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最近の米国の中国、インド、イランとの外交の点と点を結んでみる(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多極化へ向かう趨勢の中での米国の外交は、一極覇権が最早通用しないことを物語っている。
Connecting The Dots Tying Together Recent US Diplomacy With China, India, And Iran



 2023年6月には米国外交に3つの動きが見られた。

 1)2023/06/18〜19、アントニー・ブリンケン米国務長官は5年振りに中国を訪問した。

 2)2023/06/21〜23、インドのモディ首相は国賓としてワシントンを訪問した。

 3)2023/06/12、イラン外務省はが先月オマーンで米国と間接協議を行ったことを確認した。



 これら3つの展開はバラバラの様だが関連している。

 1)これらは、米国が1990年代から2000年代初頭の一極覇権の全盛期の様に、単独でやって行くことは最早不可能であることを証明している。米国が、中国は勿論、インドやイランの様な地域大国を無視しても構わないと感じていた時代はもう終わった。現在は既にポスト一極時代なのだ。

 多極化へ向けたグローバルなシステム移行は、ロシアの特別軍事作戦によって、また2022年3月の和平合意をNATOが妨害して代理戦争をエスカレートさせたことによって、一気に加速した。西洋の対ロシア制裁は一極覇権を回復させるどころか、多極化を促進した。

 2)多極化を主導するこれら3つの国々は、ロシアの特別軍事作戦によって全方位(full-spectrum )のパラダイム・チェンジが起こる前と比べて、米国に対して遙かに良い立場に立っている。グローバリゼーションに依存していると思われていた中国は経済的難局を乗り切り、インドは西洋の圧力に抗して寧ろ戦略的自治を強化し、イランはサウジと和解したことで代理戦争のリスクが取り除かれた。

 従って米国はこれらの国々に対して、自国の客観的利益を犠牲にして米国の利益の為に譲歩せよと強要することは最早出来ない。中国は西洋の反ロシア制裁によって齎された新たな世界経済の現実に上手く適応し、情報戦を仕掛けてもインドの外交政策は揺るぎはせず、サウジは最早自国が米国の反イラン代理勢力であり続けることを許さない。

 3)これら3ヵ国は何れもロシアの緊密なパートナーだ。恐らく米国がこれら3ヵ国に同時にアプローチしているのは、これらにロシアから距離を置かせたいと期待してのことだろう。だが、それは政治的幻想に過ぎない。各国は主権を維持し、ロシアとの互恵関係を包括的に拡大し続け、それによってグローバルなシステム移行を軌道に乗せることに、多大な利害関係を持っているからだ。



 最良のシナリオは次の様なものだ:

 1)米中対立が安定化し、計算違いによる戦争の可能性が無くなる。

 2)インドと米国の相互補完的な貿易関係が世界経済の回復を加速させる。

 3)イランと米国が新たな核合意に達する。

 米国が政治的意志を持って、特にロシアとの絆に関して、これらの国々にゼロサムの要求を押し付けることは最早出来ないのだと認識すれば、これらは全て達成可能だ。

 外交的関与は、それが第三勢力に敵対する為のものでない限りは、常に前向きだ。インドは米国の代理勢力で反中国ではないかと心配する人も居るが、中国、インド、イランの何れにしても、米国から何かを得る代わりに、自国の主権を犠牲にするとは予想出来ない。米国がその様な取引を持ち掛けて来たら拒否するだろうから、最近の動向について誰も心配する必要は無い。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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