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ロシアはパレスチナ独立を支持しているが、これは反イスラエル政策だと吹聴されるべきではない(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアはパレスチナの独立を支持しているが、「反イスラエル政策」を取っている訳ではなく、ハマスとイスラエル、双方を非難している。これについてAMCもMSMも、それぞれが違った理由から、誤った情報を拡散している。複雑な国際情勢を虚心坦懐に理解したかったら、ゼロサム的な二分法の発想やキャンセル文化とは距離を置かなければならない。
Russia’s Support Of Palestinian Independence Shouldn’t Be Spun As An Anti-Israeli Policy



ロシアは「反イスラエル」ではない

 2023/10/07以降のイスラエル・ハマス戦争は国際世論を正反対の陣営に二極化しているが、この紛争に対するロシアのバランスの取れた立場は、数少ない例外のひとつだ。

 主流メディア(Mainstream Media/MSM)と代替メディア・コミュニティ(Alt-Media Community/AMC)はどちらも、パレスチナ独立を支持することは反イスラエル政策であると見做しているが、それらはそれぞれ利己的な目的に基付いている。MSMはロシアをテロリズムと関連付けたいと考えており、AMCはロシアをイスラエルから切り離したいと考えている。

 この記事は、2000〜2018年の間にクレムリンの公式ウェブサイトからこの紛争に関するプーチン大統領自身の数十の発言を集めたものだが、プーチンは(特にテロ攻撃の犠牲になった場合には)常にイスラエルの自衛権を断固として支持していることを証明している。

 この姿勢はロシア軍の実際の行動にも現れている。イスラエルは「差し迫ったテロの脅威を阻止する」と云う口実で、2015年から現在に至るまで、シリア国内のイラン・イスラム革命防衛隊とヒズボラを何百回となく爆撃している。ロシアはこの口実に公の場で反対しているにも関わらず、これらの爆撃については不処罰で済ませている(またシリアは2018年末にロシアのS-300防空システムを受け取っているが、ロシアはイスラエル対してこれを使用することを許可しなかった)。

 先のリンク先のプーチンの発言集はまた、ロシアがハマスの最近の行動(広くテロと見做されている)を支援していると云うMSMの主張の誤りも暴いているので、読み直しておく必要が有る。

 ウクライナのゼレンスキー大統領はこの陰謀論を支持しているが、これは西洋向けにロシアを更に中傷して信用を落とし、キエフへの軍事援助の継続を確保することを目的としているに過ぎない。


 ゼレンスキーはフランス2のインタビューで「国際的な注目がウクライナから離れてしまうリスクが有る」と認ているので、これが彼の真の動機を暴露している。



AMCの抱えているジレンマ

 AMCに関して言えば、殆どのメンバーはパレスチナの大義を支持する熱烈な反シオニストだが、多くはロシアも支持している。但し彼等の多くは(勿論全員ではないが)左派やリベラルであって、「キャンセル文化」に染まっている為、どんな問題であろうと自分と100%意見を同じくしない人とは交わろうとしないと云う悪しき傾向が有る。そしてこれがロシアとイスラエルに関して、彼等をジレンマに陥らせている。

 彼等はイスラエルを手放しで非難してパレスチナを心底支持しない者は誰であろうと積極的に攻撃する。彼等の心の中では、イスラエルは不法占領国であって、それがテロ攻撃の犠牲になったとしても自衛する権利は無いと云うことになる。イスラエルには存在する権利が無いと主張する人すら居る。また更に踏み込む人達も居て、彼等はイスラエルのヨーロッパ系ユダヤ人市民全員は出来るだけ早急に立ち去れ、さもなければ合法的なパレスチナの土地に対する植民者/入植者として、命に関わるかも知れない結果に直面することになる、と要求する。

 彼等の多くは多極化へ向けたグローバルなシステム移行を加速し、米国の覇権を侵食する役割を担っているロシアを支持している。が、彼等にとっては困ったことに、ロシアはバランスの取れた立場を取っており、手放しでイスラエルを非難したり、心底パレスチナを支持したりはしていない。

 彼等は、これを理由にロシアを「キャンセル」すれば、それに応じて同志の一部が彼等自身を「キャンセル」することに繋がり、これが最終的には反帝国主義陣営を分断する、終わりの無い内部抗争を引き起こすのではないかと恐れている。

