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カナダに於けるナチ復権———カナダ政府はナチ協力者を讃えるウクライナ系カナダ人諸団体に200万ドルを授与していた(抄訳)

米国のユダヤ・メディア、フォワードの記事の抄訳。カナダはロシアに次いで世界で2番目に大きいウクライナ人のディアスポラが存在するが、ナチスドイツに協力してソ連赤軍と戦ったウクライナ兵達を復権させようとする様々な組織が活動しており、今までに判明しているだけで、カナダ政府から合計200万米ドルの公的資金提供を受けている。基本的に西洋諸国は第二次世界大戦の清算などまるで出来ていない。日本で言うところの「逆コース」とはつまり、ナチ陣営が自由民主主義陣営にブランド変更したことではなかったのかとつくづく思う。
Canadian government has given $2 million to Ukrainian Canadian groups that celebrate Nazi collaborators



カナダ政府は8つの親ナチ団体に200万ドルを与えた
 
 2023/09/22に「第二次世界大戦でロシアと戦ったウクライナの英雄」ヤロスラフ・フンカに拍手を送ったカナダ下院は、フォワードがその男性が実は元ナチスであったことをスッパ抜いたことで、全世界の面前で大恥を掻くことになった。

 が、話はそれだけでは終わらなかった。フォワードは更に踏み込んで、カナダ政府が過去7年間で、問題となったSS第一ガリツィア師団(SSガリチナまたはガリツィエンとも呼ばれる)の退役軍人を擁護したりナチの協力者を称賛した少なくとも8つの団体に、約220万ドルを授与していたことが判明した(その団体の幾つかは拍手を受けたフンカを擁護した)。

 1)「ウクライナ・カナダ会議」:資金の殆どはこの団体向けで、これはフンカが所属していた部隊を称賛し、トロント郊外のオークヴィルに在るその記念碑を擁護している団体だ。この団体は2016〜22年に約150万ドルを受領しており、その多くは新移民向けの翻訳サーヴィスに提供された。

 2)カナダのウクライナ国民連盟:これは40年以上の歴史を持つ文化団体で、そのロゴにはファシストのウクライナのナショナリスト組織の一派の記章が含まれている。この団体は2015〜22年に14万ドル相当の助成金を獲得しており、主に若者に夏の仕事を提供するのが目的だった。

 3)ニュー・パスウェイ新聞:これは2019年にカナダのユダヤ系新聞がナチス協力者の記念碑撤去を要求することで「民族不和」を煽っていると報じたことが有る。また2020年には元SSガリツィアの退役軍人達が「『ナチス』のレッテルを貼られて不当な攻撃に曝され、『ナチズム』と云う不当な非難を浴びた」とも報じている。この新聞社は地元出版社を支援する基金から約68,000ドルを受け取った。

 因みにこの新聞社は8つの団体の内、唯一コメント要請に応じた。同紙の論説委員は、SS第一ガリツィア師団には「ナチスのブランドが誤って貼られている」と主張した。そしてSSの志願兵達は「ホロドモールで何百万人ものウクライナ人を殺害したソ連に対抗するためだけにドイツ軍に加わった」と架空の虐殺をその動機に挙げ、退役軍人達は「ナチスのイデオロギーの痕跡に感染していること」を示す如何なる兆候も示さなかったと主張した。

 新聞社、青少年団体、文化団体への助成金は、カナダ政府内の様々な機関やプログラムから提供された。これにはカナダの遺産、社会経済発展、公共の安全を担当する機関等が含まれる。その記録はカナダ政府の主要ウェブサイトに保存されており、助成金はカナダドルで記載されているが、この記事では金額は米ドルに換算しておいた。

 カナダの人口3,800万人の内、約140万人がウクライナの血を引いている(このディアスポラ人口はロシアに次いで世界で2番目に多い)。

 連邦政府の資金を受け取った団体の多くは、SSガリチナや第二次世界大戦とは無関係の活動を行っており、その多くはロシアの特別軍事作戦開始以降、ウクライナ難民を受け入れる上で重要な役割を果たしている。

 カナダにはこの他、ウクライナのナチに協力した戦犯達をカルト的に崇拝するグループや、バンデラ主義者のロビー活動ネットワークが存在する。



カナダに於けるナチス擁護の歴史

SS Galichina Training Video (1943)


