エチオピアとミャンマーへの援助停止に対する国連の二重基準の背後には一体何が?(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。エチオピアとミャンマーへの援助停止に対して、国連は二重基準を取っているが、その理由は政治的なものだ。
What’s Behind The UN’s Double Standards Towards The Suspension Of Aid In Ethiopia & Myanmar?
政治化される人道援助
ワシントンの国際援助機関USAID(米国際開発庁)が窃盗疑惑を根拠に食料援助を停止したことに歩調を合わせ、2023/06/12、国連の世界食糧計画(WFP)はエチオピアへの食糧援助を一時停止すると発表した。現在、約2,000万人のエチオピア人が外国組織からの食糧援助に依存している。
他方、同日、ミャンマー政府が西部ラカイン州への人道的アクセスを停止したことについて、これによって100万人以上が苦しむ可能性が有ると、国連は深い懸念を表明した。
つまり国連は一方で2,000万人を見捨てておきながら、他方で100万人が苦しむことについて文句を言っているのだ。
エチオピアとミャンマーの援助に対するこうした二重基準は、国連が平均的な人々の援助には関心が無いことを示している。こうしたコントラストは、人道援助なるものが常に政治化されて来たことを証明している。
エチオピアの場合
内戦が終結したばかりのエチオピアの場合、西洋諸国はその代理勢力であるテロ組織、ティグレ人民解放戦線(TPLF)がエチオピア政府に敗北してしまった為、その罰として、戦後の微妙な状況に乗じてこの国を不安定化させたいと望んでいる。
そして援助を停止して2,000万人もの人々から食糧を奪ってしまえば、その内の一部は絶望から反乱活動に戻る可能性が有ると期待している。
西洋諸国はまた、国内の無数の地域間紛争を最終的に解決すると云うエチオピア政府の計画に対して、先制的に介入したいと考えている。
ミャンマーの場合
ミャンマー当局は伝統的に、国際援助団体が反政府勢力に秘密裏に武器を提供する外国諜報部のフロント組織として機能しているのではないかと疑っており、国際援助団体の活動停止を決定したのは恐らくそれが理由だ。
国連が100万人のミャンマー人の運命について懸念する一方で、2,000万人のエチオピア人の運命は懸念していないと云う事実は、国連が確かにミャンマーに対して下心を抱いているのではないかと疑うべき理由を提供している。
今後の課題
憶測はさて置き、国連が両国の援助停止に対して正反対のアプローチを取っていることは否定出来ない事実だ。国連はこの偽善についてまだ説明を行っていない。
他方、外国の食糧援助に依存しているあらゆる展途上諸国は、農業産業の発展を続けなければならない。
エチオピアはこの方面で目覚ましい進歩を遂げていたが、2年戦争によって流れは逆転した。その結果、国連が政治的理由によって援助を兵器化出来る状況が生まれてしまった。
要請が有れば、BRICSの中核であるロシア・インド・中国(RIC)の中のエチオピアの緊密なパートナーが、エチオピア農業が被った損害を修復するのを助けてくれる可能性が有る。
第2回ロシア・アフリカ首脳会議が7月下旬にサンクトペテルブルクで開催される予定だが、エチオピア指導部が必要と判断すれば、エチオピアはそこで正式にその様な要請を行うかも知れない。
ロシアは農業大国だが、ロシアの農業輸出は西洋諸国の一方的な制裁体制によって妨げられており、資金調達や保険に問題が生じている。
にも関わらず、ロシアは過去15ヶ月半に亘り、これらの課題を解決する為に全力を尽くして来た。
ロシアとエチオピアの戦略的パートナーシップは、ロシアがアフリカ大陸への関与を再活性化する柱のひとつなので、エチオピア政府から大規模食糧支援の要請が行われれば、モスクワはそれを優先するだろう。
更に、両国の共通のパートナーであるエリトリアが、ロシアの船を自国の港に停泊させ、隣国であるエチオピアに輸送することでこれを助けてくれる可能性もある。
西洋は公式政策としてエリトリアとロシアを孤立させることを望んでいるが、彼等がエチオピアへの食料援助の停止を決定したことは、結果的にこの3国を団結させることになるかも知れない。
その結果として数百万人の命が救われ、これらの国々は西洋大手メディアが中傷している所謂「ならず者国家」ではないことを世界中に証明することになるだろう。
この方程式に於ける唯一ならず者のアクターは西洋だ。彼等は政治的理由から2,000万人ものエチオピア人を罰した。
What’s Behind The UN’s Double Standards Towards The Suspension Of Aid In Ethiopia & Myanmar?
