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欧州通常戦力条約からの計画的撤退完了により、ロシアはどの様なメッセージを送ったのか?(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/07、ロシアは包括的核実験禁止条約に続いて欧州通常戦力条約からも計画的撤退を完了。これによりロシアは最早信頼出来ない西洋のライヴァル達の当てにならない善意に頼らなくとも、独力で自らを守ると云う政治的意志を宣言した。
What Message Did Russia Send By Completing Its Planned Withdrawal From The CFE Treaty?




 2023/05/10に最初にその意向を表明してから半年後、11/07にロシアは欧州通常兵力条約(Treaty on Conventional Armed Forces in Europe/CFE)からの計画的離脱を完了した(5月の時点ではこの責任は米国、ポーランド、ドイツに在ると分析した)。
 
 同11/07、米国とNATOは協定への参加を一時停止

 同日、更にロシアはNATOとの新たな軍備管理協定を除外し、米国が何年もの間、交渉に真剣な関心を示さなかったことを非難した。

 これに先立つ11/02、ロシアは米国との法的同等性を確立する為に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を取り消した。

 これらの展開が示しているのは、ロシアが最早西洋のことを戦略的協定を結ぶ程信頼していないと云うことだ。安全保障分野に於けるロシアの国益は、今後は協定や交渉ではなく、極超音速兵器等の最先端の軍事技術開発を通じて確保されることになる。西洋はこれにより力のバランスを認識させられ、それに応じて交渉を強いられることになるだろう。

 この洞察は、ウクライナを巡る米露の秘密協議についての最新の報道に直接繋がっている。この主題は戦略的安全保障に関するものだが、通常兵力条約、包括的核実験禁止条約、或いは新戦略兵器削減条約(ロシアは02/21に参加を中止)とは異なる性質のものだ。これら3つは双方が相手側に対して何を、何処で、どれだけ行使出来るかを規制する軍備管理協定だ。他方、ウクライナ戦争は米国がロシアに対して仕掛けている代理戦争であって、こちらはハイブリッドの手法が用いられている。

 ウクライナ戦争の終結は最早避けられないが、その結果として生じるこれらの2つの核超大国間の軍事戦略的情勢は、政治的意志が有れば新たなバランスを保持する為に、プラグマティズムに基付いて軍備管理交渉の再開を検討する舞台を整えることになるだろう。

 米国がその様なことに関心を持つだろうとは断言出来ないが、11/08に中国と核軍縮協議を行ったことが報じられたことからも判る様に、その可能性は除外出来ない。

 最善のシナリオは、ウクライナを介した米国の対ロシア代理戦争が来年までに凍結されることで両国に時間的余裕が出来、その後米国が、(2026年2月に失効予定の)新START条約に関してロシアとの交渉再開に真剣な関心を示すと云うものだ。

 並行して、米国は中国との協議を進め、最終的にはロシアとの三国間戦略兵器協定の締結を目指すことが出来るだろう(或いは少なくとも、2030年までの目標の様なものを真剣に提案するか)。

 だが実際には、この最善のシナリオは恐らく実現しない。

 代理戦争は凍結する可能性が高いが、以下の様な米露の軍備管理交渉が再開されなければならない。
 
 ・新START条約
 ・欧州通常兵力条約
 ・包括的核実験禁止条約
 ・中距離核戦力全廃条約(米国は2019年に撤退)
 ・オープンスカイ条約(2020年に米国が、21年にロシアが撤退)

 米国は軍備管理協定の回復に無関心なので、多極化へ向けたグローバルなシステム移行は混沌とした儘になるだろう。

 ロシアは最近のCFEとCTBTからの撤退で証明されている様に、この可能性の高いシナリオに於て自らを守る用意が出来ている。これらの動きは、モスクワが必要なことを行う政治的意志を持っていることを証明している。彼等は最早信頼出来ない西洋のライヴァル達の当てにならない善意に頼る必要は無いのだ。

 勿論、軍備管理体制が復活すれば一番良いのだが、ロシアはそれを跪いて懇願したりはしない。それらが無くても、ロシアは自らの安全を確保出来るだろう。
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ロシアの判断は正しい。

 ウクライナとイスラエルへの軍事協力を続けている限り、アメリカとヨーロッパ、NATOは経済的にも軍事力でも弱体化し続けます。

 元々、欧米はグローバルサウスを不当に搾取する事で暴利を得て来ました。戦争ビジネスとは言え、それは戦後の搾取なしでは全く経済的な生産性がありません。
 現在の状況では、欧米がこれ以上、軍備に金を回す余力はないでしょう。そうである以上、ロシアが軍備を強化し続ければ、第二のウクライナ戦争が勃発しても最低限の犠牲で済みます。
 欧米は愚かですね。中国は軍事力が弱いですから、あわよくばウクライナ戦争に欧米が勝利すれば、今度は中国を戦争で叩き潰して市場を奪い、経済的ライバルを葬り去ろうと考えていました。その中国と軍事協定を結ぼうとしているのは、この状況でもしも中国とロシアが結束して欧米と軍事的対立すれば、ひとたまりもないからです。
 中国としてもそのあたりは熟知していますから、欧米と協定を結んだとしても、あくまで政治的な手法としてでしかないでしょう。
 ロシアが欧米との軍事協定を締結していたのは、欧米と正面切って戦争する事を回避するためでしたが、欧米は卑劣にもウクライナ経由でロシアに戦争を仕掛けましたし、ロシアが圧勝しましたから、もはや欧米と軍事協定を結んで陰で戦争を仕掛けるよう画策されるよりも、
「欧米が今後、軍事力に訴えるならロシアも攻撃する」と明言したほうが防衛上は有利になります。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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