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ロシアの停戦草案は空前の人道危機を防ぐ最後のチャンスだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアは最新のイスラエル・ハマス戦争に対してバランスの取れたアプローチを取っており、それによってこの紛争に於ける唯一の真に中立な利害関係者として自らを位置付けている。従ってこのロシアが提案した停戦草案は、西アジアが自律的な不安定化サイクルに逆戻りするのを防ぐ、恐らくは最後のチャンスとなる。
Russia’s Draft Ceasefire Is The Last Chance To Prevent An Unprecedented Humanitarian Crisis



ロシアは停戦を提案

 2023/10/13、ロシアのヴァシリー・ネベンジア国連常任代表は、ロシアがガザで空前の人道危機が起こるのを防ぐことを目的とした停戦案を起草したことを明らかにした。その要点は、少なくとも民間人が安全に避難出来る程度の期間は戦闘を停止することだ。その間に人質/捕虜の交換をすれば十分な時間稼ぎになるし、その後和平プロセスが再開される可能性も有る。

 米国が最終的にはイスラエルとの偏った連帯から拒否権を発動するの略確実なので、国連安保理でこの崇高な取り組みが成功すると云う幻想を抱くべきではない。それでも、これは今正に起こりつつあることについて、世界の認識を強力に作り直す可能性は有る。

 同日これ以前、プーチン大統領はイスラエルのガザ封鎖と、ナチスのレニングラード封鎖(これにより彼の兄は2歳で亡くなった)とを比較したが、ネベンジア大使はこれに同調した。

 彼はまた、100万人以上の民間人を24時間以内に南部に(彼はそれをエジプト国境沿いの事実上のゲットーだと表現した)避難させると云う、イスラエルの非現実的な要求を非難した。

 ネベンジアもプーチンも、イスラエルが自衛権を持っていることは再確認したが、ハマスのテロ攻撃に対するイスラエルの対応は著しく不釣り合いであると、両者とも信じている。



目前に迫る人道危機

 ここで仄めかされているのは、この自称ユダヤ国家は、国際社会の大部分(EUを含めて)から得られたであろうあらゆる支援を無駄にしたと云うことだ。

 民間人が紛争地帯から安全に避難(封鎖に加えて空爆が続いている最中なので極めて困難だ)する前にイスラエルの地上作戦が開始されれば、空前の人道危機が起こることになる。

 この最悪のシナリオは避けられないかも知れないが、ロシアの停戦草案は、特に多数の国が共同提案する場合には、少なくともそれを回避する為の善意の努力が為されたことを示すことになるだろう。

 その場合、この悲劇は回避可能だったが、イスラエルの蛮行に対する西洋諸国政府の支援の所為で防げなかったことが歴史的記録に残ることになるだろう。その理由は憶測するしか無いが、部分的には地政学的要因によるものだろう。

 米国とその同盟諸国は、イスラエルを西アジアに於ける「不沈空母」と見做している。イスラエルは彼等が地域を分断統治する役に立っているので、時折意見の相違が有るにも関わらず、安全保障問題では常に支持されなければならないのだ。

 客観的な視点を述べるならば、イスラエルとサウジアラビアの様な近隣の国々の利益は、相互に有益な経済機会を解き放つであろう関係正常化プロセスを継続することによって最もよく満たされるものだ。だが差し迫った人道危機を前にしては、最善のシナリオは恐らく実現不能になる。

 サウジは既にイスラエルによるガザ爆撃への対応として、イスラエルとの交渉を凍結したと報じられている。現地のイスラム教徒達が虐殺され続ければ、対話路線は完全に放棄される可能性も有る。

 現在イスラエルは、指導部の一部のイデオロギー的な過激分子の殺戮欲求が、自国や関連地域の客観的利益を脅かしている状況だ。従ってイスラエル自体もイスラエルから救われなければならない。



結論

 ロシアは最新のイスラエル・ハマス戦争に対してバランスの取れたアプローチを取っており、それによってこの紛争に於ける唯一の真に中立な利害関係者として自らを位置付けている。従ってこのロシアが提案した停戦草案は、西アジアが自律的な不安定化サイクルに逆戻りするのを防ぐ、恐らくは最後のチャンスとなる。



訳者補足

 その後の展開はコリブコ氏の予測通りになった。安保理では10/16にロシアが提出した草案が、ハマスへの非難が含まれていないとして否決された。
Israel-Gaza crisis: US vetoes Security Council resolution

 その時の投票の内訳は以下の通り。

 ・賛成5:中国、ガボン、モザンビーク、ロシア、UAE
 ・反対4:フランス、日本、英国、米国
 ・棄権6:アルバニア、ブラジル、エクアドル、ガーナ、マルタ、スイス

 日本国民は、自国の政府が数百万の人命よりも下劣で偽善的な非難ごっこを優先したことを覚えておこう。

 その後ロシアは「即時、永続的且つ完全な停戦と民間人への攻撃の停止を求める」2つの修正案を提出したが、これらもまた否決された。

 最終的に10/18、ブラジルの提出した修正案で決が取られたが、「この決議案はイスラエルの自衛権について言及していない」として米国が拒否権を発動した為、「人道的一時停止」は実現しなかった。


 英国は依然としてハマス非難の条項を含めるべきだと固執して棄権した。ロシアもまた棄権したが、これはブラジルの修正案に「ガザ地区の民間人やインフラに対する無差別攻撃を止めさせることと、飛び地に対する封鎖の発動を非難すること」が含まれておらず、「はっきりと停戦を呼び掛けるものではなく」、「流血を止めるのには役立たない」からと云う理由だった。この問題に関してロシアの決議草案を支持しなかった者は、何が起こるかについて責任を負うと、ネベンジア常任代表は述べた。

 流血を止める為に最も努力したのがどの国で、妨害したのがどの国なのか、これで明々白々となった。
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川流桃桜

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