バングラデシュに対する西洋の圧力増大はインド北東部への今後の介入を予感させる(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋がバングラデシュに対する圧力を強めているのは、不安定化の連鎖反応を隣国インドの北東部にまで広めたいと思っているからである可能性が有る。
Growing Western Pressure On Bangladesh Might Presage Forthcoming Meddling In Northeast India
2023/07/06、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、1月に行われるバングラデシュの次期総選挙に対する当局者の介入について西洋を非難した。EUと米国の議員達が、バングラデシュでの「自由で公正な」選挙を求めて勧告書簡を出したのだが、彼女は彼等のこうした懸念を「新植民地主義」であると非難した。彼等は恐らくレジーム・チェンジ(政権交代)か、少なくとも「政権調整」を目論んでいるので、この評価は正当なものだ。
バングラデシュは今までのところ、新冷戦に於ける複数の主要プレーヤー間のと調整を行っていて、ザハロワ氏が指摘する通り、「(自国の)利益を満たす独立した内政・外交政策」を実践しているが、だからこそ西洋はこれにハイブリッド戦争を仕掛けて、属国にしようと圧力を掛けているのだ。
具体的な手法としては以下の通りだ:
1)次の選挙で与党が勝利した場合、世界中の公衆が選挙が不正であると疑うように、心理的条件付けを行う(情報戦)。
2)同様に、制裁をちらつかせる。
3)野党がその後暴動を起こすことを決めた場合、それを支持する。
3)が起こった場合、治安機関が法と秩序を回復する為に何をしようとも、西洋は1)と2)を悪化させる為にこれを利用するだろう。つまり西洋は、自国の主権を行使して多極政策を進めるバングラデシュ与党を罰する為に、不安定化の自律的サイクルを促進させようとしているのだ。
西洋がバングラデシュにハイブリッド戦争を仕掛ける動機
これは地政学的目標に基付いて行われていることを理解することが重要だ。
バングラデシュは地戦略的にインドとミャンマーの間のベンガル湾の北に位置しており、中国、ブータン、ネパールにも近い。

バングラデシュは1971年の独立以来、「経済的奇跡」を成し遂げて来たが、2022年になって世界的な変動によって輸出、送金、燃料価格の3つの問題が悪化した為、経済健全性が急速に悪化している。これが不確実性の連鎖反応を引き起こしており、西洋が付け込み易い環境を作っている。
これは根本的にはバングラデシュ当局の手に終える問題ではないのだが、この社会経済的影響をより多くの有権者達が経験する様になると、彼等はその苦しみは当局の責任だとする情報戦に曝されることになるだろう。国内では既に激しい党派意識が蔓延しているので、地元や国際勢力が与党に対する怒りを掻き立てることは比較的容易だろう。
西洋当局が「自由で公正な」選挙を求めていることは、投票後に暴力が起こってもそれは不正疑惑に対する容認可能な反応であって、非難されないとの示唆を含んでいる。
人口約1億7,000万人のこの国が不安定化し、それが国境を越えて北東部(つまりインド)にまで波及した場合、インドに主権政策を再考させる圧力として兵器化される可能性が有る。
インドは只でさえ長い不安定性の歴史を抱えており、5月にもマニプールで民族衝突が起こったばかりだ。仮令事態が制御出来ると云う最良のシナリオであっても、問題の組織的な根源に適切に対処するには多大な時間を要する為、インド北東部は依然として隣国バングラデシュで深刻な危機が発生した場合に影響を受け易い。両国のコミュニティは国境を越えて密接に結び付いているので、混乱が封じ込められる可能性は低い。
西洋の政策決定者達のリベラル・グローバリスト勢力にとってこの状況は魅力的だろう。彼等はインドを属国にしたいと云う願望を諦めていない。
従ってバングラデシュに「自由で公正な」選挙を求める西洋の動きは、間接的にインドを不安定化させたいと云う願望に基付いていると見ることが出来る。
新しく任命された駐インド米国大使エリック・ガーセッティの、マニプール問題の人道的影響に関する発言も、この文脈で理解する必要が有る。彼は07/06、「人間的懸念」を理由に、暴動鎮圧を米国が支援することを申し出たのだ。これは外交規範に対する違反であると見られた為、この発言は内政干渉だとしてインドから激しい反発を受けた。
バングラデシュに対して米国が圧力を強めているのは、事前に計画されたものにせよ行き当たりばったり的なものにせよ、インドに対する今後の介入の予兆である可能性が有る。インドの政策立案者達にとってこれは十分確かな脅威であるので、真剣に受け止め、先制的に回避する為に全力を尽くすべきだ。その為であれば、インドは要請が有ればバングラデシュの「民主的安全保障」の強化に貢献することも出来るだろう。
