fc2ブログ

ロシアが最新のイスラエル・ハマス戦争から利益を得ているとする主張はミスリードだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。最新のイスラエル・ハマス戦争はロシアの利益になっているとの主張が出回っているが、イスラエルとウクライナのどちらへの軍事援助を優先するかと云う西洋のゼロサムのジレンマは、彼等自身の無責任な政策の結果に過ぎないし、メディアがイスラエル・ハマス紛争に焦点を当てるのは編集者達の自主的な選択だ。ロシアはどちらとも何の関係も無く、寧ろ戦争がシリアに拡大すれば地域の利益が脅かされることになる。
It’s Misleading To Claim That Russia Benefits From The Latest Israeli-Hamas War



 2023/09/08、ポーランドのドゥダ大統領は最新のイスラエル・ハマス戦争はウクライナから「世界の注目を逸らす」ことになるので「ロシアの利益になる」と主張したが、これは幾つかの理由でミスリードだと言える。


 1)この主張はハマスの攻撃にロシアが関与したとする陰謀論に信憑性を与えるものだが、若しそれが事実ならそれをイスラエルが指摘しない筈は無いので、この陰謀論は精査に耐えられない。


 2)こうした嘘は、西洋がウクライナよりもイスラエルへの援助を優先することを恐れる人々によって広められているが、西洋にとっては、新参の非伝統的なパートナーであるウクライナよりも、数十年来の伝統的な同盟国であるイスラエルへの支援を優先すべき、より緊急の必要性が有る。

 それにイスラエルの反撃は始まったばかりだが、キエフの反攻は既に既に1年近く殆ど変わっていない接触線(LOC)を大きく変えるには至っていない。従って西洋が今、ウクライナではなくイスラエルに限られた軍事援助を送るのは理に適っている。


 3)このゼロサムの選択は、西側諸国が過去20ヵ月近くに亘り、イスラエルで起きた様な不測の事態の為の備蓄を後回しにして、無責任にもウクライナを武装させる為に備蓄を空にして来たことの直接的な結果だ。従って西洋がウクライナへの武器輸送を緩和し、2022年3月に自分達が妨害した和平プロセスを再開するようキエフの代理勢力に勧めていれば、こうした事態は完全に回避出来た筈であって、そのことでロシアを責めるのは完全にお門違いだ。


 4)「注目が逸れる」のは西洋の主導的な報道諸機関の自発的な選択の問題だ。どちらの紛争により注意を払うべきかについて、客観的なジレンマは存在しない。視聴率を競い合う中で、両紛争を同等に報道したり、ウクライナ紛争を優遇し続けたりすれば、読者や視聴者を失うだろうと、彼等は正しく予測した(起こっていても注目されない戦争など幾らでも有る。イスラエルによる日常的な国家テロはその好例だ)。従ってドゥダはロシアではなくこれらの企業に怒りの矛先を向けるべきなのだ。ロシアは西洋メディアの編集権など持っていない。


 5)ドゥダはロシアの国益は西アジアの不安定化によって悪影響を受けないと仮定しているが、クレムリンは最近のイスラエル・ハマス戦争が地域全体に拡大する可能性を懸念している為、これは真実ではない。紛争がシリアにまで拡大し、イスラエルがイラン・イスラム革命防衛隊とヒズボラに対して大規模な爆撃を開始すれば、2015年以降ロシアが積み上げて来た対テロ作戦の成果が覆されるリスクが有る。その場合ISISや他のテロ組織が復活する余地が生まれる可能性が有り、大変危険だ。



 纏めると、最新のイスラエル・ハマス戦争がロシアの利益になっていると一部の人が考える理由は簡単に理解出来るが、この評価は純粋に見せ掛けの論点に基付いているのでミスリードだと言える。

 イスラエルとウクライナのどちらへの軍事援助を優先するかと云う西洋のゼロサムのジレンマは、彼等自身の無責任な政策の結果に過ぎないし、メディアがイスラエル・ハマス紛争に焦点を当てるのは編集者達の自主的な選択だ。

 ロシアはどちらとも何の関係も無く、寧ろ戦争がシリアに拡大すれば地域の利益が脅かされることになる。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

ブログランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ PVアクセスランキング にほんブログ村 人気ブログランキング
良ければクリックをお願いします。
最新記事
カテゴリ
リンク
最新コメント
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR