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特別軍事作戦に関するラヴロフの最新の洞察を分析する(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋が一極覇権は失われたと云う現実を認めない限り、自体は先へ進まない。紛争解決に向けて決定権を持っているのはロシアではなく、(最初からだが)西洋の方だ。
Analyzing Lavrov’s Latest Insight Into The Special Operation


 2023/08/19、ロシア外務省の機関誌であるインターナショナル・アフェアーズ・ジャーナルは、セルゲイ・ラヴロフ外相とのインタビューを掲載した。

 彼は多極化へ向けたグローバルなシステム移行や特別軍事作戦について語った。これは全文読むに値するものではあるが、読者の簡便の為に、以下にそのハイライトをまとめてみる。
Foreign Minister Sergey Lavrov’s interview with The International Affairs journal, August 2023



ラヴロフの発言

 彼は先ず、「西洋の少数派の軍事的、政治的、財政的、経済的拡大への終わりの無い努力」により、ウクライナに於けるNATOとロシアの代理戦争は避けられないと示唆した。その目標を追求する為に、「アメリカ人とその衛星諸国は、国際関係の自然な進化と多極体制の形成を遅らせようと、或いははその過程を逆転させようとさえしています。」これは、グローバリゼーションが最早西洋のテンプレートに従って進まないのではないかという彼等の恐怖によって駆り立てられている、と彼は付け加えた。

 そして彼は「西洋諸国は我が国を深刻な地政学的ライヴァルとして排除したいと考えています。ワシントンとブリュッセルが我々に対してハイブリッド戦争を開始したのはこの為です」と云う指導部の結論を再確認した。その準備として、「彼等は一世代全ての政治家達を、我々が共有する過去、文化、そしてあらゆるロシア的なものに対して宣戦布告する備えをするように育成することによって、皮肉にも、我々の隣国をロシアに対する敵対的な軍事防波堤に変えて来ました。」

 西洋の目的は、ウクライナを通じてロシアに代理戦争(制裁やテロを含む)を仕掛けることによって、「我々の経済力、技術力、防衛力を可能な限り消耗させ、主権を制限し、独立した外交・国内政策を放棄させること」だ。ラヴロフ氏は、現状では「米国には紛争を終わらせる意思は無い」と信じているが、代理戦争を永続させることは米国とウクライナ自身の利益を損う危険が有るとも警告した。

 「武力衝突が長引けば長引く程、西洋の投資家達ははウクライナ紛争後の復興に貢献する意欲は減るでしょうし、またウクライナの戦場での成功や、どんな形でどんな国境内であれ、ウクライナが国家として存続する能力に対する信頼も弱まるでしょう。キエフが政府債務を返済出来るかどうかについては言うまでもありません。西洋諸国の納税者達は未払いの借金を背負わざるを得なくなるでしょうし、それは更なるインフレと生活水準の低下を引き起こすでしょう。」

 ロシアは、2021年末にクレムリンが米国とNATOに送った安全保証要求に詳述された自国の利益を確保する交渉を通じて、紛争を終わらせることを構想している。ラヴロフ外相は、「悪名高いゼレンスキーの和平方式」に屈することは決して無いと強調し、これは「無意味な最後通告であり(略)我々の基本的な安全保障上の利益を損うもの」であり、ウクライナやモスクワの新領土に於ける民族的ロシア人やロシア語話者に対する更なる虐待に繋がる可能性が有ると主張した。
 
 残念なことに、彼は「現段階ではロシアと西洋との間の交渉の見通しは存在しておらず」「キエフ政権の西洋のスポンサー達は絶えず交渉の条件を引き上げるよう圧力を掛けている」と評価している。またこうも言っている、「西洋の偽善的な対話の呼び掛けは、疲弊したウクライナ軍に休息と再集結の機会を与え、より多くの武器と弾薬を送り込む時間を稼ぐ為の戦術的策略であると我々は見ています。」

 しかし、若し米国がロシアと合意に達した場合、米国は突然キエフを見捨てるかも知れない。

 「同盟国への支援に関しては、米国は歴史的に最上の記録を持っている訳ではありません。1973年に南ヴェトナム、そして2021年にアフガニスタンのアシュラフ・ガニー政権に対する軍事援助を突然中止したこと、そしてこれらの動きが直ちに、米国に忠実な各政府の崩壊を引き起こしたと云う事実を思い起こせば十分でしょう。今日、ウクライナは略完全に、西洋の財政配分と武器供与に依存しています。」



ラヴロフの発言の分析

 以下は彼の洞察の分析に移る。

 最後の点から再確認しておくと、ロシア指導部は西洋が主張する様に戦争に夢中になっている訳ではなく、交渉による紛争解決の道を模索し続けている。プーチン大統領は6月に、米国がキエフへの武器供与を止めるなら、代理戦争の政治的解決は依然として可能であると示唆しているし、ラヴロフ外相もまた紛争凍結への支持を表明している。

 対照的に西洋の方は「(キエフに)ハードルを上げさせ」、益々高品質で現代的な兵器を大量に送り込み、平和を妨げている。その結果としてロシアも対応せざるを得なくなり、こうして自律的なエスカレーションのサイクルが続くことになる。

 但しキエフの反攻が予想通りに失敗した後、責任の所在を巡って見苦しい非難合戦が繰り広げられている。これは西洋諸国の比較的プラグマティックな政策立案者達に、この紛争に対する自国の立場を再考するよう促すかも知れない。

 但し代理戦争を政治的に解決するには、ロシアの国家安全保障上の利益の尊重が保証されることが条件となる。具体的にはラヴロフ外相が明らかにした様に、ウクライナ発の正規・非正規型の脅威(軍事侵攻&テロ)が取り除かれ、新領土を含むロシア国内での民族的ロシア人及びロシア語話者の安全が確保されなければならない。

 この為には、西洋は一極覇権が永久に失われたことを受け入れる必要が有る。

 今日西洋諸国の政策決定に影響に最も影響を与えているのがどの派閥であれ、政策立案者達による暗黙の承認が無ければ、西洋諸国が誠意を持ってロシアと交渉し、妥協してロシアの国家安全保障上の利益を尊重すると同意することなど起こりそうにない。

 そこに課題が存在する。前述の派閥の認識は、代理戦争の点でも、多極化へ向けたグローバルなシステム移行の点でも、現実を正確に反映していないからだ。

 ラヴロフ外相はインタビューの冒頭近くでこのことに言及している。「西洋の現世代の指導者達は、歴史発展の論理を受け入れるのを拒否していることを全く隠していません。これは彼等がプロとして劣化し、現在の出来事を正しく分析し、将来の傾向を予測する能力を失っている証拠です。」

 そもそもロシアの特別軍事作戦が開始されたのは、西洋が一極覇権は失われたと云う現実を否認したことが原因だ。この点がクリアされない限りは事態は先へは進まない。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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