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追放されたニジェールの指導者は、当初はテロ組織と戦うと約束したが、最終的には彼等と同盟を結んだ(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。追放されたニジェールのバズーム大統領はテロ組織と同盟を結んでいる。西洋が支援するニジェール侵攻が中止されれば、今度はテロの脅威がニジェールを襲うことになる。
Niger’s Ousted Leader Initially Promised To Fight Terrorists But Ultimately Allied With Them


 
主流メディアがまたしてもテロの恐怖を煽る

 2023/08/03、追放されたニジェールのモハメド・バズーム大統領はワシントン・ポストに論説を掲載し、米国が彼を政権の座に復帰させなければ、ニジェールはテロ組織の温床になると恐怖を煽った。

 同様の恐怖キャンペーンは、ヴォイス・オブ・アメリカエコノミストAP通信も繰り返している。
 
 なので平均的な西洋市民は、バズーム政権はテロと戦っていたのだと思い込むかも知れないが、現実は全く逆だ。



反テロ指導者から文字通りのテロ同盟者へ

 バズームはテロ組織と戦うことを約束して統治を始めた。2021/04/02の大統領就任式ではこう発言している。

 「(テロ組織の)野蛮さは限界を超えています。(彼等は)罪の無い民間人の大規模殺戮を行っており、それによって本物の戦争犯罪を犯しています。」

 だが2022/03/18にはAFP通信は「ニジェールがジハード主義者との対話で和平を推進」と報じている。それに拠ると、バズームは「平和の模索」の一環として、ジハード戦士達との「話し合い」を開始した。彼は過激派数名を釈放し、大統領官邸で受け入れた。そして9人の「テロリストの首領」と会う為に特使を派遣した。

 彼は内務大臣だった2016年には、ニジェール南東部のボコ・ハラムのジハード戦士数十名を、脱過激化と職業訓練を組み合わせたプログラムに参加させることに成功している。

 彼はテロ組織と戦う代わりに、テロの犠牲者達の顔に唾を吐き掛けたのだ。



米国とフランスは実はニジェールでテロ組織と戦ったことなど無い

 フィナンシャル・タイムズは2022/07/06の「ニジェール:アフリカに於けるジハード主義者とロシアの影響に対する西洋の防波堤」と題した記事で、バズームのこの政策を称賛した(これは有料記事だがこちらで全文読める。)

 そしてテロ組織に対する彼の屈服は実際には対テロ作戦の勝利であるとし、更にはこれは米国とフランスの承認を得て行われたことも示唆している。つまり米仏の公式の「対テロ」軍事ミッションは、ペテンに過ぎなかったのだ。



地元の証人達はバズームの政策について懸念を表明

 南アフリカの安全保障研究所は、2023/04/05の報告書の中で、ジハード戦士達と接触した地域特使達の一部は必ずしも的確ではなく、より高い信頼性と社会的影響力を持つ人々が排除されて来たとの証言を引いている。また、釈放された元戦闘員達を地域社会に効果的に統合する方法についても懸念が有ると述べている。

 これらの暴露は、テロ組織と話し合おうとするバズームの動機に疑問を投げ掛けるものだ。彼の判断が真摯なものであり話し合いを成功させたいと心から思っていたのであれば、当然ながら、最も信頼性が高く社会的影響力の有る者達にこの任務を与えたことだろう。だが彼は最も適した調停者達を排除して、意図的に国の安全を危険に曝したと伝えられているのだ。



新冷戦の西アフリカ代理戦場

 西洋大手メディアはニジェールではテロ攻撃が減少し、クーデターによって仏軍を追い出した隣国のマリとブルキナファソではテロ攻撃が増加していると主張して来たが、上に述べた様な事情は、何か極悪非道なことが舞台裏で起こっていたことを示唆している。

 米国とフランスがマリとブルキナファソの愛国的な軍事政権を不安定化させる為の拠点としてニジェールを利用する為に、バズームにテロリストと和解させた、と云うシナリオは有り得ることだったかも知れない。

 バズームが野蛮な戦争犯罪者と呼んだ連中は、マリとブルキナファソでの勢力拡大を支援すると云う西洋のパトロン達の要求に従ってバズームが彼等と同盟を結べば、バズーム政権を攻撃する理由は無くなる。

 フランスはアフリカを舞台反ロシア代理戦争を繰り広げているが、その一環としてこのファウスト協定に同意した可能性が有る。
 


エコノミストはうっかりバズームの「反テロリスト」の評判を傷付けた

 2023/08/01のエコノミストの記事「狂信者達とクーデター一味が西アフリカに次々と破綻国家を生み出している」(有料記事だがこちらで全文読める)を読む時には、以上のことを念頭に置いておく必要が有る。