 従って彼等は左派とリベラルの「キャンセル文化」傾向に基付いて非生産的なシナリオに陥るよりも、「より大きな善」を追求する為に、この重大な意見の相違については暗黙の内に無視することに同意した。だが中にはそれでも自分達の影響力を拡大しイデオロギーを広め頑固な聴衆達からの寄付を募る為に、この紛争に対するロシアの立場について嘘を吐いた者達も居る。



ロシアは実際には双方を非難している

 だが、パレスチナの独立を支持することは反イスラエル政策ではない。ロシアは単に国際法を再確認しているに過ぎない。これは世界情勢に対するロシアのアプローチと一致している。

 同時にまた、ロシアはハマスとイスラエルの双方に対し、停戦と自制を一貫して求めており、民間人の犠牲者を出したことについて双方を非難している。

 若しロシアが本当に反イスラエル政策を取っているなら、ロシアはイスラエルを批判するだけで、以下の様にパレスチナに部分的な責任を負わせることは決してしなかっただろう。

 ・10/07:ザハロワ外務省報道官「我々はパレスチナ側とイスラエル側に対し、即時停戦を実施し、暴力を放棄し、自制を働かせ、国際社会の支援を得て、包括的で永続的な待望の中東の平和を確立することを目的とした交渉プロセスを開始するよう求めます。」

 ・10/09:ロシア外務省「数千人のイスラエル人とパレスチナ人が負傷しました。我々は犠牲者全員の家族と友人に深い哀悼の意を表し、負傷者の一刻も早い回復を願っています。」

 ・10/09:ラヴロフ外相「我々は、如何なる形であれ暴力を揮い、損害を与え、(どちらの側でも)平和的な民間人を殺害し、女性と子供を人質に取ることは容認出来ないと云う我々の立場を説明しました。」

 ・10/10:プーチン大統領「民間人への被害は最小限に抑えられ、ゼロにまで減らされるべきだというのが我々の立場であり、我々は紛争のあらゆる当事者達にそうするよう呼び掛けます。」

 ・10/10:ペシュコフ報道官「双方が自制心を示すことが今は非常に重要です。」

 またRTは何故ロシアがこの紛争でハマスを部分的に非難しているのかについて、補足となる文脈を追加している(訳注:リンク先は英文)。
 イスラエル在住のロシア人10人が死亡・行方不明———ロシア大使館
 ソ連の高名な物理学者がハマスに殺害される——— メディア

 ロシアがパレスチナの独立を支持していることを反イスラエル政策であるかの様に喧伝する者は、上記の公式声明を知らないか、ロシアの立場について意図的に対象読者を欺いているかのどちらかだろう。

 何れにせよ、外務省、クレムリン、TASS通信、RTのウェブサイトで確認出来る公式ソースは、ロシアがバランスの取れた立場を堅持しており、ハマスとイスラエル双方を非難していることを証明している。

 これらを無視してロシアの政策について誤った主張を繰り返しているAMCメンバーは、ロシアは民間人に対するハマスの攻撃を支持していると仄めかしていることになるので、結果的に敵の情報戦に引っ掛かっていることになる。そしてまた彼等はロシア政府が殺害された自国民(二重国籍だが)のことを気にしていないかの様に主張することで、ロシア国民の目から見たロシア政府の信用をも損なっている。

 こうした人々は、個人的な理由(影響力、イデオロギー、寄付金の勧誘等)が何であれ、不誠実に虚偽の主張に固執することで、ロシアに対するグローバルな情報戦争で「役立つバカ」として機能し続けるか、或いは最終的に全ての事実を明らかにして全ての記録を正すか、どちらかだ。



AMCに蔓延する偽情報

 最新の紛争に対するロシアの政策に反対しつつも、イスラエルに対してパレスチナを支持したり、多極化へ向けたグローバルなシステム移行を加速するロシアの役割を支持したりすることは可能だ。

 AMCメンバーの殆どがこうしたアプローチを採用しない理由は3つだけだ。

 1)AMCのトップ・インフルエンサー達はロシアの立場に関する事実を全く知らない。

 2)彼等は実は事実を知ってはいるが、声を上げると仲間の左派やリベラルによって「キャンセル」されるのではないかと恐れ、口を噤んでいる。

 3)彼等は聴衆に対して何か利己的な理由で嘘を吐き続けている。

 それぞれのトップ・インフルエンサーの理由が何であれ、最終的には彼等は皆、ロシアの立場を誤って伝えていると云うことになる。となるとAMCもMSMと同罪だ。立場は違えど、両者はロシアの立場について虚偽の情報を拡散している。

 この結果、一般の人々はロシアの立場について混乱した理解しか持っておらず、その本当の政策については闇の中に取り残された儘になっている。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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