プロセスを前例の無い程加速させたが、経済協力機構には中間回廊と南北輸送回廊と云うふたつのメガ・プロジェクトの調整役としての役割を期待出来る。有望な解決策は、ECOとBRICSの間で調整を図ることだ。
The Economic Cooperation Organization Could Become A Pole In The Emerging World Order
Economic Cooperation Organization



経済協力機構

 多極化へ向けたグローバルなシステム移行は以前から始まっていたが、ロシアの特別軍事作戦によって前例の無い程まで加速されることになり、その結果新たな経済中枢が幾つも出現している。

 経済協力機構(Economic Cooperation Organization/ECO)はそうした役割を果たす準備が出来ている組織のひとつだ(*名前が似ているが経済協力開発機構/OECDのことではない)。

 2023/11/09、その最新の年次サミットがウズベキスタンの首都タシケントで開催されたが、出席した首脳全員が、相互の緊密な経済協力を開拓する方法について話し合う光景がが見られた。

 このメンバーは以下の通りだ。

 ・アフガニスタン
 ・アゼルバイジャン
 ・イラン
 ・カザフスタン
 ・キルギス
 ・パキスタン
 ・タジキスタン
 ・トルコ
 ・トルクメニスタン
 ・ウズベキスタン

 この野心的な計画が成功した場合には考慮すべき地経学的勢力となるだろう。現時点ではそのポテンシャルが完全に発揮されるには程遠いが、中国-トルコ間を結ぶ中間回廊(MC)と、ロシア-インド間を結ぶ南北輸送回廊(NSTC)と云うふたつのメガ・プロジェクトを通じて、徐々に進展が見られている。



中間回廊(MC)

 中間回廊(MC)のルートは次の様なものだ:中国→中央アジアを横断→カスピ海を渡る→アゼルバイジャン→ジョージア→トルコに到達。


 アゼルとアルメニアの間に建設される予定のザンゲズル回廊は、アゼルとトルコ、更には中央アジア諸国の貿易を促進することが期待される。


 但し西洋に傾いているアルメニアが妨害した場合、新たに発表されたイラン北部を通るルートが、ザンゲズル回廊の代わりを果たすことになる。



南北輸送回廊(NSTC)

 南北輸送回廊(NSTC)はイランを経由してインドとロシアを結ぶルートだが、これはアゼル、カスピ海、トルクメニスタン-カザフスタンに跨る3つの副回廊で構成されている。更にイラン経由でインドと内陸の中央アジア諸国を結ぶ支線も有る。
International North-South Transport Corridorandothersmap



メガ・プロジェクト間の調整は相互にとって利益となる

 これらふたつもまた、ロシアの特別軍事作戦開始以来多くの進展を遂げている。これらは南コーカサス、カスピ海、中央アジアで交差しているにも関わらず、中国・トルコも、ロシア・インドも、ECOメンバー諸国も、その建設について調整作業を行っていない。だがECOについては状況は変わるかも知れない。

 中国とインド、そして(より程度は低いが)ロシアとトルコは対立関係に在る。従ってこれらの大国が調整役を買って出ることを期待するのは非現実的だ。従ってその役割はECOのメンバーの肩に掛かっている。

 これらのメガ・プロジェクトは、一部の人が考えている様に競合しているのではなく、実際には相互に補完し合っている。それらは異なる国々、市場、関連する機会に関係しているからだ。

 更に、ロシア、インド、中国(BRICSの中核であるRIC)の3つの非ECOの投資諸国が、 南コーカサス、カスピ海、中央アジアの3つの共有空間に於ける権益を増大させることは、関係する通過諸国の利益に役立つことになる。

 中核諸国の対立、特に中国とインドの対立は、関係諸国が全員の利益の最適化を目指してMCとNSTCへの投資をより効果的に調整出来れば、より適切に管理出来るかも知れない。

 両国の緊張関係が弱まらない場合でも、最善のシナリオでは、それがその地域の他の諸国に波及する事態は避けられるかも知れない。

 但しその為には、ECOはこれら全てを管理する為の、適切な構造を構築しなければならない。その為の政治的意志は有る様には見えるが、現状では大したことは行われていない。



有望な解決策はECOとBRICSとの調整

 考えられる解決策のひとつは、ECOとBRICSが両国の間で何等かの作業メカニズムを考案することだ。その方が、ECOがRIC3ヵ国とそれぞれ二国間関係を結ぶよりも、遙かに実現可能な選択肢だ。ロシアと中国が相手であれば二国間関係も可能だが、インドに関してはパキスタンがECOに加盟しているので無理だ。

 また個別に二国間枠組みを進めてしまうと、MCとNSTCが互いに競合していると云う見方を強化してしまうかも知れない。従ってECOとBRICS全体との間で調整を行う方が好ましい。

 イランがBRICSに参加したことで、イランがこの点で主導権を握る可能性も考えられる。その場合、それはイランのECO内での地位を高めることになるだろう。

 誰が、何時、どの様に最初の行動を起こすかはまだ分からないが、何等かの進展が起こることは間違い無い。

 ECO諸国が総合的にどれだけ手付かずのポテンシャルを秘めているか、またこれらがBRICSのRIC中核諸国と地形学的に補完し合う関係に在ることを考えると、これがまだ実現していないことの方が驚きだ。だがそれは従来の一極世界秩序の影響がそれだけ大きかったと云うだけの話だ。ロシアの特別軍事作戦が契機となった多極化プロセスの結果としてこの一極覇権秩序が前例の無い程弱体化して初めて、ECOもBRICSも、お互いもっと真剣に注意を払い始めたのだ。

 イランはECO、BRICS双方に加盟しているので、両者を正式に接近させる架け橋となることが出来る。そうなればECOはやがて台頭する世界秩序の中で独自の極となるかも知れない。

 そこに至るまでの道のりはまだ長く、先ずは組織内部の幾つかの相違点を解決しなければならない(特にパキスタンとアフガニスタン、また程度は低いがイランとアゼルバイジャン)。

 だが全てがその方向へ進んでいる。これは将来への楽観的な見方を促すものだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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