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フーシによるイスラエル爆撃未遂は何が目的だったのか?(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/02のイエメンのフーシによるイスラエル爆撃未遂は、イランによって承認された可能性が有る。その場合イランとサウジとの関係は再び悪化し、地域全体に広範な影響を齎す可能性が有る。
What Did The Houthis’ Attempted Bombing Of Israel Aim To Achieve?




フーシがイスラエルを爆撃未遂

 イエメンの反政府勢力フーシは2023/11/02、イスラエルに向けてドローンとミサイルを発射したと主張する映像を公開した。
Houthi Rebels in Yemen Release Footage of What They Say Are Missiles and Drones Launched at Israel


 フーシの報道官がハマスを全面的に支持した為、一部のソーシャル・メディアではイエメンがイスラエルに対して宣戦布告をしたと誤って解釈されたが、これはロシア駐在のイエメン大使が公式に否定し、イスラエルもまた、攻撃は単なる挑発であり、イエメンとは戦争状態にはないと宣言した。

 これ以前の10/27、レバノンのベイルートに本拠を置くメディア、アル・マヤディーンは、証拠も無しに、フーシはエリトリア内のイスラエル基地を攻撃したと報じていた(エリトリアの情報相はこれを否定した)。この報道の真の目的は、ヒズボラがハマス支援に消極的な中、イランが主導する抵抗の枢軸の士気を高めることであったと分析した。

 それ以来、フーシは実際にイスラエルへの攻撃を試みたが、これはエリトリアの様な第三国を介してではなく(そもそもエリトリアにイスラエル軍基地が有ると信ずべき根拠は存在しない)、直接イスラエルを狙ったものだった。

 後から振り返ってみれば、アル・マヤディーンの報道は実際の攻撃を促す為の圧力だったか、枢軸支持派の聴衆がそれを期待するような条件付けを行う為のものだったのだろう。



攻撃の目的は?

 ともかくフーシがこの争いに参加したことは今や事実だ。そうなると当然、何が目的だったのかと云う疑問が生じる。

 1)彼等はイデオロギー上の同盟者に対して、最新のイスラエル・ハマス戦争に於て傍観するつもりは無いと云うシグナルを送りたかったのだろう。彼等は連帯感の表明として数発の飛翔体を発射した。これにより彼等は抵抗の枢軸の信頼出来るメンバーとしての資格を強化したのだ。

 2)フーシの飛翔体はイスラエルに向かう途中でサウジアラビアを通過した筈だ。従ってこれはサウジに対する圧力でもあった。これは進行中の和平交渉を台無しにするリスクが有るが、フーシは枢軸との団結を示すことを優先した様だ。意図されたものにせよ計算違いにせよ、凍結に近付いていたフーシとサウジとの対立はこれにより再燃するかも知れない。



これらの観察が示唆するもの

 上記の観察は、次のことを示唆している。

 1)サウジとの和平交渉が停滞した為、恐らくはサウジから譲歩を引き出す為の戦術として、フーシは自制するのを止めたのかも知れない。

 2)フーシはサウジを刺激して、イスラエル防衛の為に飛翔体を迎撃させ(自らの権利行使にせよイスラエルの要請にせよ)、それによって多くのイスラム教徒の目から見たサウジの評判を傷付けようと考えている。

 3)中国の仲介によるイランとサウジの接近は、この展開によって危うくなるかも知れない。

 或いは3)が最終目標だったのかも知れない。即ち、過去1年間で改善したイランとサウジの安全保障上のジレンマを悪化させることが(一方的にやったにせよイランから命令を受けたにせよ)。

 動機ははっきり分からないが、フーシが独断でやった可能性は後者の可能性に比べれば低い。攻撃がイランの命令によるものだった場合、イラン政府は日和見的なパワープレイの一環として、サウジとの関係を危うくする覚悟が有ることを示唆している。これは地域の安定に深刻な懸念を生じさせる事態だ。イランとサウジの二国間関係の悪化は、広範囲に影響を及ぼす。



イラン・サウジ関係が再び悪化した場合

 イエメンで大規模な戦闘が再開すると云う最悪のシナリオは別として、両国の対立関係が復活すれば次の様な可能性が出て来る。

 1)金融の多極化プロセスを加速するBRICSの多国間努力が妨げられる。

 2)ロシアと中国は、どちらの側に付くか選択を強いられる。
 
 3)イランとサウジの代理戦争が復活する。



結論

 ここに懸かっているものの巨大さを考えれば、フーシによるイスラエル爆撃未遂は恐らくイランから承認を受けたものであっただろうから、大きな動きだったと結論することが出来る。イランはサウジとの関係を悪化させるリスクを容認したのだ。

 サウジはこれによってジレンマに陥った。これらの飛翔体を迎撃したりイエメンのフーシに対して反撃したりすれば(これがフーシとイランの望んでいることかも知れないが)、サウジはイスラム同胞の間で評判を落とす。他方全く反応しなくても、サウジの利益にとって或る程度のリスクを伴うことになる。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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