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ダゲスタンで本当は何が起こったのかを解読する(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/29にロシア連邦のダゲスタン自治共和国で起こった暴動は、SBU/CIAによる介入の結果だったが、これはロシアを「バルカン化」し、イスラエルとの関係を傷付け、ロシアをイスラエル・ハマス戦争に引き摺り込み、イスラム教徒に対するロシアの信用を失墜させ、来春のロシア大統領選に向けてカラー革命を準備する為の陰謀だった。
Deciphering What Really Happened In Dagestan



予期せぬ安全保障危機

 2023/10/29の夜、ロシアのダゲスタン自治共和国で暴動を起こした群衆がマハチカラ空港を襲撃し、ユダヤ人難民を乗せた到着便がテルアビブから到着する予定だと云うネット上の噂の影響を受けて、駐機場にまで到達した。

 彼等は最新のイスラエル・ハマス戦争を巡るパレスチナ支持の抗議活動であるかの様に行動した。だが暴徒達には反ユダヤ主義のスローガンが結び付いており、彼等がポグロムを実行しようとしているのではないかと懸念する人も居た。



その後のメディア報道と背景説明

 治安当局は直ぐに秩序を回復したが、事件の様子は直ちに西洋メディアによって利用され、ロシアはユダヤ人にとって最早安全ではないとの恐怖を煽った。彼等とその支持者達は、ロシアがこの紛争に於てハマスをえこ贔屓していることが国内の反ユダヤ感情を煽り、それが今回の暴動に繋がったのだと主張している。

 実際にはロシアは最新のイスラエル・ハマス戦争に於て中立を保っているのだが、ロシアはこの噂の出所はSBU(ウクライナ保安庁)だと非難している。
Makhachkala airport unrest | Role of Ukraine-linked channel in inciting riots in Russia


 ダゲスタンで本当は何が起こったのかを解読するには、この出来事に至るまでのより大きな背景を知っておく必要が有る。

 ロシアの特別軍事作戦開始以来、ロシアを「バルカン化」する為に「ロシアを脱植民地化する」と云う口実で多文化主義を兵器化する試みが進行中だ。

 これに加えて、最新のイスラエル・ハマス戦争に於てロシアが取っているバランスの取れたアプローチ損なおうとする試みが行われている。

 これら2つの背景要因が最新の事件で組み合わさった結果、SBUはダゲスタンの一部の地元イスラム教徒達の親パレスチナ感情を利用して、若者達を惑わし、暴動へと誘導し、空港を襲撃させ、ポグロムを実行させ、ロシアの3つの利益を害そうとした。



一石三鳥の試み

 1)暴動は、特に空港襲撃を伴う場合には、どの国にとっても当然、脅威となる。

 2)その反ユダヤ主義のスローガンが証明している様に、暴動の一部の過激派がポグロムに走る場合は事態はもっと悪くなる。

 3)この事件はロシアがユダヤ人にとって最早安全ではないと云う誤った物語を広める為に利用された。これは最新のイスラエル・ハマス戦争に於て原則的中立を保とうとしているロシアのバランス調整努力を損うものだ。



プーチンの情熱的な親ユダヤ主義の文書化された証拠

 2)と3)についてはもう少し解説しなければならない。何故なら、SBUとその黒幕のCIAが最も達成したかったのはこれらの目標だったからだ。

 過去20ヵ月間に亘って「プーチンは現代のヒトラーである」と云う根拠の無いプロパガンだを絶え間無く垂れ流されて来た西洋市民の歪められた認識に反して、プーチンは実際には情熱的に親ユダヤ主義を支持している。

 下の記事は2000〜2018年に掛けてクレムリンの公式ウェブサイトからプーチンの発言を集めたものだが、これらは疑いの余地無くそのことを証明している。
 President Putin On Israel: Quotes From The Kremlin Website

 つい最近の2023/10/25にも、彼は宗教団体の代表者達との会合でユダヤ教を称賛している。またこの他にも、2019/09/17にモスクワで開催されたケレン・ヘイソド財団の年次会議での彼の演説と、2020/01/23に(01/27の国際ホロコースト記念日に合わせて)エルサレムで開催された「反ユダヤ主義との戦いフォーラム」での演説も読み直してみるべきだろう。

 これらを踏まえた上で、2022/10/22にイスラエルのベネット元首相はプーチンとの会談でこう語っている:「我が国、我が全国民を代表してお伝えしたい、我々はあなたをイスラエル国家の親友であり真の友人であると思っています。」

 勿論プーチンが反ユダヤ主義者である可能性が少しでも有れば、彼は決してこんな発言はしなかっただろう。

 従って上述の様な方法でプーチンを誹謗中傷しようとする西洋のメディアとその支持者達は、イスラエルは誰が敵で誰が味方かも適切に判断出来ないのだと主張しているのに等しい。これはイスラエルの政策立案者達を怒らせることになるだろう。



イスラエルとの関係を損なう陰謀

 にも関わらず、空港での事件を受けて次の様な偽の物語が広めれられた。曰く、「ロシアがユダヤ人にとって最早安全ではないと云う事実は、イスラエルに両国の関係を見直すよう圧力を掛けている。そしてそれはプーチンの所為である」と。

 長期的に見てイスラエルとロシアとの関係が見直されることになるのかどうかは判断出来る段階ではないが、このSBUの挑発が最大の効果が得られるタイミングで行われたことは確かだろう。

