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エジプトのジレンマ:民族浄化を促進するか、ジェノサイドの可能性を容認するか(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/07以降のイスラエル・ハマス戦争により、エジプトはジレンマに追い込まれている。全ての難民に対して国境を開放することで、ガザ地区からのパレスチナ人の民族浄化を促進するか、難民を紛争地帯に閉じ込めた儘にしてジェノサイドの可能性を容認するかの、どちらかを迫られている。
Egypt’s Dilemma: Facilitate Ethnic Cleansing Or Allow Possible Genocide
Egypt’s Dilemma



 2023/10/07以降のイスラエル・ハマス戦争により、エジプトはジレンマに追い込まれている。全ての難民に対して国境を開放することで、ガザ地区からのパレスチナ人の民族浄化を促進するか、安全確保の為に必要な全ての措置と共に、難民を紛争地帯に閉じ込めた儘にしてジェノサイドの可能性を容認するかの、どちらかを迫られているのだ(但しイスラエルに対して「保護する責任」/「人道的介入」(R2P/HI)作戦を開始すると云う第3の選択肢は政治的に非現実的であって、検討されている兆候は無い)。

 イスラエルが大規模な爆撃作戦に続いて地上作戦を計画していると発表して以来、エジプトがこれら2つの選択地の中から「より小さな悪」を選択すべき時が刻一刻と迫っている。イスラエル軍の攻撃がパレスチナ人の計り知れない苦しみを更に悪化させることは確実だ。自称ユダヤ国家は攻撃対象とされている全ての民間の標的は恐らく或る種のハマスの秘密基地であるなどと無茶苦茶な主張をしているが、これが引き起こした巻き添え被害と、その後の大量の人命の損失は、正直な観察者であれば否定することは出来ない。

 ネタニヤフ首相はハマスを壊滅させると誓ったが、これはガザへの地上作戦を実行しない限りは達成することは出来ない。このコンテクストに於ては、この作戦が最終的に成功するかどうかは重要ではない。この紛争の次の段階に進めば更なる流血に繋がることこそが重要なのだ。

 無数の地元住民達がこれから起こることから逃れたいと考えているのは明らかだが、エジプトは今のところ、彼等の国境越えを拒否している。

 エジプトのシシ大統領は10/10、他者を犠牲にして紛争を解決することは許さないと述べたが、これはイスラエルによるパレスチナ人のシナイへ半島の強制移住と共に、ガザ地域からのパレスチナ人の民族浄化に反対していることを示唆していると広く解釈された。

 エジプトが全ての難民に対して国境を開放すれば、実際に人口の殆どが避難する可能性が現実のものとなるだろう。そうなれば戦争が終結した後、放棄された土地にイスラエル人入植者が入り込んでパレスチナ人に取って代わる可能性が高まることになる。

 そうなってしまえば、安保理決議に従って国際法で義務付けられた二国家間での解決策から、ガザが事実上排除される結果となる。その結果、エジプトがこの目的の為にイスラエルと秘密協定を結んだのではないかと云う憶測が生まれることになる。その為この選択肢は少なくとも当面の間は政治的に受け入れられないとシシは考えており、従って国境を閉鎖し続け、停戦(これは少なくとも紛争の次の段階が終わるまでは政治的に非現実的だが)を求めることに拘っている。

 それと同時に、イスラエルによる地上作戦の期間中に国境を封鎖し続けた場合、エジプトはジェノサイドの可能性を容認すると云う非難にも直面することになる。この場合民間人の犠牲者の規模は想像を絶するものになるだろう。そうなれば、これから何が起こるかを知りながら民間人の逃亡を拒否したエジプトは、人道に対する罪に関して部分的に有罪となり、シシ共々、その評判に取り返しの付かない損害を受けることになる。

 この場合の結果は、国境開放(ガザ地区の強制的な人口削減と戦争終結後に地元住民がイスラエル入植者に置き換えられる)シナリオの場合と同じになるが、唯ひとつ違うのは、その過程で更に数え切れない程の地元住民が殺されると云うことだ。

 イスラエルはハマスのテロ攻撃を受けて血に飢えているので、民間人の死傷者など気にしていない。そしてその指導部の一部は恐らく(少なくとも一定期間は)パレスチナ人の民族浄化、更にはジェノサイドさえも望んでいると考えられる。

 今のところ国境を閉鎖し続けると云うエジプトの決定は、世界の世論がパレスチナ人に対して尤もな懸念を抱いている為にイスラエルがその圧力を受けて自制し、ガザでの地上作戦を中止し、ハマスとの再度の停戦に合意する、と云う期待に基付いている様だ。
 
 だがイスラエルは軍事作戦の実施に関して世論などに影響されないことは既に証明済みだ。シシが本気で戦争を止められると考えているのであれば、それは間違いだ。

 シシは、パレスチナ人のジェノサイドが起こったとしても、世界の世論の非難はイスラエルに集中してエジプトには向かないだろうと云う計算をしている可能性も有る。パレスチナ人の殉教物語は反響を呼ぶだろうから、国内外を問わず政治的目標追求の為に、エジプトやその他の誰かによって利用される可能性が有る。シシが実際にそうしたシナリオを想定していなかったとしても、実際にジェノサイドが起こったら、シシはそう振る舞うだろう。

 何れにせよエジプトは現在、200万人以上の人々の命が文字通り風前の灯となっている為、世界に対してその政策を明確にせねばならないと云う最大圧力に曝されている。 国境を閉鎖した儘にすることは、世論の目には非常に印象が悪いだろう。

 良く言っても、エジプトは、戦争を終わらせる為の壮大な賭けの一環として、支援を求めているパレスチナ人達に苦しみ続けて欲しいと考えている様に見える。もっと悪く言えば、シシはジェノサイドの可能性について何も解っていないか、或いは起こったとしても気にも留めていない様に見える。
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川流桃桜

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