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最新のイスラエル・ハマス戦争に対するロシアの公式反応を解釈する(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/07、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官の、最新のハマス・イスラエル紛争に関する発言を読み解く。多くのAMCメンバーが誤解しているが、ロシアはパレスチナを支持するどころか、全ての責任はイスラエルと同様、パレスチナにも在ると考えている。
Interpreting Russia’s Official Reaction To The Latest Israeli-Hamas War



 2023/10/07、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は同日勃発したイスラエル・ハマス戦争を受けて、次の様な声明を発表した。

 「ロシアはパレスチナ・イスラエル紛争が急激にエスカレートしたことについて、深刻な懸念を抱いています。

 この点に於て我々は、75年間続いているこの紛争は武力によって解決することは出来ず、政治的及び外交的手段によってのみ、周知の国際法の枠組みに基付く本格的な交渉プロセスに参加することによってのみ解決出来ると云う、原則的且つ一貫した立場を再確認したいと考えます。この枠組みは、1967年時点での国境内に東エルサレムを首都とする、イスラエルと平和且つ安全に共存するパレスチナ独立国家の樹立を規定しています。

 我々は、現在の大規模なエスカレーションは、暴力の悪循環の新たな極めて危険な兆候であると考えています。これは国連とその安全保障理事会の関連決議に対する慢性的な遵守の失敗と、ロシア、米国、EU、国連の国際調停から成る中東カルテットの活動を西洋が妨害した結果として生じたものです。

 我々は、パレスチナ側とイスラエル側に対し、即時停戦を実施し、暴力を放棄し、自制を働かせ、国際社会の支援を得て、包括的で永続的な待望の中東平和の確立を目的とした交渉プロセスを開始するよう求めます。 」


 
 この声明は簡潔だがこの紛争に対するロシアのアプローチについて多くのことを明らかにしている。ロシアがパレスチナ寄りだと考えていた代替メディア・コミュニティ(AMC)の多くのメンバーは驚くかも知れない。押さえておくべき点は以下の通りだ。

 1)ザハロワは国際法に基付くパレスチナ独立国家の平和的創設と云うロシアの立場の一貫性を強調した。

 2)これはパレスチナ・イスラエル両国が平和且つ安全に共存することを想定している。

 行間を読むと、ロシアはパレスチナがイスラエルに対し、先制・予防どちらの目的にせよ、軍事行動を誘発する様な安全保障上の脅威を与えるべきではないと仄めかしている。

 AMCの中で気付いている人は殆ど居ないが、プーチン大統領はイスラエルが自国を守る権利を強く支持している。特にイスラエル指導部がテロと見做してはいるもの(但しパレスチナ支持者達はイスラエルによる数十年の占領に対して民族解放を追求する為の正当な手段と考えているもの)に対して、自国を守る権利を強く支持している。

 「暴力の悪循環」や「即時停戦の実施」の呼び掛けの部分はそうした文脈を踏まえて理解すべきだが、パレスチナの支持者達からはこうした言い回しは、両者に同等の責任を押し付けるものだとして批判されている。だが前掲のプーチン大統領自身の過去の発言を読んでみれば、彼が、一部のパレスチナ人達が独立を求める為に訴えている物議を醸す手段には全く同情していないことが判るだろう。

 プーチン大統領は、両国の闘争は平和的に行われるべきであり、暴力が避けられない場合には、双方とも国際法を遵守すべきであると考えている。彼の見解では、非武装の入植者、民間人、特に子供達を殺害したり誘拐したりすることは容認出来ない。彼はこのテロが紛争の長期化に一役買っていると信じている。

 これはイスラエルが無実だと云う意味ではない。ロシアは自分達もまた1990年代から2000年代に掛けて同様のテロの脅威に見舞われたので、その様な戦術は決して支持出来ないと云うだけの話だ。

 但し一部のパレスチナ人がテロ(とロシアが見做すもの)に訴えたにも関わらず、ロシアはこれが彼等の民族解放の大義を損なうものだとは考えていない。これらの犯罪は解放運動全体を代表している訳ではないし、ロシアの観点からは決して正当化されるものではないが、それらの犯罪は部分的にはパレスチナ人の絶望から生まれたものだと云う議論は可能だ。

 これはロシアがイスラエルに対し、パレスチナ人の苦しみを軽減する為に関連する安保理決議の履行を定期的に求めている理由を説明している。

 イスラエルが決議を拒否していることは、パレスチナ人の絶望を悪化させ、それによりテロ攻撃の実行者達が付け込む肥沃な土壌を生み出している。イスラエルはそれをまた決議を履行しない言い訳と利用する。正に「暴力の悪循環」だ。

 読者がどう解釈するにせよ、ロシアは暴力が勃発する度に、双方に非が在ると考えて来た。AMCのメンバーの多くが誤解して(或いは騙されて)来たことだが、ロシアはパレスチナを支持するどころか、全ての責任はイスラエルと同様、パレスチナにも在ると考えているのだ。だからこそ、イスラエルだけでなく双方に対して「即時停戦を実施し、暴力を放棄し、自制を働かせ」るよう改めて求めたのだ。
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ロシアの主張は首尾一貫している

 初めまして。

 ロシアの主張は終始一貫、
「平和共存し暴力を否定する」です。

 だからこそ、
「ウクライナとロシアは平和共存すべきであり、ロシア系市民への差別と虐殺は許されない」と主張し、これが拒否された結果、軍事介入せざるを得なくなりました。

 だからこそ、
「イスラエルとパレスティナは平和共存すべきであり、イスラエルはパレスティナの虐殺を止めるべきであり、パレスティナも暴力に訴えるべきではない。」

 ロシアが粘り強くイスラエルにパレスティナの弾圧を止めるように交渉し続けてきたのは、ウクライナにロシア系市民の弾圧を止めるように交渉し続けてきたのと同じです。

 そうである以上、イスラエルが虐殺に走れば、イランその他が軍事介入しても、それは人命救助と弱者救済という人道からすれば非難出来ない事になります。

 ロシアはイスラエルがナチス弾圧を逃れた弱者の作った国であり、ロシアもナチスの敵ですから、味方するのは当然ですが、イスラエルとは異なり、差別や虐殺、戦争を否定する平和国家ですね。ロシアの主張には何の矛盾もありません。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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