 10/16、ロシアが提案した人道的停戦を求める安保理決議案は、それがハマスをはっきり非難していないと云う理由で米国が拒否権を発動した為に不成立になった。ロシアが最初の提案の時にハマスを非難しなかったのは、紛争に於ける中立的な立場を維持し、暴力終結の可能性を高めたいと云うプラグマティックな判断によるものだった。米国の反対は、ロシアがハマスに肩入れしていると云う誤った物語の信憑性を高めることを意図しており、最終的にはイスラエルに対してロシアとの関係を再考するよう圧力を掛ける為だった。

 10/26、イスラエルはロシアに対し、ロシアとの二重国籍を持つ者達の人質解放について協議する為にモスクワを訪れていたハマスの政治代表団を追放するよう要求した。

 これと日を同じくして、イスラエルの安保理常任代表は、安保理に於けるロシアの立場を批判し、これによりロシアのネベンジア代表はロシアの中立方針を再表明することを迫られた。



ロシアを戦争に引き摺り込む陰謀

 ロシアがハマスに肩入れしていると云う米国の仄めかし、そしてイスラエルの2つの主張は、ダゲスタンでの事件を受けてイスラエルがロシアとの関係を再考するよう、更なる圧力を掛けることになる。

 SBUとそのCIAの黒幕達は、ダゲスタンへの介入を通じて悪循環による政治的エスカレーションを引き起こし、ロシアをその意思に反して慣性によってイスラエル・ハマス戦争に引き摺り込もうとしている。

 これは何も目新しいことではなく、彼等はこれまでにもロシアに「第二戦線」を開かせるべく、様々な場所で陰謀を巡らせて来た(が、全て中止されるか失敗して来た)。
 ・モルドバ沿ドニエストル(中止)
 ・ベラルーシ(中止)
 ・キルギス(失敗)
 ・ジョージア(失敗)
 ・カラバフ(失敗)

 ロシアはこれまで米国とイスラエルがシリアを攻撃しても事実上黙認して来た。それについての分析は別の箇所で行ったが(123)、若しイスラエルが方針を変更してシリア内のロシアの基地を標的にし始めれば、ロシアの方針も流石に変更される可能性が有る。

 これは飽く迄可能性の話であって、現時点ではイスラエルがそうしようとしていると云う信頼出来る兆候は無い。だがそれはSBUとCIAがダゲスタンへの介入を通じてそれを意図していなかったと云う意味ではない。彼等は少なくとも一部のダゲスタン人を操って自分達の命令に従わせることが出来ることは証明したのだ。



ロシアの「イスラム諸国への軸足重視(Ummah Pivot)」政策の信用を失墜させる陰謀

 2022/09/22以降に部分動員令に対するダゲスタンでの無許可の抗議行動を扇動する為に使われた情報戦の手法(兵器化された物語)については、RTが詳しく伝えている。今回もまた最新のイスラエル・ハマス戦争によって引き起こされた地元のイスラム教徒達の親パレスチナ感情を利用して物語が兵器化され、彼等を操って暴動を起こさせ、空港を襲撃させ、ポグロムを実行させた。

 この挑発に関与した外国の陰謀者達は、コンテクストを無視した切り取り映像を流す為に、彼等「役に立つバカ」達と治安部隊との間で大規模な衝突が勃発することを望んでいた。そして「ロシアがイスラム教徒を弾圧している」と云う誤った物語を広めて地域を更に不安定化することを狙っていた。

 彼等はこれまでのところそこまでは成功していないが、少なくともそれが北コーカサスでの新たなテロの波に繋がると同時に、近年のロシアの「イスラム諸国への軸足重視(Ummah Pivot)」の信用を失墜させることを期待している。

 「ウンマ・ピヴォット」とは、ロシアがイスラム教徒が多数派を占める国々との関係を重視することを指しており、これはユーラシアに於て中国とインドの間バランスを取る上で役に立つ他、特別軍事作戦開始以降は、西洋からの制裁圧力からの安全弁としても機能している。

 若しイスラム教徒達が騙されて「ロシアはダゲスタンのイスラム教徒達を抑圧している」と信じ込む様になれば、ロシアのソフトパワーは急落し、ロシアとは距離を置けと云う草の根の巨大な圧力が各国政府に掛かるかも知れない。



ロシアの春の大統領選挙の信用を失墜させる陰謀

 上記の目標がどれも達成出来なかったとしても、最新の介入は失敗だった訳ではない。何故なら少なくとも一部の西洋人には、ロシアは反ユダヤ的だと思わせることには成功したからだ。そしてそれと共に何時もの「ロシアの崩壊は差し迫っている!」と云う馬鹿げた憶測が一時的に復活し、大失敗に終わったキエフの反抗作戦から注目を逸らすことが出来た。

 今回標的とされたダゲスタンの人々が外国の影響キャンペーンの影響に対して心理的免疫獲得しない限り、一部の要素は命令を実行し続けるかも知れない(一匹狼のテロリストによる攻撃にせよ今回の様な暴動にせよ)。

 その目的はより広範な社会不安を引き起こすことか、または来春に予定されている大統領選挙に向けての知覚操作だ。投票とその結果の信用を失墜させる為に不安定化を煽る上で必要な世論を形成し、カラー革命を促進するのだ。



まとめ

 以上、SBU-CIAがロシアに対して試みた干渉の目標が広範に亘ることを考慮すれば、ダゲスタンは地政学的に不釣り合いな重要性を持っていると結論付けることが出来る。そしてそこで起こる出来事は他の場所で起る場合よりも簡単に広範囲に影響を与える可能性が有る。

 だが今回の場合、最悪のシナリオは治安部隊の迅速な介入によって回避された。恐らく彼等は今後の(全てではないにしても)殆どの介入を回避することにも成功し、それによって敵のハイブリッド戦争計画を粉砕するだろう。
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川流桃桜

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