 第二次大戦中、ドイツ軍との戦いで250万人以上のウクライナ人が死亡したが、少数のウクライナ人は第三帝国と手を組んでソ連赤軍と戦った。フンカが所属していたSSガリチナはそうした組織のひとつだ。これは1943年に創設され、ドイツから装備と訓練を提供され、SS士官が指揮を執った。この部隊は数百人のポーランド人の村人が生きた儘焼かれた1944年のフタ・ピエニアツカ虐殺を含む戦争犯罪に対して責任を負っているとされている。


 ニュルンベルク裁判はSS全体を、大規模残虐行為に対して責任を負う犯罪組織であると判断したが、戦後、ナチ陣営で戦った数千人は西洋諸国への自由な再定住を許された。約2,000人のSSガリチナ退役軍人がカナダに迎えられ、他の数千人は米国、英国、オーストラリアに行った

 1986年、カナダの戦犯調査委員会は、SSガリチナのメンバーは「集団として起訴されるべきではない」と主張し、同師団の「単にメンバーであること」は訴追や市民権の剝奪を正当化しないと主張した。ユダヤ人団体や多くの歴史家達は同委員会の活動を批判しているが、この委員会はこれらの退役軍人を「ソ連と戦ったウクライナのナショナリスト」、「自由の戦士」へと白塗りするキャンペーンの隠れ蓑となっている。

 先述のニュー・パスウェイ紙のレヴィツキー論説委員は、デシェーヌ委員会がSSガリチナの退役軍人達をあらゆる犯罪について無罪にしたことを引き合いに出してこう主張している。
 
 「ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンは、ウクライナとその勇敢なユダヤ人大統領に対するジェノサイド戦争を正当化する為に『ナチ』と云うレッテルを利用したのです。」
 (訳注:つまり過去のナチスを復権し、現在のナチスを正当化する為に、「ソ連/ロシアの脅威」が喧伝されている。西洋では「ソ連/ロシア」は絶対悪と云うことになっているので、絶対悪の前ではナチスは正義のヒーローに変身すると云う訳だ。)

 現在のロシアとウクライナの戦争(訳注:実際にはウクライナを捨て駒にしたNATOによるロシア侵略戦争)によって、第二次大戦中にナチと協力したウクライナ人を復権する動きが一部で強まっているが、フンカのスキャンダルは新たな警戒感を高めることになった。トルドー首相はデシェーヌ委員会の調査で得られた文書の機密解除を検討していると述べたが、これは顕著な変化だ。ユダヤ人団体は何十年も機密解除を求めて来たが、カナダ政府は今まで拒否して来た。そしてポーランドは戦犯としてフンカの引き渡しを要求した。

 歴史家ジャレッド・マクブライド氏に拠れば、カナダがSSガリチナ退役軍人達の過去を無視したり書き換えたりしていることは1990年代から「学界では知られていました。」

 「カナダには様々なディアスポラ団体(ウクライナに限らない)が、ホロコーストだけでなく他の出来事も含めた自国の歴史の暗いページを難読化し、時には完全に否定して来た長い歴史が有ります。」

 だが「査読を経た学術研究によって、戦時中に様々な団体、軍事部隊、個人が行ったことについての公平な歴史が明らかになった」後でも、この現実を全否定するディアスポラ団体との関係は再考されなかった。


 
ナチ復権の動き

 元SS退役軍人を顕彰する記念碑がカナダには2つ有る。

 オークヴィル墓地の記念碑にはSSガリチナの紋章が飾られており、その周辺の個々人の墓も同様だが、これはヘイトのシンボルだと見做されている。
Emblem of SS Galizien


 エドモントンでは、SSガリチナを含む幾つかのウクライナ軍部隊を「ウクライナの自由の為の戦士達」として顕彰している。フンカ・スキャンダルの後、白人至上主義団体のメンバー達がこの記念碑に巡礼して花を手向けて自撮りをし、「アジアの共産主義の疫病」からヨーロッパを守ってくれたSSに感謝の意を表明した(これは第三帝国のプロパガンダによく見られるテーマだ)。


