G20でイタリアは一帯一路構想からもう直ぐ撤退すると報じられたが、全体的に見ればまだマシだった(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/09/09のG20サミットに於てイタリアは一帯一路構想から撤退することを発表したが、全体的に見れば、サミットの結果は多極主義者にとっては喜ばしいものだった。
Italy’s Reportedly Impending Defection From BRI Could Be A Lot Worse
イタリアがBRIから離脱
2023/09/09に開催されたG20サミットでの会談中に、イタリアのジョルジア・メローニ首相が中国の李強首相に対し、来春に期限が切れる一帯一路構想(BRI)協定を更新しない意向を伝えたことが報じられた。イタリアは7月からこれに関するシグナルを発していたので、これに驚く人は居ない筈だが、多極化を支持する人々にとってはやはり残念なニュースだ。だが、もっと悪いシナリオも有り得た。
注目すべき重要なことは、これは経済的理由によるものであり、ロシアの特別軍事作戦の混乱に付け込んでそれまでは落ち込んでいたEUに対する覇権を再び確立することに成功した米国による投機的圧力とは無関係であるとイタリアが主張していることだ。
メローニは中国との友好的且つ互恵的な関係を引き続き維持したいとわざわざ強調しており、パートナーシップ協定の復活が計画されていると伝えられているのもその為だ。
それでも、特にイタリアはG7諸国の中でBRIに参加した唯一の国である為、BRIからの離脱は依然として二国間関係に打撃を与えるだろう。中国がこれについて苦々しい思いをするのは当然だ。
この動きはまた、世界の金融システムが、米国主導のG7と、中国主導の(と一部の人が考えている)BRICSとに二分してるのではないかとの推測を促すことになるかも知れない。そのシナリオでは、イタリアの様な国家は超大国同士の競争の対象でしかなく、その主権には制限が伴うことだろう。
G20サミットの結果をロシアは歓迎
しかし蓋を開けてみればG20サミットは予想外に多極プロセスを強化した後、上述の懸念を和らげるものだった。
サミットに先立ち09/08、ロシアの高名なフョードル・ルキヤノフ氏の様な著名な専門家達は、「G20の栄光の時代は終わった」と予測していた。
但しセルゲイ・ラヴロフ外相は後に記者会見でG20の多くの成功を称賛していた為、これは時期尚早の追悼だった。TASS通信の関連記事のタイトルだけ見ても、ラヴロフがサミットの結果に大変満足していたことが窺える。
・「ニューデリーでのG20サミットはブレイクスルーを表している———ラヴロフ」
・「西洋は西側はG20の結果と発展途上諸国の立場を理解する必要が有る———ラヴロフ」
・「G20サミットは全てのG20諸国にとって成功、グループ内部で改革が進む———ラヴロフ」
・「G20サミットの結果はIMF、WTOの改革を大きく促進する———ラヴブロフ」
・「G20サミットの議題をウクライナに集中させようとする西洋の試みは失敗した———ラヴロフ」
多極化は最早不可避だ
これら全ては「G20ニューデリー指導者宣言」と結び付いている。
インドの外交官達は、殆どの人が不可能な偉業だと考えていたにも関わらず、米国主導の西洋のゴールデン・ビリオン、中露協商、そしてグローバル・サウスの全方面から合意を取り付けることで、世界クラスの名声を証明することに成功した。
これにはグローバルな金融構造を改革する取り組みが含まれているのだが、これは上記3つのブロックのどれもが、第二次世界大戦後、特に旧冷戦終結後に達成された全てを放棄したいとは思っていないことを示している。
現在起こっていることはこう云うことだ:全ての利害関係者が遅ればせながらこのアーキテクチャ、特にグローバル・ガヴァナンス全般をアップデートしており、その結果、グローバル・サウスの地位が向上する一方で、ゴールデン・ビリオンの以前の支配的な役割は低下している。
西洋は多極化プロセスを逆転させることが出来ると誤って考えていた為、これまでは拒否して来たのだが、ロシアの特別軍事作戦の開始以来起こった全てのことが証明している様に、最早それが不可能であることが判明すると、最終的に流れに乗ることに決めた。その為、彼等はあらゆる機会を捉えてはこれ見よがしにグローバル・サウスを称賛し、あらゆる多国間フォーラムに於て、これらの国々により公平な代表権を与えることについてわざわざ触れて回ったりしていた。
このアプローチは明らかに不誠実であり、状況によって強いられたものではあるが、それでも尚、多極化プロセスをスピード・アップさせると共に、既存のグローバル・アーキテクチャの更なる劣化を防ぐと云う目に見える効果を齎しており、これにより二極化傾向に対抗している。
イタリアの立ち位置
イタリアの話に戻ると、同国はG20サミット中に発表されたインド・中東・欧州経済回廊(India-Middle East-Europe Economic Corridor/IMEC)を共同創設し、中国との関係を再調整しているにも関わらず、グローバル・サウスに関与することを確認した。
IMECは2022年2月以降に起こったシステム変更の直接的な産物だが、これが存在しなければ、米国のEUに対する支配は絶対的なものになっていたことだろう。
