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最新のカラバフ紛争について、手短なファクト・チェック(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の解説の抄訳。2023/09/19にアゼルバイジャンが「対テロ作戦」を開始したことに関して・取り敢えず押さえておくべきポイント。西洋は地域戦争を引き起こすためにアルメニアを利用しているが、ロシアとイランはそれに騙されていない。「対テロ作戦」は違法だなどと主張している人も居るが、これはリビアの時の様なNATOの軍事介入を正当化するものだ。
A Quick Fact-Check Of The Latest Karabakh Conflict



 2023/09/19、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ地域で対テロ作戦(ATO)を開始したと発表したが、これは動揺したアルメニア支持者等からフェイクニュースと恐怖キャンペーンを引き起こした。ATOは「違法」であると事実に反する主張をする者も居れば、アゼルがキリスト教徒のジェノサイドをやるだろうなどと無茶な予想をする者も居た。

 こうした偽情報の物語とその補足要素は、NATOが主導する、リビアの時の様なアゼルバイジャンに対する戦争を正当化することが目的だ。誤解する者が居ないよう、何が起こっているのかについての事実を以下に示す。



 1)カラバフはアゼルバイジャンの一部として広く認識されている。

 カラバフにはアルメニアの分離主義者等が居て、「独立」を宣言しているが、これを承認した国連加盟国はひとつも存在しない。これにはアルメニア自体も含まれる。

 国連安保理は1993年の04/3007/2910/1411/12の4つの決議を可決しで、アルメニアに対しアゼルバイジャンの領土から軍隊を撤退させるよう要求している。

 従ってアゼルはATOを実行する完全な国際法的権利を有しており、如何なアクターも介入する国際法的権利を有していない。



 2)アゼルの武器の殆どはロシアから来ている。

 よく知られた偽情報では、アゼルは主にトルコやイスラエルから(どちらもイデオロギー上の理由から、カラバフのキリスト教徒等に対するジェノサイドを行いたがっていると主張されている)武器を調達していることになっている。
 
 だがSIPRI(ストックホルム国際平和研究所)の報告書は、2011〜2020年間の武器の60%がロシアから来たことを証明した。

 若しアゼルがキリスト教とに対するジェノサイドを実行しようとしていると云う噂に信憑性が有るなら、プーチンはアゼルへの武器売却を許可しなかっただろうし、況してや過去10年間にこれ程多くの武器を売る筈も無い。



 3)ロシアが相互防衛義務を負っているのはアルメニアの領土に対してだけ。

 広く信じられているもうひとつの偽情報は、アルメニアに対するロシアのCSTO(集団安全保障条約)の相互防衛義務が、カラバフ地域(ここはアゼルの領土であると世界的に見做されている)にまで及ぶと云うものだ。だが、CSTO憲章を読んでみれば判る通り、条約の範囲は加盟国の領土内に限られることが明記してある。

 主流メディアにも代替メディアにも、この誤った前提にしがみ付いて、この義務がロシアに介入を迫るかも知れないと考えている者達が居るが、それは誤りだ。



 4)ロシアの平和維持軍は戦闘を法的に止められない。

 3)の補足として、カラバフに駐留しているロシアの平和維持軍には戦闘を停止する法的義務が有ると多くの人が誤って主張しているが、これも真実ではない。

 モスクワが仲介した2020年11月の停戦の詳細ははアルメニア首相の公式ウェブサイトで読むことが出来るが、そのことについては何も言及されていない。

 更に09/19、ロシアの国家院防衛委員会アンドレイ・カルタポロフ委員長はTASS通信に対して、ロシア平和維持軍は自らが脅かされない限りは武器を使用出来ないことを認めた。



 5)アルメニアは既に自国の領土全体を横断する地域回廊に合意している。

 2020年の停戦合意に於て、アルメニア領土を横断する地域回廊の創設が規定されているが、この回廊はロシアの国境警備局によって保護されることになる。

 従って、アルメニアのシュニク県を挟んでナヒチバン地域と繋がりたいと云うアゼルの願望は、一部の人が主張する様な「帝国主義的」なものではなく、停戦時に三国全てが合意した地域地経学的プロセスを実行しているに過ぎない。



 これらに関連する過去の記事も挙げておく。
 It’s Easy To See Why Russia Is So Dissatisfied With The Armenian Premier’s Latest Interview
 アルメニアの最近の3つの対ロシア挑発は新たなカラバフ紛争を引き起こす危険性が有る(抄訳)
 イランが新たなカラバフ紛争に巻き込まれたら、米国は大喜びするだろう(抄訳)
 Russia & Iran Are On The Same Page Regarding Armenia
 US expert: Armenia is playing a very dangerous game’



 要点だけ言うと、西洋は地域戦争を引き起こす為にアルメニアを利用しているが、ロシアとイランはそれに騙されていない。
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川流桃桜

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