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プスコフに対する2度のドローン攻撃は、ロシアとNATOの戦争を引き起こそうとする捨て鉢の試みだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/08/29〜09/01にNATO加盟諸国に近いロシアのプスコフがドローン攻撃を受けた事件の真相は不明だが、一歩間違えばNATOとロシアとの直接対決に繋がりかねなかった。だがロシアが冷静且つ慎重な対応をしたお陰で、米国のリベラル・グローバリスト、キエフ、バルト三国、ポーランドが期待していた様に、紛争が制御不能に陥ることは無かった。第3次世界大戦の危機はまたしても回避された。
The Two Drone Attacks Against Pskov Are Desperate Attempts To Provoke A Russia-NATO War




プスコフへのドローン攻撃

 ロシア北西部の都市プスコフは週に2度、ドローンにより攻撃を受けていた。

 最初の攻撃は08/29〜30未明で、Il-76軍用輸送機が焼失し、2度目の攻撃は09/01で、これは市の外で「無力化」されたと伝えられている。


 プスコフがNATO加盟国であるエストニアやラトビアに近いことから、攻撃はその反ロシア・ブロックから行われたのではないかと云う憶測が生まれた。

 08/30、外務省のマリア・ザハロワ報道官は、「西洋の衛星諸国から得た情報に基付いて基づいて注意深く計画されたルートが無ければ、ウクライナのドローンがこれ程の距離を飛行出来なかったことも明らかです」と述べ、ドローンがバルト三国ではなくウクライナから発射されたことを示唆した。

 翌09/01、クレムリンのドミトリー・ペシュコフ報道官は「(ドローン攻撃の)ルートは明らかにされており、どの様に行われたのかは解析中です」と述べた。

 読めば判る様に、どちらの当局者も結論を急がなかった。



この攻撃が孕む危険性

 何れにせよ、プスコフに対する2度のドローン攻撃は、正しくNATOの領土から発射された可能性が有るので非常に危険だ。若し本当にそうなら、それはNATOとロシアの代理戦争の前例が無い程エスカレートすることを意味し、ウクライナでの間接的な紛争を、直接的な熱い戦争に変える危険性が有る。

 だがし、バルト諸国発の対ロシア・ドローン攻撃が、正にその目的の為に非国家アクターによって実行された可能性も有る。

 どちらのシナリオにも真実が有るとしても、それを示唆する証拠はロシア側からはまだ出ていない。と云うことはロシア政府は同じことをやり返さないことによって、聖人並みの忍耐力を行使していると云うことだ。

 共に大量の核を有するNATOとロシアが直接対決すれば、世界の終焉を齎すかも知れない大規模戦争に発展するかも知れないが、ロシアの姿勢はこのシナリオを回避しようとしていることを意味する。尤も、イーゴリ・ギルキンの様な破滅論的な陰謀論者であれば、クレムリンは西洋に「売り渡された」か、西洋に対峙するには「弱過ぎる」かのどちらかだと主張するかも知れないが。

 ザハロワ氏の主張通り、これらの攻撃が西洋の衛星諸国の支援を受けてウクライナから開始された可能性は十分に有る。 その場合、危険なエスカレーションであることには変わり無いものの、ドローンがバルト三国から来た可能性には至らない。

 どの解釈を採るにせよ、NATOに近いプスコフが2度もドローン攻撃を受けたことは極めて憂慮すべきことだ。従ってこれらの観察は、プスコフが以下の心理的理由によって標的にされたことを強く示唆している。



攻撃の理由は?

 08/25、NYタイムズは、「ウクライナのロシアに対するドローン攻撃は自国民へのメッセージだ」と報じた。つまりこれは逆襲が可能であることを示して士気を高めるのが目的だったと云うのだ。

 これに続き08/27、エコノミストは、「ヘッドラインを飾るモスクワへの攻撃は、一般のロシア人を戦争の現実に近付け、心理的な影響を与えることが目的だ」と主張した。

 プスコフに対する攻撃はこれらの心理的目標達成に役立った訳だが、彼等が同様に達成しようとしていたものは他にも2つ存在する。

 NATOに隣接する都市を標的にすることで、米国とウクライナは、ガーキンの様な破滅的路線に沿ってロシアの知覚を操作し、所謂「ターボ愛国者」達の目から見てのロシアの信用を落とそうと思っていた。特別軍事作戦に過剰な期待を寄せる彼等とロシア国家との間には既に食い違いが生じているが、ロシアの敵がその溝を広げたいと思うのは当然だ。

 また補足的に、成功する可能性は遙かに低かったが、ロシアの過剰反応も誘発したかったのかも知れない。この場合それは「NATOに対する謂れ無き攻撃」として解釈され、その結果、NATOが状況をエスカレートさせたり、和平交渉の再開を遅らせたりすることを正当化することになる。

 これらの動機は米国やウクライナ、或いは中国よりもロシアの封じ込めを優先したい米国のリベラル・グローバリスト勢力だけに限られたものではない。ポーランドとバルト三国もまた、自国指導部の根深いロシア嫌悪に関連したイデオロギー上の理由から、また和平交渉を妨害する為に、NATOとロシアの代理戦争をエスカレートさせたいと考えている。

 キエフの反攻が予想通りに失敗し、その結果米国とウクライナはあさましい非難合戦を繰り広げているが、これにより年末か来年初めまでに和平交渉が再開されるのは避けられない見通しになった。それと共にこれら4ヵ国は自分達が紛争から逃げ遅れて取り残されるのではないかと恐れている。



まとめ

 上記のことを念頭に置くと、少なくとも一部のドローンはバルト三国から発進した可能性は排除出来ない。これは次の3つのどの可能性でも同じことだ。
 1)バルト三国の軍が、米国の承認無し一方的に実行した。
 2)バルト三国の軍が、陰謀が大好きな米国のリベラル・グローバリスト派閥と共謀して実行した。
 3)陰で国家と連携している非国家アクターが実行した。

 これらは皆、仮令それがNATO対ロシアの熱い戦争に繋がるとしても、代理戦争をエスカレートさせ、和平への道を困難なものにしたいと考えている。だがこの罠はロシアが餌に食い付かない限りは成功する見込みは無い。

 従って、プスコフに対する最近のドローン攻撃に対するロシアの冷静且つ慎重な対応の重要性は、幾ら強調してもし過ぎることは無い。何故なら、この成熟した対応が有ったからこそ、米国のリベラル・グローバリスト、キエフ、バルト三国、ポーランドが期待していた様に、紛争が制御不能に陥ることは無かったからだ。

 事件の真相が完全に明らかになることは無いかも知れないが、代理戦争の力関係は依然として比較的安定しており、平和への軌道に乗っていることは、誰もが理解しておくべきだ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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