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西洋はロシア人とパレスチナ人の爆撃に関し、民族的に偏向した二重基準を採用している(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋はパレスチナ人に対する虐殺は公然と応援するが、ドンバスのロシア人に対する虐殺には沈黙して隠している。この二重基準の背後には、それぞれの戦争の目標の違いが関係している。
The West Employs Ethno-Bigoted Double Standards To The Bombing Of Russians & Palestinians



西洋はパレスチナ人の虐殺は応援する

 最新のイスラエル・ハマス戦争は、様々な形で西洋の偽善を暴露した。西洋の主張する所謂「ルールに基付く国際秩序」なるものの人道的次元がこの紛争の評価からは全く欠落していることを、全世界が目撃した。

 イスラエルは、ロシアが過去20ヵ月に責任を負ったとされるよりも多くの民間人の犠牲者を僅か1ヵ月の間に出した責任が有る。にも関わらず西洋はイスラエルをロシアの様に非難するどころか、ガザ地区の200万以上の住人に対する封鎖と爆撃を熱狂的に応援し、それらの結果として民間人が死亡している現実を軽視している。

 ホワイトハウス国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は2023/10/24にこう語った。

 「これは戦争です。戦闘です。流血です。醜いものだし、大変なことになるでしょう。そして罪の無い民間人達が今後も傷付けられることになるでしょう。何か違うことを言えたら良いのですが。そんなことが起こらないことを願っていますが、それは起こるでしょう。」


 イスラエルが、更に多くの民間人犠牲者を発生させることが確実なガザでの地上作戦を拡大した後、カービーは10/28にこう語った。

 「我々はイスラエルにレッドラインを引いている訳ではありません。我々はこれからも彼等を支援して行くつもりです。」



西洋はドンバスのロシア人の虐殺は黙殺する

 この姿勢は2014年からロシアの特別軍事作戦開始までの8年間、キエフによるドンバス爆撃に対して西洋がこれに比べれば沈黙していたこととは対照的だ。彼等はこの間、ファシスト政権を全面的に支持すると同時に、民間人に対する攻撃に余り注目が集まらない様に努力していた。

 ガザのパレスチナ人とドンバスのロシア人———彼等はどちらも、西洋によって「他者化(othered)」され、その「例外的な」文明から切り離された存在であり、従って「使い捨てにしても構わない」存在であると見做されている点では同じなのだが、何故両者はこの様な異なる扱いを受けているのだろうか。

 その背後には恐らく民族的に偏向した二重基準が働いている。西洋支配層のリベラル・グローバリスト達は概してパレスチナ人全体を「非白人」と見做しているが、ロシア人は全体として「白人」の範疇に入れている。
 
 この擬似区別に従って、エリート層はイデオロギー上の理由から「非白人」であるパレスチナ人に対して同情はするが、共感はしない。彼等は、パレスチナ人は西洋とは比較的異なる文明の一部であると考えており、西洋とは「異質」な存在であって、「付き合えない」相手だと見做しているのだ。

 他方、曾てドンバスを支配していたロシア帝国(宗教はロシア正教、多数派はスラブ人)は、曾てガザを支配していたオスマン帝国(イスラム教、トルコ・アラブ人)よりも遙かに西洋文明に近かった。



「文明の衝突」はまやかしだ

 西洋はその「例外主義」を正当化し、覇権維持の為にユーラシアを分割統治する為の口実として「多極化」の概念を利用して「文明の衝突」を煽って来た。最新のイスラエル・ハマス戦争に於ても、西洋の政治エリート層は「西洋と同盟し(部分的に)ヨーロッパ系の血を引くイスラエル人」vs 「イスラム諸国と同盟し完全にアラブ人であるパレスチナ人」と云う構図を広めようとしている。

 だがはっきり言って、これは表面的なまやかしの構図に過ぎない。こうした物語はエリート層が純粋に地政学的な理由から行っているイスラエル支持を正当化する為に、「文明」だの「価値観」だのと云う口実を持ち出して、想定している西洋の聴衆を操ってイスラエルを支持させることが目的だ。