 カナダ政府から資金提供を受けているウクライナの文化団体は、以下の様なナチと繋がりの有る他の個人やグループも賞賛している。

 ・ウクライナのナショナリスト組織(OUNの一派):ナチスと同盟し、ホロコースト(ユダヤ人と7万〜10万のポーランド人の粛清)に関与したファシスト・グループ

 ・ステパン・バンデラ:OUNの一派の指導者で、「ソ連に挑んだ自由の戦士」としてブランド変更されているが、この試みはサイモン・ウィーゼンタール・センター世界ユダヤ人会議米ホロコースト記念博物館イスラエルから非難されている。

 ・ヤロスラフ・ステツコ:もう一人のOUN指導者。「私はユダヤ人の絶滅と、ウクライナのユダヤ人絶滅の為にドイツの手法を採用する必要性を主張する(1941年)。」

 ・ロマン・シュヘーヴィチ:ドイツ警察補助大隊の士官で、後にウクライナ蜂起軍(UPA)の司令官。

 4)「ウクライナ・エコー」(略称「ホーミン・ウクライナ」)は、バンデラステツコUPAを讃える特別版を発行したが、この組織はカナダから7年間で約125,000ドルの連邦資金を受け取っていた。

 5)ウクライナ世界会議合計3件で約2万ドルの助成金を獲得しているが、これは2020/06/30のフェイスブック投稿でシュヘーヴィチの誕生日を祝い、彼は「ナハティガル大隊の司令官」だと述べたが、これがユダヤ人を殺害した第三帝国の組織であることには触れなかった。2022/07/01にはシュヘーヴィチと現在の対ロシア闘争と結び付け、「我々はウクライナの解放、自由、独立の為に戦ったあらゆる世代の英雄を覚えています」と投稿した。2010年には欧州議会に対して声明を発表し、バンデラとそのOUN支部がナチスの協力者であると云う考えを「根拠の無い告発」として非難した。



物議を醸すシュヘーヴィチの胸像

 エドモントンのウクライナ青少年施設の外に在るシュヘーヴィチの胸像は、ここ数年論争の的になっており、シュヘーヴィチ賛美の試みは世界ユダヤ人会議米国務省サイモン・ヴィーゼンタール・センターイスラエルによって非難されている。
A bust of Shukhevych

 6&7)エドモントンのウクライナ青少年統一評議会は、カナダのウクライナ青少年協会と共に、約438,000ドルの政府資金を受け取っている。この中には、2019年に誰かがシュヘーヴィチの胸像に「ナチのクズ野郎(Nazi scum)」と書いた後、青少年施設に監視カメラを設置する為の約25,000ドルも含まれている。

 2023/09/29、青少年施設の広報担当者はBBCに対し、フンカは「今では成功しているロシアの物語の被害者」であると語った。また青少年協会のウェブサイトはシュヘーヴィチその仲間達を、モスクワによってその遺産を汚された自由の戦士として描いている。

 先述のニュー・パスウェイ紙は、「民族不和の火」を煽ったとしてシュヘーヴィチ胸像の撤去を求めたアルバータ・ユダヤ・ニュースを批判していた。

 

広がる論争

 前述のオークヴィルとエドモントンのSSガリチナの記念碑もまた議論を呼んでいる。

 前述のウクライナ・カナダ会議は何度もこれらを擁護して来た。2022年にはオタワの地元紙でSSガリチナの歴史と戦争犯罪の記録を書いたジャーナリストを攻撃する書簡を書き、同記者が「ロシア連邦に由来する虚偽の報道」を繰り返したと非難し、この柱をナチスの記念碑であるとする記事の記述は「衝撃的で誤解を招く」ものだと主張した。2017年のインタビューでは同会長はSSガリチナの戦闘員がナチの協力者だとする指摘は「中傷的」だと発言していた。

 8)ウクライナ・カナダ研究資料センターは約14万ドルを政府から受け取っているが、このウェブサイトはSSガリチナの兵達を「祖国の防衛と独立の為にソ連赤軍を相手に勇敢に戦った」人々であり、「師団の退役軍人をナチスの協力者として描く」「左翼勢力」によって不当に非難されていると紹介している。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
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