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BRICSは脱ドル化を望んでおらず、反西洋でもないことを公式に認めた(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。BRICSは脱ドル化を望んでいないし、反西洋でもない。多極化へ向けた変化は段階的に起こる長期的なプロセスであって、急激な変化が起こると過剰な期待を膨らませるべきではない。
BRICS Officially Confirmed That It Doesn’t Want To De-Dollarize & Isn’t Anti-Western



BRICSは脱ドル化を望んでいないし、反西洋でもない

 これまで代替メディア・コミュニティ( Alt-Media Community/AMC)は、BRICSはドルの覇権に対して致命傷を与えようとしていると煽って来たが、2023/07/23にBRICS銀行として知られる新開発銀行(New Development Bank/NDB)の新総裁ジルマ・ルセフ「(NDBは)ロシアでは新たなプロジェクトを計画しておらず、国際金融資本市場に適用される制限に従って運営している」と述べた時、冷や水を浴びせられた

 8月になって「BRICSは脱ドル化を望んでおらず、反西洋でもない」と云う真実爆弾が主要当局者達から投下された時、更なる衝撃が襲った。

 2023/08/10、南アフリカのイーノック・ゴドンワナ財務大臣はロイターのインタビューで、NDBの焦点は脱ドル化ではなく現地通貨の利用拡大であると語った。

 同じ記事でNDBの最CFO(高財務責任者)レスリー・マースドープはこう語った。「当銀行の営業通貨は非常に特殊な理由でドルです。米ドルには最大の流動性プールが存在します。(略)ドルの世界から踏み出して、並行世界で営業することは出来ません。」

 BRICS当局者達は、BRICSは脱ドル化を望んでいないことを確認した訳だが、ここから更に、BRICSは反西洋でもないと云うことが明白になった。

 08/14のインタビューで、南アフリカ大使のBRICS大使アニル・スークラルは、BRICSの世界的役割についての誤った認識を正した。

 「BRICSは反西洋であり、BRICSはG7やグローバル・ノースとの競争相手として創設されたという残念な説が展開されていますが、それは正しくありません。我々が追求しているのは、グローバル・サウスのアジェンダを推進し、より包括的で代表的で公正で公平なグローバル・アーキテクチャを構築することです。」

 これに関連して同氏はまた、ゴドンワナとマースドープ両氏が、BRICSには脱ドル化の意志が無いことについて述べたことを確認した。

 「現地通貨での取引はしっかりと議題に上がっていますが、BRICSのアジェンダには脱ドル化と云う議題は存在しません。BRICSは脱ドル化を求めている訳ではありません。ドルは今後も世界の主要通貨であり続けるでしょう、それが現実です。」



AMCは認識修正が必要だ

 BRICSに関するこれらの暴露は、AMCの平均的なメンバーを打ちのめすことだろう。AMCのトップ・インフルエンサー達は、BRICSは西洋を憎んでおりドルに致命傷を与えようとしているのだと云う話を広めて来たので無理も無いことなのだが、3人の当局者達の発言で確認出来た様に、これは真実からは懸け離れている。西洋大手メディア(Mainstream Media/MSM)がBRICSに対する恐怖を広めたこともまた、逆張りでこの希望的観測の信憑性を高めることになった。

 BRICSは確かに「グローバル・サウスのアジェンダを推進し、より包括的で代表的で公正で公平なグローバル・アーキテクチャを構築」することが出来るが、それは緩やかなペースでの話だ。誤った認識の核心はその点に在る。ロシアはBRICSサミットに先立ち、支持者達の非現実的に過剰な期待によってそのソフトパワー上の利益が脅かされていることに気が付いて、それを正そうと何度か試みた

 BRICS当局者達がサミットに先立って同様に認識修正を試みたのも同じ理由だ。彼等は、支持者達の非現実的な期待が裏切られたと知った時に深い失望に繋がり、その結果敵対的な提案を受け入れ易くなってしまうことを望まなかったし、同時にまた西洋を怖がらせて過剰反応を誘発することも望んでいなかった。

 この認識修正が出来ていないと起こり得るシナリオは次の通りだ。

 1)支持者達は絶望してBRICSに対して無関心になるか、騙されたと感じて反対するかも知れない。

 2)西洋の一部はBRICSを阻止する為に、恐喝、政治的介入、制裁の脅迫等を通じて、BRICSとそのパートナー諸国に対する圧力キャンペーンを強化するかも知れない。

 AMCとMSMはそれぞれ全く異なる目的で偽情報を吐き出して来た訳だが、双方とも同一の疑わしい物語に依拠している為、BRICS当局者達は最悪のシナリオは回避出来るとの確信を深めている。認識修正が成功すれば、支持者達の頭を冷静にし、多極化への移行は長期的プロセスであることを予想させると同時に、西洋が過剰反応する可能性を減らすことになる。



変化は段階的に起こるだろう

 ロシアの特別軍事作戦開始以来、西洋は多極化へ向けたグローバルなシステム移行は不可逆的であることを確信する様になった為、彼等は自分達の覇権モデルを改革しようと積極的に取り組んでいる。ドイツのオラフ・ショルツ首相、米国家安全保障会議の元欧州・局長フィオナ・ヒル、ゴールドマン・サックスのグローバル担当取締役ジャレド・コーエンは、奇しくも同じ2023/05/15に、それぞれこの点を示唆している。

 彼等は、西洋はより平等なレヴェルでグローバル・サウスと関わらなければならないと信じており、中露協商でこれ以上頭を痛めないようにする為には、グローバル・サウスに対する従来の露骨な搾取的慣行の一部を縮小する必要が有ると考えている。その為彼等はBRICSの当局者達が想定している様なグローバルな金融システムへの段階的な変化には前向きになりつつある。但しこの移行を劇的に加速させるリスクのある革命的展開には断固として対応するだろうが。

 簡単に言うと、BRICSは「安全策」を望んでいる。ロシアを除く全加盟国は、西洋と複雑な経済・金融相互依存関係に在るからだ。BRICSが断片的な改革を進めた場合、西洋の政策立案者達もそれは不可避だと考えているのだから、過剰反応する可能性は低いだろう。

 4ヵ国の中では、人民元の国際化を加速し、一帯一路構想との接続を望む中国と、各国の通貨使用を優先してBRICSとBRIの分離を望むインドの学派が優勢だ。だが西洋からの過剰反応を回避する為に、グローバルな金融システムの変化は段階的なものでなければならないと云う点では、両者は一致している。

 今にも急激な変化が起こるだろうと云う主張を今だに広めている人達は、きちんと誠実に事実確認をすべきだろう。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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