外国人に抗議の仕方を教えるのは制裁対象となる犯罪である、と米国は公式に見做している(抄訳)
アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。米国はモルドバで第二のロシアゲート事件をでっち上げ、草の根の反戦運動を非合法化しようと企んでいる。
The US Officially Regards It As A Sanctionable Offense To Teach Foreigners How To Protest

新たな対ロシア制裁
2023/06/05、米国財務省外国資産管理局は、モルドバ人に抗議の仕方を教えたとされるロシア人数名に対する制裁を発表した。
「これらの関係者は、民主主義諸国で反政府抗議活動、集会、行進、デモを行うグループを挑発し、訓練し、監督していた。」
つまり米国は、自分達が世界中で支持していると主張している「ルール」に対して、自ら懲罰的措置を課した訳だ。
カラー革命とは
米国が資金提供する「全米民主主義基金(NED)」やジョージ・ソロスの悪名高き「オープン・ソサエティ財団」等の組織は、世界中の無数の外国人に、故ジーン・シャープの198の非暴力行動方法等の抗議活動関連の著作について定期的に教えている。
これらの作戦は、米国の要求に従うことを拒否する国々に圧力を掛ける為に利用出来る、反政府幹部を育成することを目的としている。
民主主義のあらゆる国家モデルは、その政策策定の際に或る程度の世論を組み込んでいる。それ故、外国勢力はその国の国民の一部に資金提供してプロの抗議者として育て上げることによって、非常に効果的にその国に影響を与えることが出来るのだ。
大規模なデモが組織されると、それによって警察との乱闘が予想される訳だが、それは国内外で大きく報道される。その結果、標的となった政府に対して外部国家の言いなりになるよう、圧力が高まることになる。
他国で自国の利益を推進する方法としてこれは費用対効果が高い。例えば2014年に米国が支援した抗議活動がウクライナ政府を打倒した時の様に、米国の投資収益率は時として歴史的に重要な意味を持つ。
だから米国がこの政策を何十年も続けて来たのは不思議なことではない。
「平和的手法を使うならいいじゃないか」と思うかも知れないがそうではない。ウクライナのケースでは、カラー革命の第一段階でヤヌコビッチ大統領が折れないことが判明すると、命令に従って抗議活動は暴力的な暴動に変わり、それが2月のクーデターに繋がった。平和的な抗議活動は、より暴力的な非正規戦争と地続きなのだ。
その後に起こったウクライナ内戦は、米国がロシアを封じ込める為に利用したもので、このレジームチェンジ(政権交代)の余波で生じた安全保障上のジレンマを平和的に解決する為に、ロシア側は繰り返し提案を行ったが、米国側はこれを真剣に検討することを一切拒否した。これがロシアの特別軍事作戦に繋がることになった。
また最近では、キルギスタンで失敗に終わったばかりのクーデター計画にも米国が関与していたと言われており、NATOが支援するキエフの反攻の最中に、ロシアに対して第2戦線が開かれた可能性が有る。
米国はモルドバやキエフに命じて沿ドニエストルの平和維持軍を攻撃させ、モルドバに新たな戦線を開こうとしているのではないかと、ロシアは疑っている。
米国政府が他国民に抗議の仕方を教えたとして数人のロシア人に制裁を課した出来事は、この軍事戦略的文脈の中で起こった。
新たな対ロシア制裁の真の目的は?
