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スーダンの近隣諸国は、分断統治の為の代理戦争を戦うことには関心が無いと示唆した(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。最近とんと報じられなくなったスーダン紛争は今どうなっているのか?
Sudan’s Neighbors Signaled That They’re Disinterested In Fighting A Divide-And-Rule Proxy War



終わらないスーダン危機

 四半期に及ぶスーダン危機は、近隣諸国の利害の対立により、曾ての2度のコンゴ戦争に続いて、またしても「アフリカの世界大戦」が起こる最大のリスクを齎している。2023年の紛争の直接の引き金となったのは、スーダン国軍(SAF)のアブドル・ファタハ・アル・ブルハーン将軍と、迅速支援部隊(RSF)のモハメド・ハムダン・ダガロ将軍(通称「ヘメディ」)との対立だったのだが、その本当の根源は、分断統治戦略に基付く西洋諸国の干渉だ。

 それらは以下の分析でも考察された。
 スーダンの「ディープステート」戦争は、長引けば広範囲に地政学的な影響を与える可能性が有る(要点)
 米国がスーダンの「ディープステート」戦争の責任をロシアになすりつけようとしている理由を説明しよう(要点)
 ロシアは正しい:海外からの「政治工学」がスーダン危機に責任を負っている(要点)
 新たに開始されたサウジと米国のスーダン和平プロセスから導かれる5つの結論(抄訳)

 難民が流出しているにも関わらず、スーダン危機はこれまでのところ国境内に抑え込まれているが、その主な理由は次の3つだ。

  1)ブルハーンは、外国に正式に軍事支援を要請する為の口実として、米国のメディアから渡された「ロシアのカード(ロシアの不当な介入を訴える)」を切らなかった。

 2)エジプトは、RSFが自国の同盟相手であるSAFと戦って膠着状態に陥った後でも、直接介入したいと云う衝動を抑え込んだ。

 3)ウクライナに於けるNATOとロシアとの代理戦争によって備蓄が枯渇した為、米国はブルハーンに送る分を残していなかった。

 にも関わらず、サウジと米国の共同和平プロセスは何の進展も見られず、アントニオ・グテレス国連事務総長は07/08に「スーダンは本格的な内戦の瀬戸際に追い込まれており、地域全体が不安定化する可能性が有る」と警告した。

 その後SAFが主導するハルツーム政府は、政府間開発機構(Intergovernmental Authority on Development)が提案した協議への参加を拒否し、ケニアがRSF寄りだと非難して平和維持軍の派遣も拒んだ。



エジプトが主導する和平プロセスの可能性

 だが07/13になってエジプトはスーダン近隣諸国の指導者達をカイロに招待し、敵対行為を終わらせる為の実行可能な枠組みを探る為の協議を行ったが、この外交的介入が無ければ、この新たな軍事戦略力学は、再び「アフリカの世界大戦」が起こるシナリオに突入していたかも知れない。

 重要な点として、招待された国の中には、自国のテロ組織TPLF(ティグレ人民解放戦線)をエジプトが支援していると非難し、グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダムを巡ってエジプトと対立して来たエチオピアも含まれていた。エジプトが招待しそれをエチオピアが受けたことは、両国がスーダンの安定化と云う共通の利益を持っていることを証明する、相互の善意のジェスチャーだった。

 この2ヵ国を含む全ての参加国は、紛争終結を目的とした8項目の声明に同意した。これらの中で最も重要なことは、今後の危機を管理する為、外相レヴェルのメカニズムを確立することだった。

 エチオピアのアビィ首相は、サウジとエジプトでの和平プロセスは、「IGAD(東アフリカの地域機構)が主導しアフリカ連合が支援する既存のイニシアチブと連携する必要が有る」と述べているものの、スーダンの近隣諸国全てが同意しているので、この展開は依然として前向きなものだ。こうした団結が行われたのは今回が初めてであり、協議は今後も続けられる予定の為、この新たな和平路線は従来のものより遙かに有意義なものだと言える。

 更にこの共同声明は、この紛争に外部からの干渉が有ってはならないとも強調している。

 全当事者が約束したことを守るかどうかは分からないが、少なくとも現時点では、これらの国々は分割統治の為の代理戦争を戦うことには関心が無いことを、公式に示唆したのだ。彼等はそれが如何に互いにとって不利益になるかを理解しているが、これは彼等が容易に外部から操作されないであろうことを意味しているので、この合意の重要性は強調し過ぎることは無い。

 これは、新たな「アフリカの世界大戦」と云う最悪のシナリオについてもう心配する必要が無い、と云うことではない。単に緊張を緩和し、安全保障上のジレンマを軽減する為に利用出来るかも知れない、この紛争で最も直接的な利害関係者達を団結させるメカニズムが遂に成立したと云うだけだ。これにより或る関係者が一方的な行動を取ろうとしても、他の関係者によって先制される可能性が有り、2度のコンゴ戦争の時の様に、最終的には競合するブロックに分岐してしまうリスクが有る。

 エジプトにはSAFに対して既に或る程度の軍事・兵站・諜報支援を行っているのではないかとの疑いが掛かっているが、スーダンの近隣諸国は皆、現在の手詰まりに見られる様に、それらが結局はゲームチェンジャーではなかったと云う点に着目している。エジプトの支援が何か大きな違いを齎していたら、それに対抗する為に他の国々がRSFを支援しないよう、エジプトは警戒を強めていたかも知れない、

 少なくとも議論の余地が無いのは、エジプトが紛争のこれ以上のエスカレーションを望んでいないと云うことだ。エジプト大統領アブドル・ファッターフ・アッ=シーシーの他の政策についてどう評価するにせよ、今回の和平協議の呼び掛けに関しては、彼は賞賛に値する。スーダンが本格的な内戦に突入し、次の「アフリカの世界大戦」を引き起こすのを彼は阻止出来ないかも知れないが、それは少なくとも彼の同僚達との誠実な努力が欠けているからではないだろう。
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