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ハマスとのロシアの関係はプラグマティックなものだ。ハマスを支持するものとして吹聴されるべきではない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアはハマスと関係を維持してはいるが、そのテロリズムには反対している。ロシアは最終的には和平プロセスに於て仲介役を務める為に、ガザ地区を支配しているハマスとプラグマティックに関係を維持しているだけで、ロシアは恐らくハマスよりもファタハの方を好んでいる。
Russia’s Ties With Hamas Are Pragmatic & Shouldn’t Be Spun As Endorsement Of The Group



ロシアはハマスを支持している訳ではない

 2023/10/07の最新のイスラエル・ハマス戦争が始まって以来最も拡散しているフェイクニュースのひとつは、ロシアがハマスを支持していると云うものだ。

 過去にハマスの代表団がモスクワを訪れた際にラヴロフと会った写真が、ハマスの奇襲攻撃にクレムリンが関与していた、或いは少なくともイスラエルよりはハマスの方を好んでいる証拠として報道されて来たが、これらの主張はどちらも誤りだ。


 実際にはロシアは、それがガザ地区を支配しているからと云うプラグマティックな理由でハマスとの関係を維持している。これは純粋に政治的なものであって、軍事的または戦略的なものではない。ガザは法的には安保理決議に従ってパレスチナが独立国家となった暁にはその一部となる予定なので、行き詰まった和平プロセスを復活させようとするロシアの努力を促進するのが目的だ。

 ロシアが最新のイスラエル・ハマス戦争に関してバランスの取れたアプローチをしていることは以下の記事でも公式のソースに基付いて分析した。

 最新のイスラエル・ハマス戦争に対するロシアの公式反応を解釈する(抄訳)
 ロシアはパレスチナ独立を支持しているが、これは反イスラエル政策だと吹聴されるべきではない(抄訳)
 Russia Has A Balanced Approach Towards The Latest Israeli-Hamas War
 Putin’s Condolences To Bibi For The Loss Of Israeli Lives Discredit A Top Disinfo Narrative
 It’s Significant That Putin Didn’t Ascribe Blame For The Gaza Hospital Catastrophe

 これに加えて、

 ・10/11、クレムリンのペシュコフ報道官:「勿論、テロとしか呼べない行為は非難せずにはいられません。」
 「テロ攻撃を阻止しなければなりません。」

 同10/11、イスラエル駐在のロシア大使アナトリー・ヴィクトロフ:「ハマスの過激派が対立の初期段階で使用したテロの手法は確かに非難されなければなりません。これは交渉の余地が有りません。」

 ・10/14、イスラエルのロシア大使館のマリーナ・リャザノワ報道官:「イスラエル国籍も持っていたロシア国民の死亡者数は16人に増えました。」「イスラエル側が提供した最新の行方不明者リストには8人のロシア人も含まれています。」

 但しハマスはテロ攻撃によってロシア国民をも殺戮しているが、モスクワは彼等をテロ組織には指定しないだろう。それをやってしまえば、和平プロセスの調停の役割が損なわれることになるからだ。

 ・10/17、ヴィクトロフ大使:「第一に、ハマスはテロ組織として国際的に認められていません。………ハマスは国連のテロ組織リストにも載っていません。」

 「ハマスの一部の代表者達とコミュニケーションを維持していることは、我々がその様な(テロリストの)行動を支持することを意味するものでは決してありません。」



ハマスはパレスチナの代表ではない

 ハマスは10年半以上に亘ってガザ地区を支配しているが、プーチンは彼等がガザ地区全員の心を掴んだとは信じていないことにも留意する必要が有る。

 ・10/13、プーチン大統領:「因みに、(ガザ住民の)全員がハマスを支持している訳ではありません。」

 彼はまたヨルダン川西岸の人々はマフムード・アッバス大統領のファタハ(つまりパレスチナ自治政府)によって代表されているので、ハマスが全パレスチナ人から支持されている訳ではないことも承知している。

 ・ロシア駐在のパレスチナ大使アブデル・ハフィズ・ノファル:「パレスチナ自治政府とハマスの間には大きな違いが有ります。それらは全く別のものです。パレスチナ自治政府は国際社会の一部です。我々はロシアに大使館を持ち、世界中に大使館を持ち、140ヵ国以上から認められています。従ってハマスとパレスチナ自治政府の間には大きな違いが有ります。」

 プーチン大統領は明らかにこのことを認識している。10/16、彼はアッバス大統領と電話会談を行ったが、ハマス指導部とは話していない。ハマスがロシア国民を殺害した後なら尚更だろう。

 ・10/18、プーチン大統領(一帯一路フォーラム後の北京での記者会見にて):

 「ヨルダン川西岸とガザの間では、パレスチナ人コミュニティ内にも違いが有ります。彼等が互いに敵対しているとまでは言いませんが。………しかしこれは彼等がより緊密な関係を築く必要が無いことを意味するものではありません。これはパレスチナの共同体や社会が統一を目指して努力する必要が無いと云う意味ではありません。勿論、これはパレスチナ人が努力しなければならないことです。これは彼等の仕事です。我々はこのプロセスを管理することは出来ません。」



結論

 これまで明らかにされて来たハマス関連のロシアの公式声明の行間を読むと、恐らくモスクワは、ハマスよりもファタハの方を好んでいる。ハマスとの関係を維持しているのは、それがガザ地区を支配しているからと云うプラグマティックな理由によるものだ。

 ハマスとは異なり、ファタハは今日では誰からもテロ集団とは指定されておらず、パレスチナの正当な代表として国際社会に認められており、イスラエルの生存権も認めており、そしてその全てをロシアも承認している。

 この洞察はロシアが、ファタハが何時かハマスからガザ地区の支配権を取り戻すと云うシナリオを支持していることを示している。これは民主的手段を通じて実現されるのが理想的だが、恐らく最新の紛争の余波としてこれが起こったとしても反対しないだろう。

 だがこれはイスラエルがハマスを滅ぼして強制的にレジーム・チェンジを行うことをロシアが望んでいると云う意味ではない。これはロシアが行った不首尾に終わった停戦の提案によっても証明されている。ロシアは単に出来るだけ早く戦闘を終わらせたいと望んでいるだけだ。

 イスラエルがハマスを滅ぼすかどうかは不確実な為、ロシアがハマスをテロ組織に指定して関係を断ち切ってしまうのは時期尚早だろう。クレムリンの優先事項はこの紛争に於て真に中立の主体であることを示すことで、長年に亘るイスラエル・パレスチナ紛争の解決策に向けて理想的な仲介役を果たし、停滞している和平プロセスを復活させることだ。この崇高な目標を実現する為には、あらゆる関係者達とプラグマティックな関係を維持しておくことが必要だ。さもなければ、和平プロセスの米国による独占が崩れることは無いだろう(米国一極覇権時代にも紛争が解決しなかったことで、ロシアは米国に責任が有ると非難している)。

 ロシアはハマスとの関係を、この目的の為の外交手段と見做していて、それ以上の意味は無い。ロシアはハマスのテロリズムには反対しており、どちらか選択を迫られれば、ロシアがハマスよりもファタハを選択するのは間違い無い。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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