米国がウクライナで画策したレジームチェンジとは異なり、ロシアがモルドバで組織したと非難されているデモは、紛争を引き起こすものではなく、紛争を回避することを目的としているものだ。
ウクライナとモルドバのもうひとつの違いは、殆どのモルドバ人は米国の代理戦争計画に気付いており、それに激しく反対していることだ。他方、米国が支援する反政府デモの直接の結果として、それから10年も経たない内に何が起こるかを予測出来たウクライナ人は殆ど居なかった。自国がロシアに対するハイブリッド戦争の代理勢力として利用されて破壊されることをウクライナ人が知っていたら、「マイダン・クーデター」が成功した可能性は低い。
ロシアは基本的に、自国が地域紛争に関与することを阻止しようとしているモルドバの抗議者達を訓練していると非難されている。
これらの活動家達は沿ドニエストルへの侵攻が裏目に出る可能性を懸念しているが、モルドバ政府が攻撃を計画しているロシアの平和維持軍は当然自衛の為に反撃するだろうから、彼等の抱く恐怖は尤もなものだ。
それに留まらず、若しロシア軍が首都キシナウの軍事目標に対してドローンやミサイル攻撃を開始すれば、キシナウは新たなキエフとなる可能性が有る。
上記のシナリオは容易に予測可能なことであって、「ロシアのプロパガンダ」ではない。だからこそ、モルドバ人達はロシアから訓練を受けること無く、既に自分達で独自に抗議活動を行っているのだ。
ロシアがモルドバで米国の様にレジームチェンジ工作を行っていると云う主張を裏付ける、議論の余地の無い証拠は、今までのところ公表されていない。これは米国の制裁の根拠自体が虚偽である可能性を示唆している。
米国はその目的を達成する為に、「ロシアゲート」の様な陰謀論をでっち上げて、モルドバでの本物の草の根の反戦抗議活動を非合法化しようとしている可能性が考えられるが、これは驚くべきことではない。米国の政策立案者達が、ワシントンの代理戦争計画の邪魔にならないよう、平和的にデモを行っている人々をモルドバ政府が暴力的に解散させることを正当化する口実を作り上げるのは、完全に理に適っているからだ。
真相がどうであれ、アメリカ人やヨーロッパ人が何十年も諸外国で行って来たことと同じことをロシア人がやっていると主張して米国が制裁を課すことは偽善的だ。外国人に抗議の仕方を教えることは何も新しいことではないが、標的となる政府が西洋に従わない場合はそれは「民主主義の促進」となり、親西洋であった場合は犯罪となるのだ。
こうした二重基準は、ジョージアが米国から資金提供を受けたNGOを登録する法を公布した際に米国が二重基準と似た様なものだ。ジョージアの法はロシアではなく米国の同様の基準に倣ったものだ。米国が外国のNGOを登録するのは問題無いが、ジョージアが同じことをすると米国の利益が優先されなくなってしまうので、それは問題なのだ。
米国のこの新たな反ロシア制裁は、自国が戦争に向かって突き進むのを止めようとしている、平和的に抗議活動を行っているモルドバ人達を阻止する為の茶番だ。
The US Officially Regards It As A Sanctionable Offense To Teach Foreigners How To Protest

新たな対ロシア制裁
2023/06/05、米国財務省外国資産管理局は、モルドバ人に抗議の仕方を教えたとされるロシア人数名に対する制裁を発表した。
「これらの関係者は、民主主義諸国で反政府抗議活動、集会、行進、デモを行うグループを挑発し、訓練し、監督していた。」
つまり米国は、自分達が世界中で支持していると主張している「ルール」に対して、自ら懲罰的措置を課した訳だ。
カラー革命とは
米国が資金提供する「全米民主主義基金(NED)」やジョージ・ソロスの悪名高き「オープン・ソサエティ財団」等の組織は、世界中の無数の外国人に、故ジーン・シャープの198の非暴力行動方法等の抗議活動関連の著作について定期的に教えている。
これらの作戦は、米国の要求に従うことを拒否する国々に圧力を掛ける為に利用出来る、反政府幹部を育成することを目的としている。
民主主義のあらゆる国家モデルは、その政策策定の際に或る程度の世論を組み込んでいる。それ故、外国勢力はその国の国民の一部に資金提供してプロの抗議者として育て上げることによって、非常に効果的にその国に影響を与えることが出来るのだ。
大規模なデモが組織されると、それによって警察との乱闘が予想される訳だが、それは国内外で大きく報道される。その結果、標的となった政府に対して外部国家の言いなりになるよう、圧力が高まることになる。
他国で自国の利益を推進する方法としてこれは費用対効果が高い。例えば2014年に米国が支援した抗議活動がウクライナ政府を打倒した時の様に、米国の投資収益率は時として歴史的に重要な意味を持つ。
だから米国がこの政策を何十年も続けて来たのは不思議なことではない。
「平和的手法を使うならいいじゃないか」と思うかも知れないがそうではない。ウクライナのケースでは、カラー革命の第一段階でヤヌコビッチ大統領が折れないことが判明すると、命令に従って抗議活動は暴力的な暴動に変わり、それが2月のクーデターに繋がった。平和的な抗議活動は、より暴力的な非正規戦争と地続きなのだ。
その後に起こったウクライナ内戦は、米国がロシアを封じ込める為に利用したもので、このレジームチェンジ(政権交代)の余波で生じた安全保障上のジレンマを平和的に解決する為に、ロシア側は繰り返し提案を行ったが、米国側はこれを真剣に検討することを一切拒否した。これがロシアの特別軍事作戦に繋がることになった。
また最近では、キルギスタンで失敗に終わったばかりのクーデター計画にも米国が関与していたと言われており、NATOが支援するキエフの反攻の最中に、ロシアに対して第2戦線が開かれた可能性が有る。
米国はモルドバやキエフに命じて沿ドニエストルの平和維持軍を攻撃させ、モルドバに新たな戦線を開こうとしているのではないかと、ロシアは疑っている。
米国政府が他国民に抗議の仕方を教えたとして数人のロシア人に制裁を課した出来事は、この軍事戦略的文脈の中で起こった。
新たな対ロシア制裁の真の目的は?