 イスラエルは西アジアに於ける西洋の「不沈空母」だ。それが、仮令多くの民間人の犠牲者を出したとしても、西洋が常にイスラエルを支持する理由だ。

 但しリベラル・グローバリストの学者、活動家、メディア階級は、同じイデオロギーの政治エリート達の偽善的なマキャベリ的世界観との対立を深めている。西洋諸国で大規模な反イスラエル抗議活動が広がったのはこれが原因だ。この派閥間抗争について詳しくは以下の記事を参照のこと。

 Cancel Culture Turned On One Of Its Own After MSNBC Reportedly Suspended Mehdi Hasan’s Show
 イスラエル・ハマス戦争を巡る左派/右派の激しい対立は、派閥の競合が原因だ(抄訳)

 イスラエルのガザに対する封鎖と空爆を熱狂的に応援しているリベラル・グローバリストの政治エリート達は、他の属国諸国との間の細かな相違を無視して誤った「文明の衝突」と云う構図を広めている一方で、前述のこの下位階級は、キエフがドンバスを爆撃していた8年間は比較的沈黙を保っていたが、これはウクライナ人とロシア人は「西洋に近い」「白人」であるので、「バルカン化」によって「価値観を共有する」ものとして西洋文明に組み込まれるかも知れないからだった。つまり先ずは「ユーロマイダン」クーデターによって西洋がウクライナを「反ロシア」に変え、ハイブリッド戦争を通じてロシアをバルカン化する為の「トロイの木馬」として利用する、と云う筋書きだ。

 リベラル・グローバリスト達は西洋の帝国主義を白塗りする為に「ロシアを脱植民地化する」と云う偽りの大義名分を持ち出して、多文化主義を兵器化しようとしたが、それはメドベージェフが警告した様に、ロシアを引き裂く性質のものだった。ロシアの特別軍事作戦によりその陰謀は阻止されたが、その路線は中止された訳ではなく現在も続いている。だからこそ2014年以降のドンバス爆撃について今も尚沈黙しているのだ。



ドンバス爆撃とガザ爆撃は目標が違う

 ウクライナはドンバスのロシア人に対して民族浄化を行い、そこを再征服して残った人々に対してジェノサイドを行おうとしている。イスラエルもまたガザに対して同様のことをしたがっている様だが、西洋はウクライナの役割を、イスラエルよりも広いものと考えている。

 イスラエルは西洋の狭い地政学的利益を追求する上で狭い領土を巡って争っているのに対し、ウクライナは西洋によってより広範囲に及ぶ文明-帝国主義の為に利用されている。

 西洋がイスラエルには西アジアの歴史的イスラム教徒-アラブ文明全体に対して民族浄化・ジェノサイド・「バルカン化」を実行するとは期待していなかったのに対し、ウクライナに対しては、同様の目標を追求(特にロシアの分断統治)することを期待していた。

 従って最新のイスラエル・ハマス戦争に於て「文明の衝突」の物語を広めることは、西洋の限定的な地政学的目標を、偽りの「価値観」に基付いて擁護することになる。他方、「白人」が住んでいるドンバスで同じことをやってしまうと、彼等の信用を損なってしまうリスクが有った。

 ロシアは「バルカン化」され、西洋の新たなリベラル・グローバリスト文明に包摂される筈だった。ドンバスのロシア人をパレスチナ人の様に「他者化」していたらこれは不可能だったろう。

 ウクライナ戦争に於ける西洋の目標は、その「例外的」な文明の範囲を直接拡大することだ。他方イスラエル・ハマス戦争の目標は、「不沈空母」としてのイスラエルの地政学的役割を擁護することに限定されている。



後書き

 文明的、地政学的、戦略的問題について随分複雑な洞察を紹介してしまったので、読者が少々圧倒されてしまったかも知れない。従ってこの分析で明らかにされた内容を振り返り、休憩した後にもう一度見直すことをお勧めする。

 そうすれば、ロシア人とパレスチナ人の爆撃に対する西洋の民族的に偏向した二重基準(前者が無視され後者が応援される)の背後に在る理由を、より良く理解出来る様になるだろう。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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