ロシアの中央アジアへの南方輸送回廊は、カザフスタンの裏切りへの備え(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/07/03に発表された「南方輸送回廊」(STC)を通じて、ロシアは、西洋に寝返りかねないカザフスタンを迂回して貿易を行うことが出来る様になる。
Russia’s Southern Transport Corridor To Central Asia Safeguards Against Kazakh Treachery

2023/07/03、ロシア・アストラハン州のイーゴリ・バブシュキン知事はカスピ海を経由して中央アジア共和国(CAR)に至る「南方輸送回廊」(STC)の創設を発表した。これにより、それまでカザフスタン経由ルートに依存していたロシアの地域貿易が多角化されることになる。
カザフスタンはCSTO(集団安全保障条約)の相互防衛圏とユーラシア経済連合に参加しているにも関わらず、ロシアにとっては信頼出来ないパートナーだ。それを考えればこれはタイムリーな展開だ。
07/18のワシントン・ポストの報道では、カザフスタンは西洋の反ロシア制裁に従う2ヵ月前、中国製のドローンがキルギスタン経由でロシアに輸送されるのを妨害した。キルギスでは06/06にクーデター計画が未遂で取り締まられているが、これはロシアに対して第二戦線を開く為の西洋の陰謀だった。
またカザフスタンは06/21には、シリア問題会議の主催を中止することを発表しているが、これはカザフをロシアから引き離し、事実上の新冷戦圏に向けて「引き抜き」を図る西洋のアメとムチのアプローチが徐々に成功を収めていることを示している。これは地域全体に広範な戦略的影響を齎す可能性が有る。
カザフスタンの南の近隣諸国は比較的脆弱であり、ロシアのエネルギー輸出や二国間貿易が混乱を来せば、悲惨な結果を齎す結果が有る。だからこそロシアはリスク要因の高いカザフスタンを迂回するルートの開拓を発表したのだ。この複合ルートは、カザフが西洋の圧力によってロシアとCARに対して引き起こすかも知れない損害の一部を軽減することになる。カザフは徐々に、この地域に於ける西洋の反ロシア制裁の執行者となりつつある。
07/24のポリティコの記事は、ロシアが特別軍事作戦の開始以来、中国から数億ドル相当のデュアル・ユース製品を輸入した疑いが有ると報じた。この主張の真偽は不明だが、これは以前の報道と併せて、カザフ迂回ルートの重要性を思い起こさせるものだ。
キエフの国防副大臣は07/03、キエフが中国製のドローンを調達していることを認めた(そしてそれによってウクライナ戦争に於て中国が軍事的に中立であることを図らずも証明した)が、ロシアも同じことをしたとしても驚くことではない。ポリティコは中国企業側に新たな制裁圧力が掛かることを報じているので、それを受けて取引規模も拡大する可能性も有る。
その場合、最近のカザフスタンの裏切りを考慮すれば、STCはこの物流ネットワークを維持する為に極めて重要になるだろう。
隣国のキルギスタンやタジキスタンへのデュアル・ユース製品の輸出について説明を求められた場合、中国企業は2022年9月の両国の衝突を口実として挙げることが出来る。その間、これらの商品の一部は、ウズベキスタンとトルクメニスタン経由して、カスピ海を越えてロシアのアストラハン港に向かうことが出来る。無論、STCの輸送の大部分はロシアとCARの貿易になるが、これらの中国製品も通過する可能性が高い。
STCはカザフスタン経由ルートよりも効率は劣るが、これはカザフが西洋の圧力に屈することの戦略的影響を軽減することが出来るので、デメリットを補って余り有る。
Russia’s Southern Transport Corridor To Central Asia Safeguards Against Kazakh Treachery

2023/07/03、ロシア・アストラハン州のイーゴリ・バブシュキン知事はカスピ海を経由して中央アジア共和国(CAR)に至る「南方輸送回廊」(STC)の創設を発表した。これにより、それまでカザフスタン経由ルートに依存していたロシアの地域貿易が多角化されることになる。
カザフスタンはCSTO(集団安全保障条約)の相互防衛圏とユーラシア経済連合に参加しているにも関わらず、ロシアにとっては信頼出来ないパートナーだ。それを考えればこれはタイムリーな展開だ。
07/18のワシントン・ポストの報道では、カザフスタンは西洋の反ロシア制裁に従う2ヵ月前、中国製のドローンがキルギスタン経由でロシアに輸送されるのを妨害した。キルギスでは06/06にクーデター計画が未遂で取り締まられているが、これはロシアに対して第二戦線を開く為の西洋の陰謀だった。
またカザフスタンは06/21には、シリア問題会議の主催を中止することを発表しているが、これはカザフをロシアから引き離し、事実上の新冷戦圏に向けて「引き抜き」を図る西洋のアメとムチのアプローチが徐々に成功を収めていることを示している。これは地域全体に広範な戦略的影響を齎す可能性が有る。
カザフスタンの南の近隣諸国は比較的脆弱であり、ロシアのエネルギー輸出や二国間貿易が混乱を来せば、悲惨な結果を齎す結果が有る。だからこそロシアはリスク要因の高いカザフスタンを迂回するルートの開拓を発表したのだ。この複合ルートは、カザフが西洋の圧力によってロシアとCARに対して引き起こすかも知れない損害の一部を軽減することになる。カザフは徐々に、この地域に於ける西洋の反ロシア制裁の執行者となりつつある。
07/24のポリティコの記事は、ロシアが特別軍事作戦の開始以来、中国から数億ドル相当のデュアル・ユース製品を輸入した疑いが有ると報じた。この主張の真偽は不明だが、これは以前の報道と併せて、カザフ迂回ルートの重要性を思い起こさせるものだ。
キエフの国防副大臣は07/03、キエフが中国製のドローンを調達していることを認めた(そしてそれによってウクライナ戦争に於て中国が軍事的に中立であることを図らずも証明した)が、ロシアも同じことをしたとしても驚くことではない。ポリティコは中国企業側に新たな制裁圧力が掛かることを報じているので、それを受けて取引規模も拡大する可能性も有る。
その場合、最近のカザフスタンの裏切りを考慮すれば、STCはこの物流ネットワークを維持する為に極めて重要になるだろう。
隣国のキルギスタンやタジキスタンへのデュアル・ユース製品の輸出について説明を求められた場合、中国企業は2022年9月の両国の衝突を口実として挙げることが出来る。その間、これらの商品の一部は、ウズベキスタンとトルクメニスタン経由して、カスピ海を越えてロシアのアストラハン港に向かうことが出来る。無論、STCの輸送の大部分はロシアとCARの貿易になるが、これらの中国製品も通過する可能性が高い。
STCはカザフスタン経由ルートよりも効率は劣るが、これはカザフが西洋の圧力に屈することの戦略的影響を軽減することが出来るので、デメリットを補って余り有る。
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