政治化される人道援助
ワシントンの国際援助機関USAID(米国際開発庁)が窃盗疑惑を根拠に食料援助を停止したことに歩調を合わせ、2023/06/12、国連の世界食糧計画(WFP)はエチオピアへの食糧援助を一時停止すると発表した。現在、約2,000万人のエチオピア人が外国組織からの食糧援助に依存している。
他方、同日、ミャンマー政府が西部ラカイン州への人道的アクセスを停止したことについて、これによって100万人以上が苦しむ可能性が有ると、国連は深い懸念を表明した。
つまり国連は一方で2,000万人を見捨てておきながら、他方で100万人が苦しむことについて文句を言っているのだ。
エチオピアとミャンマーの援助に対するこうした二重基準は、国連が平均的な人々の援助には関心が無いことを示している。こうしたコントラストは、人道援助なるものが常に政治化されて来たことを証明している。
エチオピアの場合
内戦が終結したばかりのエチオピアの場合、西洋諸国はその代理勢力であるテロ組織、ティグレ人民解放戦線(TPLF)がエチオピア政府に敗北してしまった為、その罰として、戦後の微妙な状況に乗じてこの国を不安定化させたいと望んでいる。
そして援助を停止して2,000万人もの人々から食糧を奪ってしまえば、その内の一部は絶望から反乱活動に戻る可能性が有ると期待している。
西洋諸国はまた、国内の無数の地域間紛争を最終的に解決すると云うエチオピア政府の計画に対して、先制的に介入したいと考えている。
ミャンマーの場合
ミャンマー当局は伝統的に、国際援助団体が反政府勢力に秘密裏に武器を提供する外国諜報部のフロント組織として機能しているのではないかと疑っており、国際援助団体の活動停止を決定したのは恐らくそれが理由だ。
国連が100万人のミャンマー人の運命について懸念する一方で、2,000万人のエチオピア人の運命は懸念していないと云う事実は、国連が確かにミャンマーに対して下心を抱いているのではないかと疑うべき理由を提供している。
今後の課題
憶測はさて置き、国連が両国の援助停止に対して正反対のアプローチを取っていることは否定出来ない事実だ。国連はこの偽善についてまだ説明を行っていない。
他方、外国の食糧援助に依存しているあらゆる展途上諸国は、農業産業の発展を続けなければならない。
エチオピアはこの方面で目覚ましい進歩を遂げていたが、2年戦争によって流れは逆転した。その結果、国連が政治的理由によって援助を兵器化出来る状況が生まれてしまった。
要請が有れば、BRICSの中核であるロシア・インド・中国(RIC)の中のエチオピアの緊密なパートナーが、エチオピア農業が被った損害を修復するのを助けてくれる可能性が有る。
第2回ロシア・アフリカ首脳会議が7月下旬にサンクトペテルブルクで開催される予定だが、エチオピア指導部が必要と判断すれば、エチオピアはそこで正式にその様な要請を行うかも知れない。
ロシアは農業大国だが、ロシアの農業輸出は西洋諸国の一方的な制裁体制によって妨げられており、資金調達や保険に問題が生じている。
にも関わらず、ロシアは過去15ヶ月半に亘り、これらの課題を解決する為に全力を尽くして来た。
ロシアとエチオピアの戦略的パートナーシップは、ロシアがアフリカ大陸への関与を再活性化する柱のひとつなので、エチオピア政府から大規模食糧支援の要請が行われれば、モスクワはそれを優先するだろう。
更に、両国の共通のパートナーであるエリトリアが、ロシアの船を自国の港に停泊させ、隣国であるエチオピアに輸送することでこれを助けてくれる可能性もある。
西洋は公式政策としてエリトリアとロシアを孤立させることを望んでいるが、彼等がエチオピアへの食料援助の停止を決定したことは、結果的にこの3国を団結させることになるかも知れない。
その結果として数百万人の命が救われ、これらの国々は西洋大手メディアが中傷している所謂「ならず者国家」ではないことを世界中に証明することになるだろう。
この方程式に於ける唯一ならず者のアクターは西洋だ。彼等は政治的理由から2,000万人ものエチオピア人を罰した。
- 関連記事
-
-
カホフカ・ダムへの攻撃をSNSで自慢するナチス共 2023/06/20
-
ロシア下院議長がポーランドに賠償を要求した本当の理由はこれだ(抄訳) 2023/06/19
-
エチオピアとミャンマーへの援助停止に対する国連の二重基準の背後には一体何が?(抄訳) 2023/06/19
-
ロシアがカホフカ・ダムを爆破した証拠とキエフが主張するものは精査に耐えられるものではない(抄訳) 2023/06/19
-
ロシアにはウォール・ストリート・ジャーナルの従業員をスパイ容疑で逮捕する権利が有った(要点) 2023/06/19
-
スポンサーサイト