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ロシアが米国による最近のシリア爆撃を受けて阻止も反応もしなかった理由とは(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023年10月に行われた米軍による一連のシリア爆撃を、ロシアは事実上黙認した。これは何も目新しいことではなく、2015年以来、ロシアは紛争のエスカレーションを防ぐ為に、イスラエル軍や米軍がシリアを爆撃しても何もして来なかったことの延長線上のことに過ぎない。この非公式の政策は今後も継続すると予想される。
Here’s Why Russia Didn’t Deter Or Respond To The US’ Latest Bombing Of Syria




ロシアは何故イスラエルによるシリア爆撃を事実上黙認したのか

 2023年10月、米国がシリア東部の2つの施設を攻撃した件については多くの人々が懸念している。これはこれらの施設が米軍に対する少なくとも19回の代理攻撃を実行する為にイランによって使用されていたと云う口実で行われた。

 オースティン国防長官は、これは最新のイスラエル・ハマス戦争とは「別の話」であると言ったものの、イランが攻撃を強化した場合、更なる爆撃が行われる可能性が有るとも警告した。幾つかのメディアが示唆したように、紛争が予想通りエスカレートし続ければそうなるかも知れない。

 
 しかし現状では、米国による最近のシリア爆撃はそれほど大したことではない。AP通信の匿名の軍関係者に拠ると、襲撃されたのは国境の町ブカマルで武器弾薬を保管していたと見られる施設2ヵ所だけだ。

 対照的に、イスラエルは10月にシリアの2大空港を数回爆撃しており、どちらもその後運用を停止している。

 これらの攻撃についての以前の分析は以下の通りだ。

 Russia Is Unlikely To Let Syria Get Involved In The Latest Israeli-Hamas War
 ロシアは恐らくイスラエルによるシリア空爆を止めない(抄訳)

 これらについて押さえておくべきなのは、ロシアは、2015年9月以来、イラン・イスラム革命防衛隊とその同盟者達に対してイスラエルが行って来た文字通り何百回もの攻撃を、抑止したり対応したりする為に関与したことは一度も無いと云うことだ。

 これはプーチン大統領が対テロ作戦の為にシリアに(シリア政府の要請に応じて完全に合法的に)介入する直前、イスラエルのネタニヤフ首相と所謂「衝突回避メカニズム」に合意したからだ。これによりイスラエルには、イランに関連した自国の安全保障に対する脅威と見做されるものに対応する為の完全な行動の自由が与えられた。

 同様の口実による米軍によるシリア爆撃は遙かに稀だが、こちらに関しても同様の政策が採られている。

 連盟評議会国際問題委員会のウラジーミル・ジャバロフ第一副委員長は、2017年4月に次の様に述べた。

 「若しワシントンがシリアで新たな攻撃を行うと決定した場合、ロシアは米国のミサイルに対して航空宇宙軍を投入するつもりは有りません。それが大規模な戦争に繋がる可能性が有るからです。」

 イスラエルと米国どちらの攻撃に対しても、ロシアは時折この両国の国際法違反に抗議はするが、軍事的に反応することは決して無い。

 2018年秋にシリアは待望のS-300防空システムをロシアから受け取ったが、それから5年以上、このシステムが攻撃して来る米軍機やイスラエル機に対して発砲したことは一度も無い。これは恐らく事態がより大きな戦争へとエスカレートすることを回避する為に、ロシアがその使用を許可しなかったからだと考えられる。

 2023/10/25の演説でプーチン大統領が最新のイスラエル・ハマス戦争について、ロシアの目標は戦争の拡大を防ぐことだと語ったことからも判る様に、この非公式の政策は今に至るまで実際に実行されている。



ロシアは戦争拡大阻止を最優先にする

 従ってイスラエルによる最近の攻撃をロシアが黙認したことは、何も目新しいことではなく、何年も続いて来た同じ力関係の最新の表れに過ぎない。

 ロシアは米国とイスラエルがシリアを爆撃しないことを望んでいる。

 だが、シリアに於けるイランの軍事的プレゼンス(代理勢力を武装させて占領軍と戦わせることも含む)によって彼等が脅かされていることも理解している。

 ロシアは、米国がシリアを占領し、イスラエルがパレスチナを占領していると云う点ではイランに同意している。が、両国を追い出す為に採用された非正規的な手法(テロリズム)には同意していない。それは事態をエスカレートさせかねない無謀な行為だと判断しているからだ。

 若し最新のイスラエル・ハマス戦争が地域全体に拡大すれば、米国とイスラエルがシリアのイラン勢力を爆撃しても、引き続き傍観するであろうと予想される。
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ロシアはウクライナのロシア系市民を守らなければならない。

 ロシアといえども、これ以上、ウクライナ以外の紛争に介入する余裕はないでしょう。
 欧米に軍事力で対抗できるのは全世界でロシアだけ。ロシアが万が一にでも崩壊するか敗北すれば、全世界が西側の白人、差別主義、植民地主義の悪魔共に支配され、全世界の罪なき人々が虫けら扱いされ、奴隷にされ、地上が今以上の地獄になるでしょう。

 世界の希望、少なくとも弱い立場、軍事力において劣る国々の人々の最後の、そして唯一の希望はロシアだけです。
 ロシアのプーチン大統領は優れた知性の持ち主ですから、そのあたりは完全に把握しているのでしょう。世界一の軍事力を維持しながら、なおかつ、グローバルサウス、搾取され蝕まれた大多数であった国々との公正な関係性の構築に尽力しておられますね。
 中国の習近平氏も同じく飛び抜けた知性の持ち主であり、軍事力はロシアに任せ、経済と産業、研究、科学技術において世界を席巻し、まさに欧米の独壇場出会った文化的実力を身に着け、欧米のエゴイズムと足の引っ張り合いに乗じて欧米を完全に凌駕しました。中国もロシア同様、ナチスや日本といった西側勢力の犠牲者であり、イギリスには煮え湯を飲まされた歴史があり、その点ではアジア・アフリカなど、西側の犠牲者だったわけですから、グローバルサウスやロシアと良好な関係を構築しようとしているのは自然な流れであり、そういう政策を選択している習氏は極めて優れた政治家です。

 今回のイスラエルの虐殺において、全世界の三分の2がイスラエルを公然と非難したのは、もはや欧米がウクライナで疲弊し、軍事的に他の国家にまで介入し、経済的に報復する力を失ったからです。このまま欧米日本が凋落の一途をたどり、グローバルサウスの全ての国々が独立を獲得し、西側の搾取から解放される事を祈っています。
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川流桃桜

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一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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