米国がウクライナで画策したレジームチェンジとは異なり、ロシアがモルドバで組織したと非難されているデモは、紛争を引き起こすものではなく、紛争を回避することを目的としているものだ。
ウクライナとモルドバのもうひとつの違いは、殆どのモルドバ人は米国の代理戦争計画に気付いており、それに激しく反対していることだ。他方、米国が支援する反政府デモの直接の結果として、それから10年も経たない内に何が起こるかを予測出来たウクライナ人は殆ど居なかった。自国がロシアに対するハイブリッド戦争の代理勢力として利用されて破壊されることをウクライナ人が知っていたら、「マイダン・クーデター」が成功した可能性は低い。
ロシアは基本的に、自国が地域紛争に関与することを阻止しようとしているモルドバの抗議者達を訓練していると非難されている。
これらの活動家達は沿ドニエストルへの侵攻が裏目に出る可能性を懸念しているが、モルドバ政府が攻撃を計画しているロシアの平和維持軍は当然自衛の為に反撃するだろうから、彼等の抱く恐怖は尤もなものだ。
それに留まらず、若しロシア軍が首都キシナウの軍事目標に対してドローンやミサイル攻撃を開始すれば、キシナウは新たなキエフとなる可能性が有る。
上記のシナリオは容易に予測可能なことであって、「ロシアのプロパガンダ」ではない。だからこそ、モルドバ人達はロシアから訓練を受けること無く、既に自分達で独自に抗議活動を行っているのだ。
ロシアがモルドバで米国の様にレジームチェンジ工作を行っていると云う主張を裏付ける、議論の余地の無い証拠は、今までのところ公表されていない。これは米国の制裁の根拠自体が虚偽である可能性を示唆している。
米国はその目的を達成する為に、「ロシアゲート」の様な陰謀論をでっち上げて、モルドバでの本物の草の根の反戦抗議活動を非合法化しようとしている可能性が考えられるが、これは驚くべきことではない。米国の政策立案者達が、ワシントンの代理戦争計画の邪魔にならないよう、平和的にデモを行っている人々をモルドバ政府が暴力的に解散させることを正当化する口実を作り上げるのは、完全に理に適っているからだ。
真相がどうであれ、アメリカ人やヨーロッパ人が何十年も諸外国で行って来たことと同じことをロシア人がやっていると主張して米国が制裁を課すことは偽善的だ。外国人に抗議の仕方を教えることは何も新しいことではないが、標的となる政府が西洋に従わない場合はそれは「民主主義の促進」となり、親西洋であった場合は犯罪となるのだ。
こうした二重基準は、ジョージアが米国から資金提供を受けたNGOを登録する法を公布した際に米国が二重基準と似た様なものだ。ジョージアの法はロシアではなく米国の同様の基準に倣ったものだ。米国が外国のNGOを登録するのは問題無いが、ジョージアが同じことをすると米国の利益が優先されなくなってしまうので、それは問題なのだ。
米国のこの新たな反ロシア制裁は、自国が戦争に向かって突き進むのを止めようとしている、平和的に抗議活動を行っているモルドバ人達を阻止する為の茶番だ。
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