 「ムサ氏がよく知っている様に、ジハード戦士自身も恐怖を利用してリクルートを行った。 彼の仕事は、参加を拒否した人々の首を刎ねることだった、と彼は言う。彼はこの恐ろしい自白を強調する為に、手を喉に突き付けた。彼は何人の男を殺害したのか正確には覚えていない。多分10人だろう、と彼は見当を付けた。しかし、ムサ氏は最近ジハード主義を放棄し、バズーム氏が支持する動員解除計画に着手した。バズーム氏はジハード主義者達が暴力を放棄すれば『社会的・経済的に復帰出来る』と約束した。」

 「(1月初めの地元の平和協定署名以来)この地域で曾て蔓延していた暴力行為は沈静化している。この協定は、この地域の二大ジハード主義組織のひとつであるイスラム国サヘル(ISサヘル)が黙認しており、協定調印に特使を派遣し、内務大臣とも面会したと調停者は述べている。

 バズーム氏によるジハード主義者達との成文化されない停戦は更に大胆で、その数は多かった。(略)そうした協定のひとつは、政府が見返りとして地元住民を助ける為に食糧を送った場合、特定のコミューンを6ヵ月間攻撃しないと云う約束だった。

 (略)政府はアル=カイダ系連合組織ジャマアト・ナスル・アル=イスラム・ワル・ムスリミン(JNIM)とも連絡を取っている。JNIMの司令官達は『そちらが我々を攻撃しなければ、私はそちらを攻撃しないと云うメッセージを送っている。』同グループはまた、政府に対し一部の囚人を釈放するよう要請し、政府は応じた(略)。

 これら全てが今解明されるかも知れない。 チアーニ将軍はクーデター後初めての演説で、バズーム氏の安全保障政策、特にジハード戦士の解放政策を批判した。彼の政権はまた、地元和平合意の重要な支援者だったバズーム政権の内務大臣も逮捕した。 ニジェールが軍事政権下に在る間、フランス、アメリカ、そしてヨーロッパの同盟諸国が今後もニジェール軍と協力し訓練を続ける可能性は低いと思われる。 その結果のひとつは、『更なるテロ攻撃』になるだろうと、或る西洋の軍関係者は率直に語る。」



バズーム政権に関する暗黒の真実

 バズームは文字通りアル=カイダやISISの地域支部と同盟を結び、ムサのような首切りを自認する者に恩赦を与えることさえした。彼の様な精神異常の連続殺人犯は、その野蛮な戦争犯罪に対する如何なる処罰も受けずに「社会復帰」させられた。

 バズームは数ヶ月前に「テロ組織と戦う為に民間人に武装させるのは悲劇的な間違いだ」と宣言していたので、平均的なニジェール人達は自衛の為の武器も持たず、無防備な儘だ。

 これらの忌まわしい諸事実を全て総合すると、真相はこうだ。バズームは西洋のパトロン達から、アル=カイダとISISと同盟するよう命令された。その目的は、反ロシア代理戦争の一環として、それらがマリとブルキナファソの愛国的軍事政権を不安定化させるテロ攻撃を行う拠点として、ニジェールを利用することだった。



バズームのテロ同盟は、間も無くニジェール軍事政権及び/またはナイジェリア北部を攻撃するかも知れない

 バズームは実際にはテロ組織と戦ったことは無い。彼は米国とフランスが首謀したファウスト的協定でテロ組織と同盟を結び、殺人犯達を野放しにしつつ市民達を丸腰にした。NATOが支援するナイジェリア主導のECOWASのニジェール侵攻が中止されれば、彼のテロ同盟が攻勢に出ると予想される。

 この差し迫ったハイブリッド戦争の猛攻は、恐らくニジェール軍事政権の無能の結果であると西洋大手メディアによって報道されるだろうが、それはニジェール軍政権の信用を失墜させ、ニジェールへの更なる干渉の口実として機能するだろう。

 ニジェールを拠点とするテロ組織がナイジェリア北部を攻撃し始めた場合、彼等はこの展開を「ロシア/ワグナーの陰謀」だと騒いで両者の信用失墜を図ると同時に、怖気付いたナイジェリアにニジェール侵攻を強いるだろう。



まとめ

 何れにせよ、NATOが支援しナイジェリアが主導するECOWAS軍のニジェール侵攻、或いは西洋が支援するバズームのテロ同盟によるハイブリッド戦争の猛攻によって、ニジェールの本格的な不安定化は避けられないだろう。

 平均的な庶民にはこうしたシナリオを阻止する力は無いが、少なくとも西アフリカ危機に関する西洋大手メディアの報道に埋め込まれたあらゆる嘘を暴く為に、実際に何が起こっているのか、そして何故起こっているのかについて、認識を最大限に高める努力をすることは出来る。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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