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イスラエルはパレスチナ人に対するテロの為に生体認証カメラの広大なネットワークを使用している(抄訳)

マージョリー・コーン氏の記事の抄訳。イスラエルのアパルトヘイト体制は、AIと生体認証技術によって強化されている。人々の安全や生活向上に役立つ可能性を持った技術であっても、使い方次第では抑圧や差別に役立つことになる。
Israel Is Using a Vast Network of Biometric Cameras to Terrorize Palestinians
Palestinians use a biometric card at an automated gate



不法入植地に於ける「自動化されたアパルトヘイト」
 
 イスラエルは、人工知能を利用した生体認証顔認識技術を利用してパレスチナ人の移動を追跡し、制限することで、パレスチナ占領地に於けるアパルトヘイト体制を強化している。

 顔認識技術は、人種、民族、性別、年齢、障害の有無等の身体的特徴に基付いて人々を識別し、分類する。

 この技術が初めて導入されたのは1999年だが、2022年にはレッドウルフと呼ばれる新しい技術が軍事検問所に導入された。

 この技術はパレスチナ人の顔をスキャンするが、多くの場合は彼等の通行を拒否する。そしてそのデータを本人同意無しに、イスラエル政府の大規模データベースに登録・追加する。

 この技術は検問所だけではなく、街灯、建物の側面、監視塔、屋上に設置された閉回路TVカメラによって、偏在的ネットワークを構成している。

 イスラエル兵にはパレスチナ人を監視するインセンティヴが与えられている。データベースに登録されているパレスチナ人の数が最も多かった大隊の兵士には賞品が与えられる。

 不法に併合された東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区は、依然としてイスラエルの不法軍事占領下に在る。イスラエルはパレスチナ人の出入りを管理しており、パレスチナ人がガザ、東エルサレム、ヨルダン川西岸を横断するには、イスラエル当局の許可が必要となる。

 アムネスティ・インターナショナルはこの状況を「自動化されたアパルトヘイト」と表現し、警告を発してこう述べている:

 「過剰な身体的暴力と恣意的逮捕の絶え間無い脅威に加え、パレスチナ人は現在、アルゴリズムによって追跡されたり、差別的な監視データベースに保存された情報に基付いて近隣への立ち入りを禁止されたりするリスクと闘わなければならない。」



全てが監視される社会とその目的とは

 アムネスティの2022年の報告書は、ヘブロンと占領下の東エルサレムに住むパレスチナ人の例を挙げ、監視カメラがどの様にプライバシーを侵害し、活動を阻害し、社会生活を侵食し、家の中でも常に剝き出しにされていると感じさせているかを説明している。電子の目に晒されるのを避ける為に、彼等は窓を黒いブラインドで覆わなければならない。

 パレスチナ人達は、「カメラが私達の一挙手一投足を監視しています」、「私は四六時中監視されています。(略)カメラを見る度に不安になります。自分がずっと標的であるかの様に扱われている様なものです」等と証言している。

 生体認証カメラは、ハンガーストライキ中の囚人達を支援したり、イスラエルの攻撃に反対する抗議活動が行われることが多い旧市街のダマスカス門入口等、文化的、政治的に重要な場所に設置されることが多い。シルワンではイスラエル人入植者の増加に伴って監視も強化されている。

 抗議者の一人はこう語っている:「これらの監視カメラは、この場所をより安全にするために設置されている訳ではありません。(略)それはパレスチナ人を怖がらせ、入植者を守るのが目的です。」

 別の活動家はこう語る:「全てが監視されています。私の人生全体が監視されています。私にはプライヴァシー有りません。(略)何処へ行っても、彼等が私を追跡している様な気がします。」

 だがこの技術は、パレスチナ人に対して犯罪を犯したイスラエル人入植者を特定する為に使われることは無い。これはパレスチナ人ではなく、イスラエルからの不法入植者を守る為に使われているのだ。

 監視は「パレスチナ人の日常生活を耐え難いものにすることで、イスラエル当局にとっての戦略的利益地域から離れさせることを目的とした強制的な環境の一部」であると報告書は述べている。つまりパレスチナ人に執拗な嫌がらせをして追い出すのが目的なのだ。



イスラエルの監視体制は国際法に違反している

 この差別的な監視網は、国際人権法と国際人道法に違反していると報告書は述べている。

 ・第4次ジュネーヴ条約:イスラエル(占領国)は、占領地への民間人定住、強制移住、領土併合、集団刑罰(犯していない犯罪で国民を処罰すること)を行うことを禁じられている。

 ・国際刑事裁判所ローマ規程:「或る人種集団による別の人種集団に対する組織的な抑圧と支配の制度的体制の中で、その体制を維持する目的で犯された非人道的な行為」はアパルトヘイトに該当する。

 ・アパルトヘイト条約:アパルトヘイトとは、「或る人種集団による他の人種集団に対する支配を確立及び維持し、組織的に抑圧する目的で行われる非人道的な行為」のことである。

 顔認識技術によって強化された生体認証監視システムは、移動の自由、プライヴァシー、平等と非差別の権利を侵害する。またこれは恐怖を煽ることによって、表現の自由と平和的集会の自由の権利の行使を委縮させることになる。

 また占領地に於ける入植者の存在は違法である為、安全保障上の理由であっても、監視は正当化され得ない。

 「長期に及ぶ軍事占領、不法入植と併合を背景とした、移動の自由を制限する遠隔生体監視ツールの配備は、パレスチナ人の隔離と分断を固定化し、最終的にはイスラエルの残酷なアパルトヘイト体制を維持し強化することになる」と報告書は非難している。

 アムネスティ・インターナショナルは結論として、以下の勧告を行なっている。

 ・各国はイスラエルに対する「全ての武器、軍需品、その他の軍事・安全保障装備品の、直接的・間接的提供、及び訓練やその他の軍事・安全保障支援の提供」を即時停止すべきである。

 ・イスラエルはアパルトヘイト制度を終わらせ、顔認識技術、大規模監視、差別的対象を絞った監視の導入を中止すべきである。

 ・イスラエルは、集団処罰に繋がる通行止めや移動の自由に対するその他の制限体制を終わらせるべきである。

 ・イスラエルは、全てのイスラエル入植地を解体する為の第一歩として、全ての入植活動を直ちに停止すべきである。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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