Growing Western Pressure On Bangladesh Might Presage Forthcoming Meddling In Northeast India
2023/07/06、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、1月に行われるバングラデシュの次期総選挙に対する当局者の介入について西洋を非難した。EUと米国の議員達が、バングラデシュでの「自由で公正な」選挙を求めて勧告書簡を出したのだが、彼女は彼等のこうした懸念を「新植民地主義」であると非難した。彼等は恐らくレジーム・チェンジ(政権交代)か、少なくとも「政権調整」を目論んでいるので、この評価は正当なものだ。
バングラデシュは今までのところ、新冷戦に於ける複数の主要プレーヤー間のと調整を行っていて、ザハロワ氏が指摘する通り、「(自国の)利益を満たす独立した内政・外交政策」を実践しているが、だからこそ西洋はこれにハイブリッド戦争を仕掛けて、属国にしようと圧力を掛けているのだ。
具体的な手法としては以下の通りだ:
1)次の選挙で与党が勝利した場合、世界中の公衆が選挙が不正であると疑うように、心理的条件付けを行う(情報戦)。
2)同様に、制裁をちらつかせる。
3)野党がその後暴動を起こすことを決めた場合、それを支持する。
3)が起こった場合、治安機関が法と秩序を回復する為に何をしようとも、西洋は1)と2)を悪化させる為にこれを利用するだろう。つまり西洋は、自国の主権を行使して多極政策を進めるバングラデシュ与党を罰する為に、不安定化の自律的サイクルを促進させようとしているのだ。
西洋がバングラデシュにハイブリッド戦争を仕掛ける動機
これは地政学的目標に基付いて行われていることを理解することが重要だ。
バングラデシュは地戦略的にインドとミャンマーの間のベンガル湾の北に位置しており、中国、ブータン、ネパールにも近い。

バングラデシュは1971年の独立以来、「経済的奇跡」を成し遂げて来たが、2022年になって世界的な変動によって輸出、送金、燃料価格の3つの問題が悪化した為、経済健全性が急速に悪化している。これが不確実性の連鎖反応を引き起こしており、西洋が付け込み易い環境を作っている。
これは根本的にはバングラデシュ当局の手に終える問題ではないのだが、この社会経済的影響をより多くの有権者達が経験する様になると、彼等はその苦しみは当局の責任だとする情報戦に曝されることになるだろう。国内では既に激しい党派意識が蔓延しているので、地元や国際勢力が与党に対する怒りを掻き立てることは比較的容易だろう。
西洋当局が「自由で公正な」選挙を求めていることは、投票後に暴力が起こってもそれは不正疑惑に対する容認可能な反応であって、非難されないとの示唆を含んでいる。
人口約1億7,000万人のこの国が不安定化し、それが国境を越えて北東部(つまりインド)にまで波及した場合、インドに主権政策を再考させる圧力として兵器化される可能性が有る。
インドは只でさえ長い不安定性の歴史を抱えており、5月にもマニプールで民族衝突が起こったばかりだ。仮令事態が制御出来ると云う最良のシナリオであっても、問題の組織的な根源に適切に対処するには多大な時間を要する為、インド北東部は依然として隣国バングラデシュで深刻な危機が発生した場合に影響を受け易い。両国のコミュニティは国境を越えて密接に結び付いているので、混乱が封じ込められる可能性は低い。
西洋の政策決定者達のリベラル・グローバリスト勢力にとってこの状況は魅力的だろう。彼等はインドを属国にしたいと云う願望を諦めていない。
従ってバングラデシュに「自由で公正な」選挙を求める西洋の動きは、間接的にインドを不安定化させたいと云う願望に基付いていると見ることが出来る。
新しく任命された駐インド米国大使エリック・ガーセッティの、マニプール問題の人道的影響に関する発言も、この文脈で理解する必要が有る。彼は07/06、「人間的懸念」を理由に、暴動鎮圧を米国が支援することを申し出たのだ。これは外交規範に対する違反であると見られた為、この発言は内政干渉だとしてインドから激しい反発を受けた。
バングラデシュに対して米国が圧力を強めているのは、事前に計画されたものにせよ行き当たりばったり的なものにせよ、インドに対する今後の介入の予兆である可能性が有る。インドの政策立案者達にとってこれは十分確かな脅威であるので、真剣に受け止め、先制的に回避する為に全力を尽くすべきだ。その為であれば、インドは要請が有ればバングラデシュの「民主的安全保障」の強化に貢献することも出来るだろう。
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