これは一部の多極化支持者にとっては殆ど慰めにならないかも知れないが、二極化と云う選択肢よりはまだマシだ。
Italy’s Reportedly Impending Defection From BRI Could Be A Lot Worse
イタリアがBRIから離脱
2023/09/09に開催されたG20サミットでの会談中に、イタリアのジョルジア・メローニ首相が中国の李強首相に対し、来春に期限が切れる一帯一路構想(BRI)協定を更新しない意向を伝えたことが報じられた。イタリアは7月からこれに関するシグナルを発していたので、これに驚く人は居ない筈だが、多極化を支持する人々にとってはやはり残念なニュースだ。だが、もっと悪いシナリオも有り得た。
注目すべき重要なことは、これは経済的理由によるものであり、ロシアの特別軍事作戦の混乱に付け込んでそれまでは落ち込んでいたEUに対する覇権を再び確立することに成功した米国による投機的圧力とは無関係であるとイタリアが主張していることだ。
メローニは中国との友好的且つ互恵的な関係を引き続き維持したいとわざわざ強調しており、パートナーシップ協定の復活が計画されていると伝えられているのもその為だ。
それでも、特にイタリアはG7諸国の中でBRIに参加した唯一の国である為、BRIからの離脱は依然として二国間関係に打撃を与えるだろう。中国がこれについて苦々しい思いをするのは当然だ。
この動きはまた、世界の金融システムが、米国主導のG7と、中国主導の(と一部の人が考えている)BRICSとに二分してるのではないかとの推測を促すことになるかも知れない。そのシナリオでは、イタリアの様な国家は超大国同士の競争の対象でしかなく、その主権には制限が伴うことだろう。
G20サミットの結果をロシアは歓迎
しかし蓋を開けてみればG20サミットは予想外に多極プロセスを強化した後、上述の懸念を和らげるものだった。
サミットに先立ち09/08、ロシアの高名なフョードル・ルキヤノフ氏の様な著名な専門家達は、「G20の栄光の時代は終わった」と予測していた。
但しセルゲイ・ラヴロフ外相は後に記者会見でG20の多くの成功を称賛していた為、これは時期尚早の追悼だった。TASS通信の関連記事のタイトルだけ見ても、ラヴロフがサミットの結果に大変満足していたことが窺える。
・「ニューデリーでのG20サミットはブレイクスルーを表している———ラヴロフ」
・「西洋は西側はG20の結果と発展途上諸国の立場を理解する必要が有る———ラヴロフ」
・「G20サミットは全てのG20諸国にとって成功、グループ内部で改革が進む———ラヴロフ」
・「G20サミットの結果はIMF、WTOの改革を大きく促進する———ラヴブロフ」
・「G20サミットの議題をウクライナに集中させようとする西洋の試みは失敗した———ラヴロフ」
多極化は最早不可避だ
これら全ては「G20ニューデリー指導者宣言」と結び付いている。
インドの外交官達は、殆どの人が不可能な偉業だと考えていたにも関わらず、米国主導の西洋のゴールデン・ビリオン、中露協商、そしてグローバル・サウスの全方面から合意を取り付けることで、世界クラスの名声を証明することに成功した。
これにはグローバルな金融構造を改革する取り組みが含まれているのだが、これは上記3つのブロックのどれもが、第二次世界大戦後、特に旧冷戦終結後に達成された全てを放棄したいとは思っていないことを示している。
現在起こっていることはこう云うことだ:全ての利害関係者が遅ればせながらこのアーキテクチャ、特にグローバル・ガヴァナンス全般をアップデートしており、その結果、グローバル・サウスの地位が向上する一方で、ゴールデン・ビリオンの以前の支配的な役割は低下している。
西洋は多極化プロセスを逆転させることが出来ると誤って考えていた為、これまでは拒否して来たのだが、ロシアの特別軍事作戦の開始以来起こった全てのことが証明している様に、最早それが不可能であることが判明すると、最終的に流れに乗ることに決めた。その為、彼等はあらゆる機会を捉えてはこれ見よがしにグローバル・サウスを称賛し、あらゆる多国間フォーラムに於て、これらの国々により公平な代表権を与えることについてわざわざ触れて回ったりしていた。
このアプローチは明らかに不誠実であり、状況によって強いられたものではあるが、それでも尚、多極化プロセスをスピード・アップさせると共に、既存のグローバル・アーキテクチャの更なる劣化を防ぐと云う目に見える効果を齎しており、これにより二極化傾向に対抗している。
イタリアの立ち位置
イタリアの話に戻ると、同国はG20サミット中に発表されたインド・中東・欧州経済回廊(India-Middle East-Europe Economic Corridor/IMEC)を共同創設し、中国との関係を再調整しているにも関わらず、グローバル・サウスに関与することを確認した。
IMECは2022年2月以降に起こったシステム変更の直接的な産物だが、これが存在しなければ、米国のEUに対する支配は絶対的なものになっていたことだろう。
これは一部の多極化支持者にとっては殆ど慰めにならないかも知れないが、二極化と云う選択肢よりはまだマシだ。
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